huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye
与蘇武詩



                     
與蘇武詩
          
其二
                         
         前漢 李陵

嘉會難再遇,
三載爲千秋。
臨河濯長纓,
念子悵悠悠。
遠望悲風至,
對酒不能酬。
行人懷往路,
何以慰我愁。
獨有盈觴酒,
與子結綢繆。


    **********************
        蘇武に與(あた)ふる詩  其の二
   
嘉會  再
(ふたた)びは 遇(あ)ひ難(かた)く,
三載は  千秋と 爲
(な)る。
河に 臨
(のぞ)みて  長纓(ちゃうえい)を 濯(あら)ひ,
(し)を 念(おも)ひて  悵(ちゃう)として 悠悠(いういう)たり。
遠望すれば  悲風 至り,
酒に對して  酬
(むく)ゆる 能(あた)はず。
行人  往路を 懷
(おも)ひ,
何を以てか  我が愁
(うれ)ひを 慰めん。
(ひと)り  觴(しゃう)に 盈(み)つるの酒  有りて,
(し)と  綢繆(ちうびう)を 結ばん。

             ******************

◎ 私感訳註:


※與蘇武詩:『文選』第二十九巻に李少卿(李陵)として『与蘇武詩三首』の其二として載っている。(以下の解題部分は『與蘇武詩・其一』のページに同じ。『其二』解説へジャンプ)。『古詩源』卷二「漢詩」の中にもある。詩文は全く異同がない。古来、この作品は後人の偽作といわれる。節奏や押韻からみて、同じ李陵にものとして前のページにある『別歌』があるが、それは、先秦、漢詩の特徴の一である「□ ・ □□兮 □□」(□□□兮 □□□。)という騒体になっている。それに対して、この『與蘇武詩』は「□□ □□□, □□ □□。」という六朝古詩のものである。この『與蘇武詩』は、女性が旅立つ男性を見送るものだったのではなかろうか。これを表にすると、次のようになる。
       『別歌』   『與蘇武詩』
構成 □□□兮□□
□□□兮□□
□□□□□,
□□□□
節奏 「□・□□兮 □□□」 「□□・□□□」
※李陵:(この部分は前ページに同じ)前漢の名将。字は少卿。騎都尉として、匈奴の征討をし、五千で以て八万の単于軍とよく奮戦した。簡潔に「以少撃衆,歩兵五千人渉單于庭」と表されている。孤軍の歩兵のため、武運が尽き、匈奴に降りた。単于は、李陵を壮として、単于の女(むすめ)を妻として与え、右校王に取り立てた。(『漢書・…・李陵列傳』) 彼はその地で二十余年を過ごし、そこで歿した。蘇武とともにこの時代を彩る人物。李陵、蘇武は、ともに漢の武帝の対匈奴積極攻略策で犠牲となったと謂える人物。二人は、漢の地、胡の地双方を通じての知己で、古来、両者を比して論じられる。一方の蘇武は、匈奴に使いしたが拘留されて十九年匈奴の地にさまよった。しかしながら節を持して、屈服しなかった。その節義は後世にまで永く讃えられ、豪放詞にしばしば取り上げられている。また、文天祥『正気歌』でも「天地有正氣,雜然賦流形。下則爲河嶽,上則爲日星。…於人曰浩然,沛乎塞蒼冥。…時窮節乃見,一一垂丹。…在秦張良椎,在漢蘇武節。」と歌われている。それに反して、李陵は『漢書・…・李陵列傳』での武帝の怒りの通りで、「投降派」「裏切り者」となった。なぜ玉と砕けなかったのか、なのである。しかし『文選』第四十一巻に遺された李少卿(李陵)の『答蘇武書』は、胸に迫るものがある。『漢書・李陵列傳〜蘇武列傳』でも、その間の事情と心の動きが描写されている。前出『漢書・…・蘇武列傳』では、武帝が亡くなった後、昭帝が立ち、匈奴との宥和外交が展開され、蘇武が匈奴の地に生きていることが判り、中国に凱旋することとなった。李陵は、蘇武の帰国を祝い、置酒して餞別の宴を張った。そこで李陵は、苦悩の胸の内を打ち明けて、起って、舞いながらこの歌を歌った。李陵の頬には涙が流れた…。原文では:「數月,昭帝即位。數年,匈奴和親。等,匈奴詭言死。後使復至匈奴常惠請其守者與倶,得夜見使,具自陳道。教使者謂單于,言天子射上林中,得雁,足有係帛書,言等在某澤中。使者大喜,如語以讓單于。單于視左右而驚,謝使曰:『等實在。』於是陵置酒賀曰:『今足下還歸,揚名於匈奴,功顯於漢室,雖古竹帛所載,丹青所畫,何以過子卿雖駑怯,令且貰罪,全其老母,使得奮大辱之積志,庶幾乎曹柯之盟,此宿昔之所不忘也。收族家,爲世大戮,尚復何顧乎?已矣!令子卿知吾心耳。異域之人,壹別長絶!』起舞,歌曰:『徑萬里兮度沙幕,……,雖欲報恩將安歸!』泣下數行,因與決。」と二人の別離の場面と、この詩の由来を伝えている。また、『漢書・…・李陵列傳」では、「立政隨謂陵曰:『亦有意乎?』陵曰:『丈夫不能再辱。』」と端的にその心を述べている。余談になるが、中島敦の『李陵』は、この『漢書・李廣蘇建傳』の詳しい訳と謂える優れたものである。李陵の心の動きが活写されている。(ここまでは『與蘇武詩』其一のページに同じ)
     ***********************
※嘉會難再遇:(二人での)楽しい会合とは、もう一度出逢うことは、困難であろう。 ・嘉會:楽しい宴会。すばらしい会。盛会。また、すばらしい出逢い。『與蘇武詩・其一』の「良時不再至」の「良時」と対になっていよう。 ・嘉:好い。すばらしい。 ・難:むつかしい。困難である。ここは「不再遇」としたいところを婉曲に「難再遇」としているので、実際は否定に近い働きをしている。 ・再遇:もう一度出逢うこと。再会すること。
※三載爲千秋:(別れてしまうと)三年が千年に感じられる。 ・三載:三年。 ・爲:…になる。…である。 ・千秋:千年。「載」≒「年」≒「秋」≒「歳」。

