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年少行 | |
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唐 令狐楚 |
少小邊州慣放狂,
驏騎蕃馬射黄羊。
如今年老無筋力,
猶倚營門數雁行。
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年少行
少小 より辺州 にて放狂 に慣 れ,
蕃馬 に驏騎 して黄羊 を射 き。
如今 年 老 いて 筋力 無く,
猶 ほも營門 に倚 りて雁行 を數 ふ。
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◎ 私感註釈
※令狐楚:複姓で、「令狐」〔れいこ;Ling2hu2〕が姓。令狐(れいこ)・楚(そ)。中唐の政治家、文学家、詩人。永泰二年(766年)~開成二年(837年)。宜州の華原(現・陝西省耀県)の人。字は殻士。貞元の進士。
※年少行:若かった時の歌。いなせな若者の歌。『少年行』は楽府題。盛唐・王維には『少年行』「新豐美酒斗十千,咸陽遊侠多少年。相逢意氣爲君飮,繋馬高樓垂柳邊。」があり、唐の崔國輔に『長樂少年行』「遺卻珊瑚鞭,白馬驕不行。章臺折楊柳,春日路傍情。」
があり、盛唐・李白に『少年行』「五陵年少金市東,銀鞍白馬度春風。落花踏盡遊何處,笑入胡姫酒肆中。」
があり、盛唐・王昌齢に『少年行』「走馬遠相尋,西樓下夕陰。結交期一劍,留意贈千金。高閣歌聲遠,重門柳色深。夜闌須盡飲,莫負百年心。」があり、沈彬の『結客少年場行』「重義輕生一劍知,白虹貫日報讎歸。片心惆悵清平世,酒市無人問布衣。」
があり、宋の賀鑄『六州歌頭』「少年侠氣,交結五都雄。肝膽洞,毛髮聳。立談中,生死同,一諾千金重。推翹勇,矜豪縱,輕蓋擁,聯飛
, 斗城東。轟飮酒
,春色浮寒甕。吸海垂虹。閒呼鷹嗾犬,白羽摘雕弓,狡穴俄空。樂怱怱。」
等、極めて多い。この詩、『少年行』ともする。
※少小辺州慣放狂:若い頃は国境地域で、むちゃくちゃなことも大目にみられていて。 ・少小:わかい(とき)。盛唐・賀知章の『回鄕偶書』に「少小離家老大回,鄕音難改鬢毛衰。兒童相見不相識,笑問客從何處來?」とある。 ・辺州:国境地域。ここを「辺頭」ともする。その場合も「国境地域」の意。 ・慣:甘やかす。放任する。習慣になる。 ・放狂:ほしいままにあれくるう、意。好き放題にあばれる、意。
※驏騎蕃馬射黄羊:異民族の馬の裸馬に乗って、モウコガゼル(=蒙古羚(もうこれい))の狩りをしていた。 ・驏騎:〔さんき;chan3qi2●○〕裸馬に乗る。馬具なしで馬に乗る。 ・蕃馬:〔ばんば;fan1ma3○●〕異民族の馬。外国の馬。=番馬。「蕃」:〔ばん;fan1○〕外国の。異民族の。=番。 ・黄羊:モウコガゼル。モンゴルの草原に産する野生の羊。=蒙古羚。
※如今年老無筋力:今は、歳をとって筋力も衰え(たので)。 ・如今:いま。現今。 ・年老:年老いる、の意。
※猶倚営門数雁行:(でも)なおまだ、兵営の門に凭(よ)りかかって、カリの列を数えている。 ・猶:いまだに。なおまだ。なおも。ここを「獨」ともする。 ・独:ひとり。 ・倚:よりかかる。よる。 ・営門:兵営の門。陣営の門。 ・数:(動詞)〔すう;shu3●〕かぞえる。(なお、(名詞)は:〔すう;shu4●〕かず)。 ・雁行:〔がんかう;yan4hang2●○〕名詞:(空飛ぶ)カリの行列。列(をつくって飛んで行く)ガン。 *(「行」は、多音字で(あり、音・声調ごとに多義に亘り: 〔hang2〕(名詞:列、ぎょう、行列)。 〔xing2○〕(動詞:ゆく)。 〔hang4〕(略)。 〔heng2〕(略))。
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◎ 構成について
韻式は「AAA」。韻脚は「狂羊行」で、平水韻下平七陽。この作品の平仄は、次の通り。
●●○○●●○,(韻)
●○○●●○○。(韻)
○○○●○○●,
○●○○●●○。(韻)
2017.12.10 12.11 |
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