huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye
蘇子卿蘇武李陵録別詩二十一首之五



                     
詩四首
          其三
           

            
          前漢・蘇子卿


結髮爲夫妻,
恩愛兩不疑。
歡娯在今夕,
嬿婉及良時。
征夫懷往路,
起視夜何其。
參辰皆已沒,
去去從此辭。
行役在戰場,
相見未有期。
握手一長歎,
涙爲生別滋。
努力愛春華,
莫忘歡樂時。
生當復來歸,
死當長相思。



    **********************

              詩四首  其の三

結髮  夫妻と爲
(な)り,
恩愛  兩
(ふた)つながら 疑はず。
歡娯  今夕に 在り,
(えんゑん)  良時に 及ぶ。
征夫  往路を 懷
(おも)ひ,
起ちて 夜の 何其
(いかん)を 視(み)る。
參辰  皆な 已
(すで)に沒す,
去り去りて 此れ從
(よ)り 辭せん。
行役して 戰場に 在らば,
相ひ見ること  未だ 期 有らず。
手を握り  一たび長歎すれば ,
涙は 生別の 爲に 滋
(しげ)し。
努力して  春華を 愛し,
歡樂の時を  忘るる莫
(なか)れ。
生きては 當
(まさ)に  復(ま)た 來(きた)り歸るべく,
死しては 當
(まさ)に 長(とこし)へに 相ひ思ふべし。


             ******************

◎ 私感訳註:

※蘇子卿:蘇武のこと。子卿は字。蘇武と李陵 の物語のうちの蘇武のことで、武帝の時、匈奴に使いして、十九年間俘虜となるとも節を持したことで名を青史に留める。

※詩四首其三:『文選』巻二十九詩己 雜詩上には、蘇子卿として一連の作が録されている。『古詩源』巻二「漢詩」に、『玉臺新詠』巻一にも『留別妻一首』として採録されている。この作は、蘇武が匈奴に使いする出立の前夜、妻に贈った生別の詩になる。

※結髮爲夫妻:成人して、夫婦となり。 ・結髮:髪を結う。成人の風。転じて、成人として結婚する。 ・爲夫妻:夫婦となる。『玉臺新詠』では「爲夫婦」とする。

※恩愛兩不疑:夫婦間の情愛は疑うべくもない。 ・恩愛:恩と愛。いつくしみ。夫婦などの情愛。 ・兩:「恩」と「愛」のどちらも。恩愛を強いて「恩」と「愛」とに分ければ、「恩」は精神的ないたみ閔れむ気持ちで、「愛」は、かわいがる思い。また、「恩」は夫が施して妻が受けるものであり、「愛」は妻が還すべきことである。 ・不疑:疑わない。

※歡娯在今夕:歓楽は、今宵にこそあって。 ・歡娯:たのしみごと。歓楽。 ・在:…の時に。 ・今夕:今宵。今晩。こよい。

婉及良時:うち解けた時間は充分に取った。 ・婉:〔えんゑん;yan3wan3〕すなおなさま。しとやかで美しいさま。=燕婉。ここでは、夫婦がうち解けて睦みあうさまになる。 ・及:(時間が)ふさわしい。 ・良時:満足いく充分な時間。

※征夫懷往路:・征夫:旅立つ人。出征する人。旅行に行く人。ここでは、蘇武自身のことになる。 ・懷:心に思いいだく。 ・往路:(目的地までの)行き道の行程。

※起視夜何其:起きあがって夜が明けたかどうかを見る。 ・夜何其:『詩經』小雅『庭燎』に「夜如何其。夜未央,庭燎之光。君子至止,鸞聲將將。」と「夜如何其」を繰り返して歌うのに基づく。 ・起視:起きあがって(夜が明けたかどうかを)見る。 ・何其:どうであるか。「夜如何其」のことで、「其」は語調を整えるための助辞。

※參辰皆已沒:(夜空の):參星や辰星などの星影は、すっかり無くなってしまって(暁になりかけている)。・參辰:參星と辰星。參星は西空に、辰星は東の空に現れる星。 ・皆:みんな。 ・已:とっくに。 ・沒:沈んだ。時計がない時代の、明け方の時刻の判断でもあろう。

