囚徒手記 題壁
雁翼
文化武,武化文,
處處有新墳。
冤魂夜夜哭,
聲聲都是恨。
******
囚徒手記 壁に題す
文は 武と 化し, 武は 文と 化し,
處處に 新墳 有り。
冤魂 夜夜
(よよ)
に 哭く,
聲聲 都
(すべ)
て 是
(こ)
れ 恨。
**********
◎ 私感註釈:
※雁翼:文革期、冤罪で囚われの身となる。四川に基盤を置いた人。
※囚徒手記題壁:『囚人の手記』中にある、壁の落書きの詩。 ・囚徒手記:雁翼の手記名。 ・題壁:壁に詩句を書きとどめること。
※文化武,武化文:「文」(文明、文化)というものが殺伐としたものとなって、(逆に人民解放)軍は、おとなしくなったものだ。文武が顛倒した時代になった。 ・文化武:「文」(文明、文化)というものが殺伐としたものとなった。(「文」:S、「化」:V、「武」:O)。 ・化:…と変化を遂げる。 また、「文化」(文化大革命)は、猛々しいものである。(「文化」:S、「武」:V)。 ・武化文:軍は、おとなしくなったものだ。 *「槍桿子裏面出政權」といわれている体制の下での言葉。 ・文:おとなしい。おだやかである。 *前の「文化武」をもじったもので、「文化武,武化文」全体で、「『文』と『武』とが入れ替わった」の意になる。
※處處有新墳:方々に(処刑された者の)新しい墓ができた。 ・處處:方々に。到る処に。 ・有:…がある。 ・新墳:新しい墓。反革命罪で処刑されたり、武闘で殺されたりした者の墓を謂う。
※冤魂夜夜哭:冤罪で死んだ者の魂が夜毎、に泣き声をあげている。 ・冤魂:冤罪で死んだ者の魂。 ・夜夜:夜毎。毎夜。 ・哭:声をあげて泣く。
※聲聲都是恨:どの声もどの声も、すべて、うらみ(に満ちている)。 ・聲聲:どの声もどの声も。全ての声(が)。 ・都是:すべて…である。 ・恨:うらみ。この構文では名詞。
◎ 構成について:
韻式は「AAAAA」。押韻のしかたは近体詩のものでない。韻脚は「(文)(墳)恨」で、平水韻平声、平声(去声)、去声。近体詩(古詩でも)では、当然このような押韻はないが、現代詩では、このような声調を越えた押韻は多い。宋詞や元曲でははるが、詞譜としてそうするきまりであるのでここの例とは異なる。次の平仄はこの作品のもの。
○●●,●●○,(韻)
●●●○◎。(韻)
○○●●●,
○○○●●。(韻)
2006.6.10
6.12
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