huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye





                     
詠懷詩 其十

                        阮籍
昔年十四五,
志尚好書詩。
被褐懷珠玉,
顏閔相與期。
開軒臨四野,
登高望所思。
丘墓蔽山岡,
萬代同一時。
千秋萬歳後,
榮名安所之。
乃悟羨門子,
噭噭今自嗤。


    **********************
        詠懷詩 十

昔年  十四、五,
志 尚
(たか)く  『書』・『詩』を好めり。
(かつ)を 被(き)て  珠玉を 懷(いだ)き,
顏・閔
(がん・びん)  相(あ)ひ與(とも)に期す。
軒を開きて  四野に 臨み,
高きに登りて  所思を 望む。
丘墓  山岡を 蔽ひ,
萬代も  一時に 同じ。
千秋 萬歳の後,
榮名  安
(いづく)にか 之(ゆ)く所ぞ。
(すなは)ち  羨門子(せんもんし)に 悟り,
噭噭
(けうけう)として  今 自ら嗤(わら)ふ。
             ******************



◎ 私感訳註:

※阮籍:210年(後漢・献帝十五年)〜263年(魏・元帝四年)。魏の詩人。字は嗣宗。「竹林七賢」の一。魏末の政治社会情勢を反映させた暗い詩を詠む。百五十年後の陶淵明に与えた影響は極めて大きい。

※詠懐詩:心の中に思っていることを詩歌に詠んだもの。陶淵明の作風の元となる鬱屈した心情を詠んだ八十二首に及ぶ連作。これは其の十になる。『昭明文選』第二十三卷『詠懷詩十七首』(八十二首)、『古詩源』卷六所収。

※昔年十四五:昔、十四、五歳の頃。漢末の『古詩爲焦仲卿妻作(孔雀東南飛)』「孔雀東南飛,五里一裴徊。十三能織素,十四學裁衣,十五彈箜篌,十六誦詩書,十七爲君婦,心中常苦悲。」の表現を聯想させる。 ・昔年:むかしの(若かった)時代。 ・十四五:十四、五歳。志学の年。『論語・爲政篇』「子曰:
十有五而志于學。三十而立。四十而不惑。五十而知天命。六十而耳順。七十而從心所欲,不踰矩。」とある。

※志尚好書詩:志(こころざし)は高く、『書経』や『詩経』といった儒学の経典を好んだ。 ・志尚:志は高い。 ・志:こころざし。 ・尚:〔しゃう;shang4●〕高くする。尊ぶ。尊厳にする。 ・好:〔かう;hao4●〕このむ。動詞。 ・書詩:『書経』と『詩経』。儒学の経典で、広く学問の意として使われている。「書詩」を「詩書」ともする。ここの「詩」は韻脚になる。

※被褐懷珠玉:粗末な衣服を身に纏ってはいても、美しくりっぱなものを心に追い求めていた。 ・被褐:粗末な衣服を身に纏う。賎しい身分であることをいう。陶淵明や後世の詩人たちの一つの立場の表現でもあり、多用される語。 ・被:〔ひ;bei4●両韻〕身に纏う。着る。 ・褐:〔かつ;he2●〕あらくて粗末な布で作った衣服。毛ごろも。 ・懷:心にこめて思う。いだく。したう。 ・珠玉:〔しゅぎょく;zhu1yu4○●〕美しくりっぱなもの。貴重なもの。

※顏閔相與期:(徳行で優れた)顔回や閔子騫のようになりたいと、心で決めていた。 ・顏閔:〔がん・びん;yan2・min3○●〕徳行で優れた顔回(顔淵)と閔子騫〔びんしけん;min3zi3qian1〕のこと。『論語・先進篇』に「子曰:從我於陳蔡者,皆不及門也。徳行,
顏淵、閔子騫、冉伯牛、仲弓。言語,宰我、子貢。政事,冉有、季路。文學,子游、子夏。」とある。  ・相與期:あいともに期す。 ・與:ともに。ともにする。いっしょにする。待つ。くみする。 ・期:決心する。決める。願う。

