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八月十五日夜禁中獨直對月憶元九

唐・白居易


銀臺金闕夕沈沈,
獨宿相思在翰林。
三五夜中新月色,
二千里外故人心。
渚宮東面煙波冷,
浴殿西頭鐘漏深。
猶恐清光不同見,
江陵卑溼足秋陰。







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八月十五日夜 禁中獨直對月憶元九

銀臺 金闕  夕べに沈沈,  
獨宿 相ひ思ひて  翰林に在り。  
三五夜中  新月の色,  
二千里外  故人の心。  
渚宮の東面  煙波 冷やかに,  
浴殿の西頭  鐘漏 深し。  
猶ほ恐る 清光  同じく見ざるを,  
江陵は卑溼にして  秋陰 おほし。

                    ****************


◎ 私感註釈

※白居易:中唐の詩人。772年(大暦七年)〜846年(會昌六年)。字は楽天。号して香山居士。官は翰林学士、左拾遺を歴任するが、江州の司馬に左遷され、後、杭州刺史に任じられる。やがて刑部侍郎、太子少傅、刑部尚書を歴任する。その詩風は、平易通俗な語彙表現を好み、『楊柳枝』シリーズや、『竹枝詞』、『新楽府』シリーズと詩歌、音楽上の実験に精力的に挑戦し、諷諭詩や感傷詩でも活躍し、仏教に帰依した。本サイトでは、『抒情詩の頁』に多く集めている。

※八月十五日夜禁中獨直對月憶元九:陰暦八月十五日の夜、中秋節に、宮中でひとりで宿直をした際、月に向かって元稹(げんじん)にを思いを致した。 ・八月十五日夜:中秋節。陰暦八月十五夜。円満な月影は、団欒を意味する重要な節会。 ・禁中:天子の御所。宮中。 ・獨直:ひとりで宿直をする。なお、後出・「獨宿相思在翰林」での「獨宿」とは「ひとりだけで泊まる」意。 ・對月:月に向かう。十五夜に月に向かって親しい人を思い出すこと。 ・憶:〔おく;yi4●〕思い出す。思いやる。考える。忘れない。おぼえる。盛唐・李白に『憶東山』「不向東山久,薔薇幾度花。白雲還自散,明月落誰家。」がある。 ・元九:元稹(げんじん)のこと。「九」は排行で、(大家族制の)元家の九番目の男子の意。

※銀臺金闕夕沈沈:宮城の(翰林院近くの銀臺門や天帝の宮殿の黄金の門のような)御殿や門に、夜は深く静かに更(ふ)けゆき。 ・銀臺:仙人の居るところ。宮城の門の名(銀臺門)。また、銀臺門の北に翰林院があったので、翰林院を謂う。ここは、後者の意。 ・金闕:黄金の門の意で道教の天帝の宮殿。また、天子の宮殿。ここは、後者の意。 ・夕:ゆうべ。夜。 ・沈沈:深く静まっているさま。静まりひっそりしたさま。奥深く静かなさま。かくれるさま。夜の更けていくようす。静まりひっそりしたさま。かくれるさまの例に、張若虚の『春江花月夜』「春江潮水連海平,海上明月共潮生。??隨波千萬里,何處春江無月明。江流宛轉遶芳甸,月照花林皆似霰。空裏流霜不覺飛,汀上白沙看不見。江天一色無纖塵,皎皎空中孤月輪。江畔何人初見月,江月何年初照人。人生代代無窮已,江月年年祗相似。不知江月待何人,但見長江送流水。白雲一片去悠悠,青楓浦上不勝愁。誰家今夜扁舟子,何處相思明月樓。可憐樓上月裴回,應照離人妝鏡臺。玉戸簾中卷不去,擣衣砧上拂還來。此時相望不相聞,願逐月華流照君。鴻雁長飛光不度,魚龍潛躍水成文。昨夜鞨K夢落花,可憐春半不還家。江水流春去欲盡,江潭落月復西斜。斜月沈沈藏海霧,碣石瀟湘無限路。不知乘月幾人歸,落月搖情滿江樹。」があり、奥深く静かなさまの例に宋・陸游の『關山月』に「和戎詔下十五年,將軍不戰空臨邊。朱門沈沈按歌舞,厩馬肥死弓斷弦。戍樓斗催落月, 三十從軍今白髮。笛裏誰知壯士心,沙頭空照征人骨。中原干戈古亦聞,豈有逆胡傳子孫!遺民忍死望恢復,幾處今宵垂涙痕。」があり、夜の更けていくさまの例に、北宋・秦觀の『如夢令』に「遙夜沈沈如水風緊驛亭深閉。夢破鼠窺燈,霜送曉寒侵被。無寐,無寐,門外馬嘶人起。」や、宋の蘇軾の『春夜』に「春宵一刻値千金,花有C香月有陰。歌管樓臺聲細細,鞦韆院落夜沈沈。」とあり、宇文虚中の『在金日作』に「遙夜沈沈滿幕霜,有時歸夢到家ク。傳聞已築西河,自許能肥北海羊。回首兩朝倶草莽,馳心萬里絶農桑。人生一死渾闔磨C裂眥穿胸不汝忘。」がある。 ・止復吹:止まってはまた吹いているのが聞こえる。中唐・白居易の『長恨歌』に「九重城闕煙塵生,千乘萬騎西南行。翠華搖搖,西出キ門百餘里。」とある。

※獨宿相思在翰林:ひとりだけで、あなたのことに思いを致し(ながら)、翰林院に泊まっている。 ・獨宿:ひとりだけで泊まる。白居易の『五年秋病後獨宿香山寺三絶句其三』に「石盆泉畔石樓頭,十二年來晝夜遊。更過今年年七十,假如無病亦宜休。」とある。 ・相思:…に思いを致す。「相−」…に、…ていく。…に…てくる。「相」は、動作が対象に及んでくる時に使う。「…てくる」「…ていく」の意。「相互に」の意味はここではない。盛唐・王維の『竹里』に「獨坐幽篁裏,彈琴復長嘯。深林人不知,明月來。」とあり、白居易の『勸酒』「昨與美人對尊酒,朱顏如花腰似柳。今與美人傾一杯,秋風颯颯頭上來。年光似水向東去,兩鬢不禁白日催。東鄰起樓高百尺,題照日光。」 李白に『把酒問月』「天有月來幾時,我今停杯一問之。人攀明月不可得,月行卻與人。皎如飛鏡臨丹闕,拷喧ナ盡C輝發。但見宵從海上來,寧知曉向雲陝刀B白兔搗藥秋復春,娥孤棲與誰鄰。今人不見古時月,今月曾經照古人。古人今人若流水,共看明月皆如此。唯願當歌對酒時,月光長照金樽裏。」や、陶潜の『飮酒二十首』其一「衰榮無定在,彼此更共之。邵生瓜田中,寧似東陵時。寒暑有代謝,人道毎如茲。達人解其會,逝將不復疑。忽與一觴酒,日夕歡。」 、陶淵明の『雜詩十二首』其七の「日月不肯遲,四時催迫。寒風拂枯條,落葉掩長陌。弱質與運頽,玄鬢早已白。素標插人頭,前途漸就窄。家爲逆旅舍,我如當去客。去去欲何之,南山有舊宅。」や張説の『蜀道後期』「客心爭日月,來往預期程。秋風不,先至洛陽城。」杜甫の『州歌十絶句』其五に「西一萬家,江北江南春冬花。背飛鶴子遺瓊蕊,趁鳧雛入蒋牙。」とある。李U『柳枝詞』「風情漸老見春羞,到處消魂感舊遊。多謝長條似,強垂煙穗拂人頭。」 、范仲淹の『蘇幕遮』「碧雲天,黄葉地,秋色連波,波上寒煙翠。山映斜陽天接水,芳草無情,更在斜陽外。   黯ク魂,追旅思,夜夜除非,好夢留人睡。明月樓高休獨倚,酒入愁腸,化作思涙。」 前出・韋莊の『浣溪沙』「夜夜思更漏殘 など、下図のように一方の動作がもう一方の対象に及んでいく時に使われている。
B
もっとも、李白の「古風」「龍虎相啖食,兵戈逮狂秦」、「遠別離」の「九疑聯綿相似,重瞳孤墳竟何是。」「長相思」「相思,在長安」や王維の「入鳥不相亂,見獸相親。」などは、下図のような相互の働きがある。
B
ここでは、「相思相愛」の意ではない。 ・在:(…に)いる。(…に)ある。 ・翰林:〔かんりん;Han4lin2●○〕学者仲間、文士仲間。また、翰林院のことで、唐代に設けられた官庁。その官である翰林学士といって、天子の詔勅の作成を司った。ここでは、ここは、後者の意で、作者の出仕した翰林院のことで、後出・『大明宮圖』の図版では、大明宮の西端にある。『唐代的長安與洛陽地圖』(地図集)平岡武夫 原編 上海古籍出版社(1991年上海)(原・日本京都大学平岡武夫)の二十七圖 大明宮圖(一)、二十八圖 大明宮圖(二)二十九圖 大明宮圖(三)、三十圖 大明宮圖(四)、三十一圖 大明宮翰林學士院圖、三十二圖 大明宮學士院圖の絵図や地図に詳しい。

