huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye



李清照詞


  鳳凰臺上憶吹簫
            
香冷金猊,
被翻紅浪,
起來慵自梳頭。
任寶奩塵滿,
日上簾鈎。
生怕離懷別苦,
多少事、欲説還休
新來痩,
非干病酒,
不是悲秋。


休休!
這回去也,
千萬遍陽關
也則難留。
念武陵人遠,
煙鎖秦樓。
惟有樓前流水,
應念我、終日凝眸。
凝眸處,
從今又添,
一段新愁。


    **********************


      鳳凰臺上憶吹簫

香は  金猊を冷し,
(しとね)は  紅浪を 翻し,
起來して  慵く 自ら頭を梳く。
寶奩
(れん)  塵の滿つるに  任せ,
日は 簾鈎に  上る。
(おそ)るるは  離の懷(おもひ)と別(わかれ)の苦,
多少の事は、 説
(とか)んと欲しては 還(ま)た休(や)む。
新來 痩せたり,
病酒に 非で,
悲秋にも あらず。


(やめ)よ  休(やめ)よ!
(こ)の回の 去(きょ=行)なる也(や)
千萬遍の “陽關”も,
(ま)た則(すなは)ち 留め難し。
武陵の人の 遠きを  念ひ,
煙は 鎖
(とざ)す  秦樓を。
(た)だ有るは  樓前の 流水,
(まさ)に我を念(おも)ふべし、  終日 眸を凝らさん。
眸を凝す處,
今 從
(よ)り  又 添へん,
一段の  新愁を。





             ******************
◎ 私感訳注:

※鳳凰臺上憶吹簫:詞牌の一。憶吹簫ともいう。双調。九十五字。平韻。一句の中の切れ方が複雑な詞牌である。詳しくは下に示す。韻式は「AAAA AAAAA」。詞牌は、夫婦愛の義とも謂える。詳しくは下記の「秦樓」の項の注を参照。これから思うと、この作品は本意。この作品は旅だった夫・趙明誠の身を案じ、独り暮らしのやるせなさを詠う。

※香冷金猊:黄金づくりの唐獅子の香炉の香は(とっくに燃え尽きて)冷たくなって。 ・香:香炉で焚く香。 ・冷:香炉の火が絶えている。昨晩から手を付けないで時間が経ったことをいう。 ・金猊:〔げい;ni2○〕黄金づくりや金属の唐獅子の香炉。猊は唐獅子。伝説上の動物。火を好むので香炉の蓋に用いられる。

※被翻紅浪:掛け布団は乱れて赤い浪のようである。 ・被:掛け布団。 ・翻:翻る。翻す。ここでは、掛け布団が乱れた様を浪に見立てている。 ・紅浪:赤い浪。乱れた掛け布団のこと。金猊の対。「香冷金猊」と「被翻紅浪」は対句になっている。

※起來慵自梳頭:起きあがるが、頭髪を梳(す)くのもおっくうだ。 ・起來:(白話)起きあがる。口語で多用する。 ・慵:物憂い。おっくう。大儀。 ・梳頭:あたまを すく。

※任寶奩塵滿:放置している化粧箱も、塵の積もるにまかせている。 ・任:まかせる。ゆだねる。塵の積もるがままに放置しておくこと。この字は領字(一字豆)で独立している。 ・寶奩(れん;lian2):くしげ。婦人用の鏡などが入っている化粧箱。任寶奩塵滿:化粧箱も塵が積もるにまかせている。(傍には、愛しい人がいないため)美しく身だしなみを整える気が起こらないことを謂う。

※日上簾鈎:日が高く簾の鈎よりも昇った。また、日が高く昇り、簾の鈎にまで日光が当たっており、白日の準備がなされていない窓辺、ともとれる。いずれにしても日が高く昇っていることで、作者の物憂く落ち込んで、やる気がなくなっている心情を表している。 ・簾鈎:カーテンのフック。「鈎」は韻脚なのであまりこだわる必要がないかも知れない。清・毛先舒の『江城子』に「暮江煙外是高樓。
簾鉤。望呉州。遠水遙峰,相對兩悠悠。   滄海月明キ換涙,還道是,不曾愁。」とある。

