王孫遊
南齊 謝
綠草蔓如絲,
雜樹紅英發。
無論君不歸,
君歸芳已歇。
**********************
。
王孫遊
綠草 蔓
(つる)
絲の如く,
雜樹 紅英 發く。
無論 君 歸らずとも,
君 歸るとも 芳
(かを)
り 已
(すで)
に歇
(や)
む。
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◎ 私感訳註:
※謝
:六朝南斉の詩人。
※王孫遊:雑曲歌辞。公子が女性の許を離れて旅路に就いている。『楚辭・招隱士』第二段「王孫遊兮不歸,春草生兮萋萋。」に基づく。この作品は、『玉臺新詠』第十巻にある。モチーフは、『楚辭』の招辞の一種である『招隱士』に「王孫遊兮不歸,春草生兮萋萋。歳暮兮不自聊,
蛄鳴兮啾啾。」に由来する。
※綠草蔓如絲:緑の草のツルが糸のように伸びて、思いが絡み。 ・綠草:緑の草。 ・蔓:ツル。つる草。 ・如絲:糸のようである。また、「絲」「思」の掛詞で、思いが糸のように伸びて絡み。 ・絲:「思」に掛けている。
※雜樹紅英發:色々な木々に赤く美しい花が開く(春となった)。 ・雜樹:雑木(林)。 ・紅英:赤い花びら。美しい花。 ・發:開く。
※無論君不歸:いうまでもなく、あなたが(遠く離れたところにいて)帰ってこなくとも(時間は流れ去って…)。 ・無論:いうまでもない、勿論。…にかかわらず、どうあろうとも、とにかく。 ・君:あなた。貴男。 ・不歸:帰ってこない。
※君歸芳已歇:(時間はひとりでに流れてゆき、)あなたが帰ってきたときは、花の香りはすでに止んでいることだろう。そして、わたしの容色も衰えていることだろう。 ・君歸:あなたが帰ってくる。 ・芳:花の香り。蛇足になるが、「芳」「香」の旧仮名遣いは「かをり」であって、「(シクラメンの)かほり」の如き表し方にはならない。 ・已:すでに。 ・歇:やむ。ここでは、花の凋み散ることをいう。この歌の主人公である女性の容色が衰えてゆくこともいう。
◎ 構成について
韻式は「AAA」。韻脚は「發歇」で、平水韻。次の平仄はこの作品のもの。
●●●○○,
●●○○●。(韻)
●●○○●,
○○○●●。(韻)
2003.11.20完
2004. 4.10補
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