※三五夜中新月色:十五夜の夕刻、新たに東の空に上りたての月の様(さま)。 ・三五夜中:十五夜。 ・三五:十五。十五夜のこと。3×5=15。九九で数値を表現する。九九を使った表現の例としては、陶淵明の『責子』に「白髮被兩鬢,肌膚不復實。雖有五男兒,總不好紙筆。 阿舒已二八(=16歳),懶惰故無匹。阿宣行志學,而不好文術。雍・端年十三,不識六與七。通子垂九齡,但覓梨與栗。天運苟如此,且進杯中物。」とあり白居易の『勸酒』「昨與美人對尊酒,朱顏如花腰似柳。今與美人傾一杯,秋風颯颯頭上來。年光似水向東去,兩鬢不禁白日催。東鄰起樓高百尺,題照日光相射。珠翠無非二八(=16人),盤筵何啻三千客。」 や李清照の『永遇樂』「落日熔金,暮雲合璧,人在何處?染柳烟濃,吹梅笛怨,春意知幾許。元宵佳節,融和天氣,次第豈無風雨?來相召,香車寶馬,謝他酒朋詩侶。   中州盛日,閨門多暇,記得偏重三五(=15日(夜))。鋪翠冠兒,撚金雪柳,簇帶爭濟楚。如今憔悴,風鬟霜鬢,怕見夜間出去。不如向、簾兒底下,聽人笑語。」、「二八女郎」(16歳の妙齢の少女)とい表現もある。 ・新月:新たに東の空に上った月。また、夕方に西空に見える細い月。新月。三日月。ここは、「三五夜中」=十五夜で、満月の夜で、前者の意。夕刻、新たに東の空に上りたての月のこと。

※二千里外故人心:二千里も遥か離れたところにいる友人の思い。 ・二千里外:二千里以上離れたところ。白居易の『夢亡友劉太白同遊彰敬寺』に「
三千里外臥江州,十五年前哭老劉。昨夜夢中彰敬寺,死生魂魄暫同遊。」とある。蛇足になるが、ここの「二千里外故人心」の句だけを見た場合、「三千里外故人心」とする方がことばの調子がよいが、そうしないのは、「三五夜中新月色」で既に「三」が出ており、「三五夜」の三は変えられないため、「三⇒二千里外故人心」とした。 ・故人:古い知り合い。昔なじみ。ここでは、白居易の古くからの友人・元稹のことになる。盛唐・李白の『送友人』に「青山北郭,白水遶東城。此地一爲別,孤蓬萬里征。浮雲遊子意,落日故人。揮手自茲去,蕭蕭班馬鳴。」とあり、同・李白の『黄鶴樓送孟浩然之廣陵』に「故人西辭黄鶴樓,煙花三月下揚州。孤帆遠影碧空盡,惟見長江天際流。」とある。

※渚宮東面煙波冷:(湖北の江陵県城内にあった春秋時代の楚の)渚宮(しょきゅう)の東側のもやがたちこめた水面は、ひややかで冷たげであり。 ・渚宮:〔しょきゅう;Zhu3gong1●○〕春秋時代の楚の宮殿の名。現・湖北省江陵県城内にあった。また、なぎさに建っている宮殿。ここは、前者の意で、友人の元稹が左遷されて旅だったところ・江陵にあることに因る。 ・東面:東側。蛇足になるが、この「東面」は後出・「西頭」とどう違うかといえば、「東面」は○●で、詩句中の●●(或いは○●)とすべきところで使い、「西頭」は○○で詩句中の○○(或いは●○)とすべきところで使う。それ故、「渚宮東
煙波冷」では、「面」(●)は使えても「頭」(○)は使えない。 ・煙波:もやがたちこめた水面。唐・崔の『黄鶴樓』に「昔人已乘白雲去,此地空餘黄鶴樓。黄鶴一去不復返,白雲千載空悠悠。晴川歴歴漢陽樹,芳草萋萋鸚鵡洲。日暮ク關何處是,煙波江上使人愁。」とある。 ・冷:ひややかな。つめたい。