※去去從此辭:妻に別れ(の言葉を告げ、妻の元から)どんどん去って行く。 ・去去:去って行って、もっと去っていって。動作が重複して行われるさま。言葉のリズム感と同時に別離のさまの強調でもある。それらが複合して使われている。現代語の用法とは異なる。『古詩十九首』の一の「
行行重行行,與君生別離。相去萬餘里,各在天一涯。道路阻且長,會面安可知。胡馬依北風,越鳥巣南枝。」は、この詩句から生まれたのかも知れない。また、陶潜の「去去欲何之,南山有舊宅。」もここから来たか。  ・從此:この家庭から。この妻の元から。 ・辭:別れの言葉を言う。別れる。辞去する。

※行役在戰場:出征して戦場にいれば。 ・行役:〔かうえき〕軍役。出征。

※相見未有期:会うことも予期しがたい。 ・相見:まみえる。会う。 ・未有期:期しがたい。会う時期がまだない。会う時期が来るかどうかまだ分からない。

※握手一長歎:手をにぎって、長歎息をすれば。 ・握手:手をにぎる。 ・長歎:長歎息をする。

※涙爲生別滋:涙は:生別の(辛さの)ために、止めどもなく溢れ出た。 ・爲:…のために。 ・生別:生き別れ。親子、夫婦などが生きながら長く別れること。親子のものは『詩經』で、夫婦や男女間のものは婉約詞に多く歌われている。 ・滋:多い。たくさん。しげし。

※努力愛春華:つとめて(人生の)華やいだ時期を大切にして(、生きていってほしい)。この聯から後は、蘇武から妻に言った言葉になる。 ・努力:つとめて。がんばって。 ・愛春華:青春の華やかなときを大切にして。すばらしい年代を大事にして。

※莫忘歡樂時:(夫婦で)楽しく過ごしたあの時期を忘れないでほしい。 ・莫忘:忘れないでほしい。 ・歡樂時:(夫婦で)楽しく過ごしたあの時期(を)。

※生當復來歸:生きていたら、当然のことながら、また再び帰ってくる(が)。 ・生當:生きていたら当然のことながら。 ・復:また再び。 ・來歸:帰ってくる。

※死當長相思:死んでしまったら当然のことながら、いつまでも思い(続けてほしい)。 ・死當:死んだら当然のことながら。 ・長:いつまでも。とこしなへに ・相思:(異性を)思う。





◎ 構成について

一韻到底。韻式は、「AAAAAAAA(A)A」。韻脚は「妻疑其辭期滋時(歸)思」。平水韻でいえば、上平四支(時辭期疑思滋)になる。第十五句の「歸」は、韻字ではないとみた方が自然。「歸」は上平五微(歸)で、上平四支と五微は、後世の近体詩では通韻するが、本来「四支」は「い」韻・「i」韻であり、それに対して、「五微」は「ゐ」韻・wi韻である。このことは、東晋陶淵明も『歸去來兮辭』の押韻でも、区別して使い分けている。この作品の平仄は次の通り。

●●○○○,(韻)
○●●●○。(韻)
○○●○●,
●●●○○。(韻)
○○○●●,
●●●○○。(韻)
○○○●●,
●●○●○。(韻)
○●●●◎,
○●●●○。(韻)
●●●○●,
●●○●○。(韻)
●●●○○,
○●○●○。(韻)
○○●○○,
●○○○○。(韻)
2003.10.7完
2004. 4.1補
2009. 8.17

漢詩 唐詩 漢詩 宋詞

xia 1 ye次の詩へ  
shang 1 ye前の詩へ 
xia ye先秦漢魏六朝詩メニューへ戻る
    **********
Maozhuxi shici辛棄疾詞
Maozhuxi shici陸游詩詞
Maozhuxi shici李U詞
Maozhuxi shici李清照詞
shangye花間集
shangye婉約詞
shangye歴代抒情詩集
shangye秋瑾詩詞
shichao shou ye天安門革命詩抄
Maozhuxi shici毛主席詩詞
Maozhuxi shici碇豊長自作詩詞
shici gaishuo豪放詞 民族呼称
shici gaishuo詩詞概説  
唐詩格律 之一
宋詞格律
詞牌・詞譜
詞韻
詩韻
cankao shumu(wenge)参考文献(宋詞・詞譜)
cankao shumu(wenge)参考文献(詩詞格律)
cankao shumu(wenge)参考文献(唐詩・宋詞)
      
zhuzhang わたしの主張
guanhougan
メール
hui shouye
トップ
huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye