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巫峽蒼蒼煙雨時, 淸猿啼在最高枝。 箇裏愁人腸自斷, 由來不是此聲悲。 ![]() |
巫峽 蒼蒼たり 煙雨の 時,
淸猿 啼きて在るは 最高の枝。
箇裏(ここ)の 愁人 腸 自ら斷つは,
由來は 是れ 此の聲の 悲しきにあらず。
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◎私感註釈
※巫峽:三峡のうちの真ん中の峡谷。巫山を巡ってその東の方一帯の峡谷。
※蒼蒼:濃緑色(の)。
※煙雨:きりさめ。南方人の言に拠るが、霏霏と降る霧雨は、日本では見られない細かいものだとのことである。
※巫峽蒼蒼煙雨時:巫峽は青々として、煙雨が降っている。
※淸猿:サル。もの悲しげな鳴き声を出す猿。
※啼在:…に啼いている。
※最高枝:一番高い枝。
※淸猿啼在最高枝:猿が一番高い枝で、(もの悲しげな鳴き声で)啼いている。
※箇裏:(白話)このなか。ここの。 ・箇:この。ここ。≒此。李白の「白髮三千丈,縁愁似箇長」や黄庭堅の「平生箇裏願杯深」の「箇」に同じ。 ・裏:なか。うち。≒中。
※愁人:悩みのある人。もののあわれを感じる人。
※腸自斷:腸が自然と断たれるほどのつらい思いをする。本来は母猿の悲しみのことからきている。
※箇裏愁人腸自斷:ここの(地の)愁人が、腸が自然と断たれるほどの深い悲しみに襲われるのは。
※由來:いわれ。わけ。根拠。
※不是:(白話)…でない。
※此聲悲:(猿の)その声が悲しげ。竹枝と猿の啼き声の悲しさについて唱った竹枝は、顧况の「巴人夜唱竹枝後,腸斷曉猿聲漸稀。」にもある。
※由來不是此聲悲:(その)わけは、その(猿の)声が悲しげだからではない。(その声を聞いて、自分の置かれた辛い立場を自覚して、断腸の思いをするわけである)。
◎ 構成について
平韻一韻到底。 韻式は「AAA」。韻脚は「時枝悲」で、平水韻上平四支。次の詞調はこの作品のもの。
●○○○○●○,(韻)
○○○●●○○。(韻)
●●○○○●●,
○○●●●○○。(韻)
2002.5.24 5.25完 5.28補 |
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