※浴殿西頭鐘漏深:大明宮にある湯堂殿の西の辺り(の翰林院)では、時間が過ぎて夜がふけている。 ・浴殿:〔よくでん;yu4dian4●●〕湯堂殿。宮中のゆどの。また、ゆどの。ここは、前者の意で、前出・『大明宮圖』の図版では、大明宮の中央(紫宸殿・蓬莱殿)の少し東にある。『唐代的長安與洛陽地圖』(地図集)平岡武夫 原編 上海古籍出版社(1991年上海)(原・日本京都大学平岡武夫)の二十七圖 大明宮圖(一)、二十八圖 大明宮圖(二)二十九圖 大明宮圖(三)、三十圖 大明宮圖(四)、三十一圖 大明宮翰林學士院圖、三十二圖 大明宮學士院圖の絵図や地図に詳しい。 ・西頭:西辺。前出・『大明宮圖』では、紫宸殿・蓬莱殿を中心にして東に浴堂殿、その反対側の西に翰林院がある。東側の浴堂殿を基にしていえば、浴堂殿⇒(西側)⇒紫宸殿・蓬莱殿⇒(西側)⇒翰林院となり、「浴堂殿の西側の翰林院となる。 ・鐘漏:〔しょうろう;zhong1lou4○●〕時を知らせるかねと水時計(漏刻)。 ・鐘漏深:夜がふけていること。

※猶恐清光不同見:なおも気にして恐れるのは、(あなた=元稹)が月光をともに見ていないかということだ。 ・猶恐:なおもまだおそれる。なおもおそれる。白居易の『燕詩示劉叟』に「梁上有雙燕,翩翩雄與雌。銜泥兩椽間,一巣生四兒。四兒日夜長,索食聲孜孜。青蟲不易捕,黄口無飽期。觜爪雖欲弊,心力不知疲。須臾千來往,
猶恐巣中飢。辛勤三十日,母痩雛漸肥。喃喃ヘ言語,一一刷毛衣。一旦苧ヰャ,引上庭樹枝。舉翅不回顧,隨風四散飛。雌雄空中鳴,聲盡呼不歸。卻入空巣裏,啾終夜悲。燕燕爾勿悲,爾當返自思。思爾爲雛日,高飛背母時。當時父母念,今日爾應知。」とある。『史記・魯周公世家第三』に「周公戒伯禽曰:『我文王之子,武王之弟,成王之叔父,我於天下亦不賤矣。然我一沐三捉髮;一三吐哺,起以待士,猶恐失天下之賢人。子之魯,慎無以國驕人。』」とある。 ・清光:月光。 ・不同見:一緒に見ることはない。

※江陵卑溼足秋陰:(というのも、あなたのいる)江陵は、土地が低くて湿気が多く、秋の冷えこみが激しい(と聞くからだ)。 ・江陵:現・湖北省江陵県友人の元稹が左遷されたところ。洞庭湖北北西100キロメートルのところ。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)52−53ページ「山南東道 山南西道」にある。 ・卑溼:〔ひしふ(ひしつ);bei1shi1◎●〕土地が低くて湿気が多い。また、へりくだる。心がいやしく下劣。ここは、前者の意。 ・足:満ち足りる。じゅうぶんである。後世、晩唐・于武陵は『勸酒』で「勸君金屈卮,滿酌不須辭。花發多風雨,人生
別離。」 と使い、後世、晩唐・陸龜蒙は『離別』で「丈夫非無涙,不灑離別間。杖劍對尊酒,恥爲游子顏。蝮蛇一螫手,壯士即解腕。所思在功名,離別。」と使う。 ・秋陰:秋の冷ややかさ。秋のくもり。また、秋の木蔭。ここは、前者の意。

               ***********




◎ 構成について

韻式は、「AAAAA」。韻脚は「沈林心深陰」で、平水韻下平十二侵。この作品の平仄は、次の通り。

○○○●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
○●●○○●●,
●○●●●○○。(韻)
●○○●○○●,
●●○○○●○。(韻)
○●○○●○●,
○○◎●●○○。(韻)
2010.4.13
     4.14
    (4.15半田・野間)
     4.16
     4.20補



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