※開軒臨四野:窓を開けて、四方の野原を目の前にすれば。或いは、車を出して四方の野原を物を見定めれば。 ・開軒:窓を開ける。或いは、扉を開ける。現代語風にみれば、車を出す。 ・軒:〔けん;xuan1○〕くるま。のき。ひさし。長い廊下。(長い廊下の)窓。(門の)扉。 ・臨:〔りん;lin2○〕のぞむ。目の前にする。見下ろす。物を見定める。 ・四野:四方の郊外。四方の野原。

※登高望所思:高い処へ登って、(心に)思うところを(抱いて)、遠いところをのぞみ見れば。 ・登高:高い処へ登る。 ・望:遠いところや高いところをのぞみ見る。待ち望む。ここは双方の意が倶にあるか。 ・所思:(心に)思うところ。考えている事柄。 ・「所-」:用言に附き、名詞化する働きがある。所懐。

※丘墓蔽山岡:墳丘は、山(の斜面)を覆(い尽くし)ている。 *洛陽でいえば北山の雰囲気で、後漢の梁鴻の『五噫歌』「陟彼北芒兮,噫!顧覽帝京兮,噫!宮室崔嵬兮,噫!民之劬勞兮,噫!遼遼未央兮,噫!」 や、東晋の陶淵明『擬古九首』其四「迢迢百尺樓,分明望四荒。暮作歸雲宅,朝爲飛鳥堂。山河滿目中,平原獨茫茫。古時功名士,慷慨爭此場。一旦百歳後,相與還北。松柏爲人伐,
高墳互低昂。頽基無遺主,遊魂在何方。榮華誠足貴,亦復可憐傷。」とした。唐の沈期『山』「北山上列墳塋,萬古千秋對洛城。城中日夕歌鐘起,山上唯聞松柏聲。」といった歌のありさまになる。 ・丘墓:墳墓。墳丘。 ・蔽:おおいかくす。 ・山岡:山と岡。山や丘。陶淵明でいう「山阿」で、『挽歌詩其三』「荒草何茫茫,白楊亦蕭蕭。嚴霜九月中,送我出遠郊。四面無人居,高墳正嶢。馬爲仰天鳴,風爲自蕭條。幽室一已閉,千年不復朝。千年不復朝,賢達無奈何。向來相送人,各自還其家。親戚或餘悲,他人亦已歌。死去何所道,託體同山阿。」とある。

※萬代同一時:永遠に続くとは謂っても、一度かぎりと同じである。万代に続くとはいっても(それは墳墓のことであって)、一時(ひととき)かぎりの人生と等価値であって、何ら変わることはない。(死後の霊魂など考えられない中で、厳然とした肉体の朽滅を伴う)死の前では、永劫も一瞬も同じであって(「万代」という言葉が虚しく響く)。この句の理解を助けるものに、日本・明治時代の思想家・中江兆民の著作『一年有半』の「一年半は悠久也」の章に「短と曰はんと欲せば、十年も短なり、五十年も短なり、百年も短なり、夫れ生時限り有りて死後限り無し、限り有るを以て限り無きに比す短には非ざる也、始より無き也、若し爲す有りて且つ樂しむに於ては、一年半是れ優に利用するに足らずや、嗚呼所謂一年半も無也、五十年百年も無也、即ち我儕は是れ、虚無海上一虚舟」とあるのが参考になろうか。 ・萬代:永久。とこしえ。万世。 ・同:同じである。 ・一時:〔いちじ、いっし;yi1(yi4)shi2●○〕一度しかない時。その時かぎり。暫時。かりそめ。

