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觀明州圖 | |
北宋・王安石 |
明州城郭畫中傳,
尚記西亭一艤船。
投老心情非復昔,
當時山水故依然。
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明州 の圖 を觀 る
明州 の城郭 畫中 に傳 ふ,
尚 ほ記 す西亭 に一 たび船を艤 せしを。
老 に投 りて 心情復 た昔 に非 ず,
當時の山水 故 より依然 たり。
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◎ 私感註釈
※王安石:北宋の政治家、改革者。文学者。天禧五年(1021年)~元祐元年(1086年)。字は介甫。号は半山。撫州臨川(現・江西省臨川)の人。神宗のとき宰相となり、変法(制度改革)を倡え強行したが、司馬光らの反対に遭い、やがて失脚して引退する。散文に優れる。唐宋八大家の一人。
※観明州図:明州(めいしう;Ming2zhou1)の絵図を見て(そこに居た、若かった頃を思い起こす)。 ・観:見る。眺める。 ・明州:現・寧波(ニンポー)。浙江省の商業都市。『中国歴史地図集』第六冊 宋・遼・金時期(中国地図出版社)24-25ページ「両浙路 江南東路」にある。作者・王安石は、二十歳代後半に明州の南・鄞県(ぎんけん;Yin2xian4)の知鄞県(鄞県の知事)に任じられたことがあり、よく知っている所。 ・図:絵図。
※明州城郭画中伝:明州の街の様子は絵の中に伝わっており。 ・城郭:都市。中国は城郭都市で、「城」は「内城の壁」のことで「郭」は「外城の壁」を謂う。また、城の周りの囲い。南宋・文天祥の『金陵驛』に「草合離宮轉夕暉,孤雲飄泊復何依。山河風景元無異,城郭人民半已非。滿地蘆花和我老,舊家燕子傍誰飛。從今別卻江南路,化作啼鵑帶血歸。」とある。
※尚記西亭一艤船:なお、まだ。西亭に船を暫く泊めたことを覚えている。 ・尚:なお。まだ。 ・記:覚えている。 ・西亭: ・鄞県(ぎんけん;Yin2xian4)の知事官舎の西のあずまや。 ・艤:〔ぎ;yi3●〕船を岸につける。
※投老心情非復昔:老年に至って、心情は昔とはまったく異なった(が)。 ・投老:〔とうらう;tou2lao3○●〕老境に入る。老年に至る。 ・投:至る。 ・非復-:(以前の時とは)まったく異なる。南朝・梁・沈約の『別范安成』に「生平少年日,分手易前期。及爾同衰暮,非復別離時。勿言一樽酒,明日難重持。夢中不識路,何以慰相思。」とあり、南宋・陸游の『沈園二首其一』に「城上斜陽畫角哀,沈園非復舊池臺。傷心橋下春波綠,曾是驚鴻照影來。」
とある。 ・非:…ではない。…にあらず。名詞を否定する。 ・復:また。ここでの用法は、リズムを整えるために使われている。東晋・陶淵明の作品
にもこの用例が多い。
※当時山水故依然:その頃の自然の山河は、以前のままだ。 ・当時:〔たうじ;dang1shi2○○〕その頃。そのとき。 ・山水:山と河や湖。また、大自然をいう。 ・故:もと。もとより。もとの。昔の。以前の。古い。いにしえ。また、ことさらに。わざと。故意に。ここは、前者の意。 ・依然:相変わらず。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「傳船然」で、平水韻下平一先。この作品の平仄は、次の通り。
○○○●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
●●○○○●●,
○○○●●○○。(韻)
2019.2.27 2.28 3. 1 |
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