※生怕離懷別苦:別れていることの思いと辛さが身に滲みる。 ・生怕:(白話)ひどく恐れる。びくびくする。 ・離懷別苦:別離することの おもいと つらさ。尚、李清照の父が政争のため、遠ざけられ、娘の李清照も都に住めなくなったことを指すか。

※多少事、欲説還休:多くの事柄を話したいものの、またやめてしまう。 ・多少事:多くのこと。ここは三字豆。七字句の「多少事欲説還休」を「多少事+欲説還休」と分ける。 ・欲:す。ほっす。しようとする。 ・欲…還…:…をしようとしては、なおもまだ…だ。ためらいの気持ちを表す。 ・説:(白話)はなす。 ・還:(白話)なおも また。 ・休:(古・白話)やめる、の義であって、やすむ、ではない。 ・欲説還休:はなそうと するが なおも また やめてしまう。

※新來痩:近頃、痩せてきたが。 ・新來:(白話)近来。ちかごろ。

※非干病酒:酒を飲み過ぎて体を壊したのでもなければ。 ・非干:関係がない。 ・病酒:酒で病となる。酒を飲み過ぎて体を壊す。

※不是悲秋:秋が来たことを悲しんでいるのでもない。 ・不是:(白話)…ではない。 ・悲秋:秋が来ることの悲しみ。

※休休:(白話)やめよ、やめよ。

※這回去也:今回の旅も。 ・這:(白話)これ、この。書面語の「此」にあたる。 ・這回:この回。この度。 ・去:(白話)行く。現代語では、さる、の意味は殆どない。 ・也:語気の停頓を表す。…なるや、…。

※千萬遍陽關:何回も何回も『陽関三畳』の歌を繰り返しても。 ・千万遍:極めて多くの回数。陽関三畳ともいい、別れの時、『送元二使安西』の第二、三、四句を繰り返して謡ったという。 ・陽關:陽關三畳のこと。王維の『送元二使安西』「渭城朝雨輕塵,客舎柳色新。勸君更盡一杯酒,西出陽關無故人」からきている。後、送別の曲として位置づけられた。ここでも、その意味。

※也則難留:(何回『陽関三畳』を繰り返し)ても(夫の出かけて行くのを)留めがたいものだった。 ・也則:…も また すなわち。 ・難留:とどめがたし。出立を抑えられない。

※念武陵人遠:武陵の漁夫のように遠くへ出かけて行った夫を思えば。 ・念:おもう。念ずる。この字は領字(一字豆)で独立している。 ・武陵人:桃花源に行った漁夫。ここでは、遠くに出かけている夫のことになる。 *「武陵春」とする本もある。武陵桃源。陶淵明の『桃花源記』にでる。戦乱を避けた別天地。また、そこの人。

※煙鎖秦樓:煙霧は婦人(=作者)の居住する建物を包み込んでいる。 ・煙:煙霧。霧。ここでは霧のこと。煙は
で、霧は。平仄式に合わせて使い分ける。 ・鎖:とざす。 ・秦樓:婦人の居住する建物。春秋時代の秦の穆公の公女弄玉が住んだ鳳凰臺(詳しくはこちらの頁を参照)からきている。