※臨河濯長纓:別離の津(渡し場)にやってきたが、そこで、冠の纓(ひも)を洗って〔@:時勢に合わせて生きていこうと思った=『漁父』の『孺子歌』〕〔A:捕虜にした匈奴を縛る縄、匈奴征伐の呪縛から解放してもらおう。=『漢書』「請纓」)。〔B:(旅立つ蘇武殿よ、あなたの前途は、保証されているので)出仕する準備をなされよ。〕の意が考えられる。 ・臨河:川岸に来る。後出『孟子』の『孺子歌』や、『楚辞』の『漁父』の意に則れば、滄浪の水になるが、ここでは、別離の津の意になる。 ・纓:〔えい;ying1○〕冠のひも。官吏、仕官することを表す。また、「請纓」の意では、捕虜にした匈奴を縛る縄。出征の意になる。『漢書』巻六十四下・嚴朱吾丘主父徐嚴終王賈傳・第三十四下』に「南越與漢和親,乃遣軍使南越,説其王,欲令入朝,比内諸侯。軍自請:『願受長纓,必羈南越王而致之闕下。』…」。からきている。 ・濯:洗う。洗濯をする。 ・長纓:冠のひも。官吏の大切な物、の意で使われている。『孟子』の『孺子歌』「滄浪之水C兮,可以
濯我纓,滄浪之水濁兮,可以濯我足。」や、『楚辞』の『漁父』「屈原既放, 游於江潭,行吟澤畔,顏色憔悴,形容枯槁。…屈原曰: 「吾聞之:新沐者必彈冠,新浴者必振衣。安能以身之察察,受物之者乎?寧赴湘流,葬於江魚之腹中,安能以皓皓之白,而蒙世俗之塵埃乎?」 漁父莞爾而笑,鼓竡ァ去。乃歌曰: 「滄浪之水C兮,可以濯我纓,滄浪之水濁兮,可以濯我足。」遂去,不復與言。」に、その義は同じ。

