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 これは井古綆先生の作品で、読み下しも井古綆先生です。
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杜甫草堂  (限韻)

孤舟流浪頼朋來、
結草浣花溪畔隈。
椽筆未投推病賦、
蓬門久閉爲誰開。
冬宵夏夜參商別、
渭樹江雲李杜杯。
玉折千年名不朽、
詩壇泰斗仰高才。





孤舟流浪して 朋を頼りて来り、
草を結ぶ 浣花渓畔かんくゎけいはんくま
椽筆てんぴつ未だ投ぜず 病を推して賦し、
蓬門ほうもん久しく閉じて 誰が為にか開く。
冬宵夏夜 参商しんしゃうの別れ、
渭樹江雲 ゐ じゅかううん 李杜の杯。
玉折 千年 名は朽ちず、
詩壇の泰斗  高才を仰ぐ。


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・(限韻): この韻(灰韻)は先年、日中韓の三国の交流詩「讃杜小陵祠墓重修」への応募作品の尾聯を改めて作ったもの。NHKラジオ放送「古典講読、前期李白、後期杜甫」がこの3月を以って終わったので、二大詩人を尊崇惜別してこれを賦す。
・結草: 草庵をつくること。
・椽筆: 椽は屋根のたるき、たるきのような太い筆。転じて堂々たる文章。
・蓬門: よもぎで葺いた門。粗末な門。杜甫作「客至・蓬門今始為君開」を変用。「誰」は以下の句の李白を意識する。
・参商: 参星は冬の星。商星は夏の星で出る方角も違い、双星は絶対に会えない。李白と杜甫は年余共に旅をしたがその後は会えなかったことをいう。
・渭樹江雲: 遠方の友を思う情の切実なこと。ひとりは渭水のほとりに、他方は揚子江のほとりにあって、たがいに思いを寄せる意。杜甫作「春日憶李白」より引用。
・玉折: 蘭摧玉折。蘭が折れて玉が摧ける。立派な人物の死をいう。
・泰斗: 泰山北斗、そのみちの第一人者。

※ 杜甫はここで亡くなったのではなく、湘江のあたりで亡くなったと伝えられる。




2008.3.31




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