※惟有樓前流水:ただ、建物の前には流れ去って行く川の流れがあるだけで。 ・惟有:ただ…だけがある。=唯有。曹操の『短歌行』に「對酒當歌,人生幾何。譬如朝露,去日苦多。慨當以慷,憂思難忘。何以解憂,唯有杜康。」や、唐の劉希夷『白頭吟(代悲白頭翁)』に「洛陽城東桃李花,飛來飛去落誰家。洛陽女兒惜顏色,行逢落花長歎息。今年花落顏色改,明年花開復誰在。已見松柏摧爲薪,更聞桑田變成海。古人無復洛城東,今人還對落花風。年年歳歳花相似,歳歳年年人不同。寄言全盛紅顏子,應憐半死白頭翁。此翁白頭眞可憐,伊昔紅顏美少年。公子王孫芳樹下,C歌妙舞落花前。光祿池臺開錦繍,將軍樓閣畫~仙。一朝臥病無人識,三春行樂在誰邊。宛轉蛾眉能幾時,須臾鶴髮亂如絲。但看古來歌舞地,惟有黄昏鳥雀悲。」とあり、李白の『將進酒』に「君不見黄河之水天上來,奔流到海不復回。君不見高堂明鏡悲白髮,朝如青絲暮成雪。人生得意須盡歡,莫使金尊空對月。天生我材必有用,千金散盡還復來。烹羊宰牛且爲樂,會須一飮三百杯。岑夫子,丹丘生。將進酒,杯莫停。與君歌一曲,請君爲我傾耳聽。鐘鼓饌玉不足貴,但願長醉不用醒。古來聖賢皆寂寞,惟有飮者留其名。陳王昔時宴平樂,斗酒十千恣歡謔。主人何爲言少錢,徑須沽取對君酌。五花馬,千金裘。呼兒將出換美酒,與爾同銷萬古愁。」とあり、劉長卿は『尋盛禪師蘭若』で「秋草黄花覆古阡,隔林何處起人煙。山僧獨在山中老,唯有寒松見少年。」とあり、中唐・白居易の『闍瘁xに「自從苦學空門法,銷盡平生種種心。唯有詩魔降未得,毎逢風月一闍瘁B」とあり、後世、北宋・蘇軾の『江城子』乙卯正月二十日夜記夢には「十年生死兩茫茫,不思量。自難忘。千里孤墳,無處話淒涼。縱使相逢應不識,塵滿面,鬢如霜。   夜來幽夢忽還ク。小軒窗,正梳妝。相顧無言,惟有涙千行。料得年年腸斷處,明月夜,短松岡。」とあり、司馬光『居洛初夏作』「四月清和雨乍晴,南山當戸轉分明。更無柳絮因風起,惟有葵花向日傾。」とある。 ・流水:流れる水、川の流れだが、時間の経過を表す。

※應念我、終日凝眸:きっとわたしのことを思ってくれて(早々に帰ってくることだろうと)あなたを終日待って瞳を凝らして眺めているが。 ・應:きっと…だろう。ここは三字豆の始めのところ。七字句のを「應念我終日凝眸」「應念我 + 終日凝眸」と分ける。 ・終日:一日中。愛するあなたを終日待ち望む。 ・凝眸:ひとみを凝らす。李清照が愛する夫の去った方に瞳を凝らして、帰還を待っていること。

※凝眸處:ひとみを凝(こ)らして、みつめるところに。

※從今又添:今よりまた…を添えよう。

※一段新愁:一まとまりの新たな愁(うれ)いを。 ・一段:(白話)量詞。事物(路、話、時間、意志、理、等)の一区切りを数える。幾段とする本もある。







◎ 構成について
 
双調。九十五字。平韻。韻式は「AAAA AAAAA」。一句の中の切れ方が複雑な詞牌である。

●○○,
●,
●○○。(韻)
●、○○●,
●○○。(韻)
●,
○●●、●○○。(韻)
○○●,
○○●●,
●○○。(韻)


○○。(韻)
●○●●,
●、●○○
●○○。(韻)
●、○○●,
●○○。(韻)
●,
●、●○○。(韻)
○○●,
○○●
●○○。(韻)

韻脚は「頭鈎休秋 休留樓眸愁」で、第十二部声平声。
 
2000. 5.31
      6. 1
      6. 2
      6. 3
      7.15完
      8.31補
     12. 3
     12.31
2001. 4.13
2002. 6.15
2007.10.12
2017. 6.17
2018. 3. 9



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