※念子悵悠悠:(漢土に帰ってゆく)あなたのことを思えば、愁え歎く感情には、限りがない。 ・念子:あなたを思う。 ・念:〔ねん;nian4●〕心に鞏く思う。 ・子:あなた。ここでは、蘇武のことになる。 ・悵:〔ちゃう;chang4●〕悼(いた)む。うらむ。うれえなげく。 ・悠悠:〔いういう;you1you1○○〕遠くはるかなさま。限りないさま。また、ゆったりと落ち着いたさま。

※遠望悲風至:遙か遠く(の漢土の方)を眺めやれば、悲しげな風が吹いてくる。 ・遠望:遠くの方を眺めやる。ここでは、漢土の方を望むことになる。 ・悲風:悲しげな風。運命の風でもあるといえよう。 ・至:物事や場所に着く。達する。いたる。

※對酒不能酬:酒の壷を前にしていながら、主人であるわたし(李陵)は、客であるあなた(蘇武)に(胸が詰まってきて)酒をすすめることができない。 ・對酒:酒に向かって。酒の壷を前にして。 ・不能:…ができない。 ・酬:〔しう;chou2○〕すすめる。主人が客に酒をすすめる。むくいる。応(こた)える。

※行人懷往路:これから旅立つ(蘇武は、漢土への)行く手の道筋を胸中で思い描いていよう。 *「行人」の意を蘇武ではなく、李陵自身のことと取れば、「我もまた莫北の旅人であり、(嘗ての漢土から匈奴の地めで出征して)きた時のことを懐かしく想い起こせば」になる。 ・行人:旅人。旅立つ蘇武のことになる。 ・懷:〔くゎい;huai2○〕(胸の内で)思う。 ・往路:行く手の道筋。ここでは、漢土へ戻って行くときの道のことになる。勿論、「行人」の意を蘇武ではなく、李陵自身のことと取れば、漢土から匈奴の地・胡地を目指しての出征の時のことになるが…。

※何以慰我愁:どのようにしてわたしの(独り故国へ帰れない)悲しみを慰めようか。 ・何以:どのようにして。どうして。何ゆえ。何を以て。 ・慰:〔ゐ;wei4●〕なぐさめる。心が霽る。 ・我愁:わたしの愁い。わたしの心の中の悲しさ。故国へ帰れないで胡地に独り留まることの愁い。

※獨有盈觴酒:ただ、いっぱいに満たされた酒があるだけだ。 ・獨有:ただ…だけがある。 ・盈觴酒:いっぱいに満たされた酒。 ・盈:〔えい;ying2○〕(空っぽだった杯に酒を注がれて)満ち(た)。盛る。だんだん満ちる。みたす。 ・觴:〔しゃう;shang1○〕(古代の)さかづき。

※與子結綢繆:(せめて、酒の酔いの中で、)あなたと心の中では、縺(もつ)れ纏(まつ)わって、絡(から)みついていたい。 ・與:…と。 ・結:むすぶ。ゆう。つなぐ。つなぎあわせる。 ・綢繆:〔ちうびう;chou2mou2○○〕縺(もつ)れあう。纏(まつ)わる。絡(から)みつく。感情が絡(から)みあって、細やかなこと。情緒が深く離れがたいこと。纏綿としていること。

『與蘇武詩』其一はこちら。)




◎ 構成について

韻式は「AAAAA」。韻脚は 「秋悠酬愁繆」で平水韻部でいえば、下平十一尤。次の平仄はこの作品のもの。

○●○●●,
○●○○○。(韻)
○○●○○,
●●●○○。(韻)
●◎○○●,
●●●○○。(韻)
○○○●●,
○●●●○。(韻)
●●○○●,
●●●○○。(韻)

2005.3.24
     3.25

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