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 これは井古綆先生の詩で、読みも井古綆先生のものです。
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看坂上之雲劇第一部其四


列強牙齒窺東亞、
日本將來愁制覇。
凌駕西洋正涸鱗、
訪歐人選答言下。
海軍英俊在雙鷹、
護國精神共服膺。
廣瀬偵査赴俄國、
秋山留學選新興。
邦家前路雙肩重、
大任遂行何不恐。
西洋視點見東洋、
蠶食鯨呑犯列強。
憂國軍人焦燥裡、
空拳不奮曠望郷。
俄國港灣求不凍、
四時伺隟呈雌伏。
風雲告急極東搖、
激突必然愁萬斛。
空前國難可如何、
進退維谷日與俄。





列強の牙歯は 東亞を窺ひ、
日本の将来 制覇を愁ふ。
西洋を凌駕するは 正に涸鱗、
訪欧の人選 言下に答ふ。
海軍の英俊 双鷹在り、
護国の精神 共に服膺。
広瀬は偵査 俄国に赴き、
秋山は留学 新興を選ぶ。
邦家の前路 双肩重く、
大任の遂行 何も恐れず。
西洋の視点で 東洋を見れば、
蚕食 鯨呑 列強に犯さる。
憂国の軍人 焦燥の裡、
空拳 奮へず 曠しく望郷。
俄国の港湾 不凍を求め、
四時 伺隙 雌伏を呈す。
風雲急を告げて 極東揺れ、
激突は必然 愁いは万斛。
空前の国難 如何す可き、
進退維れ谷まる 日と俄と。

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・牙歯: 歯牙。列強の植民地政策をさす。
・涸鱗: 涸轍(わだちの乾きかけの水たまり)にいる魚。危険が迫っているたとえ。
・双鷹: 広瀬武夫と秋山真之(さねゆき)をさす。ドラマでは外三名の将校が選抜
・服膺: (護国の精神を)心に止めて忘れないこと。
・偵査: 駐在武官として情報を探る。
・俄国: ロシア。
・新興: 新興国。当時建国後間も無いアメリカをさす。丁度米西戦争がはじまり秋山はアメリカ軍艦に観戦武官として乗船を許可された。これにより海戦のノー・ハウを習得した。
・空拳不奮: ここでは満身の焦燥感をこのように表現した。
・不凍: ロシアは今来不凍港を求めて南下政策を推進している。
・伺隙: つけこむすきをうかがう。
・万斛: 斛は石。非常に多いこと。
・国難: 大国ロシアとの開戦が避けられない状態。

※正文を無視して「谷」を「窮」にすれば平仄だけは合うが・・・。


2009.12.29




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