四十九年一睡夢, 一期榮華一盃酒。 |
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辭世
四十九年 一睡の夢,
一期の榮華 一盃の酒。
◎ 私感註釈 *****************
※上杉謙信:享禄三年(1530年)〜天正六年(1578年)。戦国大名。
※四十九年一睡夢:四十九年の一生は、一眠りの(一度の)夢のようにはかないものである。 ・四十九年:上杉謙信の一生。 ・一睡夢:人生は一眠りの夢である。人生のはかない喩え。「一炊之夢」「黄粱一炊夢」に基づくか。また、豊臣秀吉の「露と落ち露に消えにしわが身かな難波のことも夢のまた夢」「露と落ち露と消えにし我が身かな浪速のことは夢のまた夢」「露と落ち露と消えぬる我が身かななにはのことは夢のまた夢」や織田信長が好んだという「人間五十年 下天のうちをくらぶれば 夢まぼろしのごとくなり」等とも、その精神において通ずるものがある。
※一期榮華一盃酒:一生の華やかな繁栄も、さかずきに一杯だけの酒である。(一生の華やかな繁栄も、一夜の酒での酔いの中の幻のようなものである。酒は、二杯目はない)。 ・一期:〔いちご;yi4qi1〕(国語)一生。 ・榮華:権力を得て、はなやかに栄えること。 ・一盃酒:さかづきに一杯だけの酒。(国語)満ちているさま。非常にたくさんであるさま。
◎これには、「一」という頭韻があるとはいえないか。
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◎ 構成について
韻式、韻脚はいえない。ただ頭韻はあるともいえる。次の平仄はこの作品のもの。
●●●○●●●,
●○○○●○●。
平成16.7.18完 平成21.4. 8補 |
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