※千秋萬歳後:千年、万年の後(には)。遙かな後世には。 ・千秋:千年。 ・萬歳:万年。後世の陶淵明の『挽歌詩』其一「有生必有死,早終非命促。昨暮同爲人,今旦在鬼録。魂氣散何之,枯形寄空木。嬌兒索父啼,良友撫我哭。得失不復知,是非安能覺。
千秋萬歳後,誰知榮與辱。但恨在世時,飮酒不得足。」や其三「荒草何茫茫,白楊亦蕭蕭。嚴霜九月中,送我出遠郊。四面無人居,高墳正嶢。馬爲仰天鳴,風爲自蕭條。幽室一已閉,千年不復朝。千年不復朝,賢達無奈何。向來相送人,各自還其家。親戚或餘悲,他人亦已歌。死去何所道,託體同山阿。」や、後出の『己酉歳九月九日』の青字部分「千載非所知,聊以永今朝」に同じ。

※榮名安所之:(自分の)名声は、一体どこに行ってしまっていることやら。 ・榮名:名声。名誉。『古詩十九首之十一』に「廻車駕言邁,悠悠渉長道。四顧何茫茫,東風搖百草。所遇無故物,焉得不速老。盛衰各有時,立身苦不早。人生非金石,豈能長壽考。奄忽隨物化,
榮名以爲寶。」とある。また、前出陶淵明『挽歌詩』其一「千秋萬歳後,誰知榮與辱。」や、『己酉歳九月九日』「靡靡秋已夕,淒淒風露交。蔓草不復榮,園木空自凋。清氣澄餘滓,杳然天界高。哀蝉無留響,叢雁鳴雲霄。萬化相尋繹,人生豈不勞。從古皆有沒,念之中心焦。何以稱我情,濁酒且自陶。千載非所知,聊以永今朝。」)とうたう。陶淵明『でいう飮酒』其十一「顏生稱爲仁,榮公言有道。屡空不獲年,長飢至於老。雖留身後名,一生亦枯槁。死去何所知,稱心固爲好。客養千金躯,臨化消其。裸葬何必惡,人當解意表。」にある「身後名」。 ・安:いづく(んぞ)。なんぞ。反語。 ・之:ゆく。行く。後世、王維に『送別』「下馬飮君酒,問君何所之。君言不得意,歸臥南山陲。但去莫復問,白雲無盡時。」 がある。

※乃悟羨門子:そのあげく、やっと羨門子のような方仙(遷)の道を歩む人(の意味)を悟り。 *有限の生命を超克した仙人のいたことを悟り。 ・乃:そのあげく。間(ま)をおいて。すなわち。 ・悟:心の迷いが開ける。さとる。 ・羨門子:〔せんもんし;xian4men2zi3●○●〕仙術を使う仙人の名。秦の始皇が廬生に仙(遷)人の羨門子高を求めたこと。『史記・封禪書』「自齊威之時,之徒論著終始五コ之運,及帝而人奏之,故始皇采用之。而宋毋忌正伯僑充尚
羨門高最後皆人,爲方僊道,形解銷化,依於鬼~之事。以陰陽主運顯於ゥ侯,而 海上之方士傳其術不能通,然則怪迂阿諛苟合之徒自此興,不可勝數也。」とある。

※噭噭今自嗤:大声を出して、今は(現世での栄名を求めていた)自分をあざけり笑っている。 ・噭噭:〔けうけう;jiao4jiao4●●〕さけぶ。大声を出す。大声でなく。 ・今:いま(は)。 ・自:みづから。 ・嗤:〔し;chi1○〕わらう。(あざけり)笑う。あざわらう。





◎ 構成について

韻式は「AAAAAA」。韻脚は「詩期思時之嗤」で、平水韻でいえば、上平四支。次の平仄はこの作品のもの。

●○●●●,
●●●○○。(韻)
●●○○●,
○○○◎○。(韻)
○○○●●,
○○◎●○。(韻)
○●●○○,
●●○●○。(韻)
○○●●●,
○○○●○。(韻)
●●●○●,
●●○●○。(韻)
2005. 4.10
      4.11
      4.12
      4.13
      4.15
      4.16完
     11. 3補
2010.12. 7

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