康節（邵康節）再到洛陽　碇豊長の詩詞：漢詩 Shao Kangjie

再到洛陽

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　康節（邵康節）

當年曾是青春客，
今日重來白髮翁。
今日當年成一世，
幾多興替在其中。

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　　　　　　　　　　　再び洛陽に到る

當年たうねん　曾かつて是これ　　靑春の客かく，
今日こんにち　重かさねて來きたる　　白髮の翁をう。
今日　當年　　一世いっせいを成なし，
幾多の興替こうたい　其中そのなかに在あり。

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◎　私感訳註

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『聯珠詩格』卷三より

康節：（＝邵康節）邵雍のこと。北宋の哲学者。１０１１年（大中祥符四年）～１０７７年（煕寧十年）。名は雍。字は堯夫。康節は諡。ここでは､『聯珠詩格』に合わせている。祖先は范陽（現・河北省涿州市）で、父に従って共城（現・河南省輝県）に移った。晩年は洛陽に住み、司馬光や程顥、程頤、富弼、呂公著らと交わった。その哲学の内容は、象数の学で『周易』を解釈し、宇宙の形成を推理して、神秘的な先天象数の学を樹立した。宋学の提倡者で易を基礎として宇宙論を究め、象数論を開いた。著に『皇極經世書』『伊川撃壤集』がある。

※再到洛陽：再び洛陽に来た。註に「以一身之今昔爲一世之興替非妙於觀化者不能言。」とある。　・洛陽：河南省西部の都市。黄河の支流、洛水の北岸に位置し、周（洛邑）、後漢、西晋、北魏、（隋、唐）と都が置かれた。作者は晩年に移り住んだ。

※當年曾是青春客：あの頃は、年の若い旅人であった（が）。　・當年：〔たうねん；dang1nian2○○〕当時。あの頃。あの年。往時。蛇足になるが、當年：〔たうねん；dang4nian2●○〕は、その年の中に。ここは、前者の意。　・曾是：〔そうぜ；ceng2shi4○●〕かつて。以前に。宋・陸游の『謝池春』「壯歳從戎，曾是氣呑殘虜。陣雲高、狼烽夜舉。朱顏靑鬢，擁雕戈西戍。笑儒冠、自來多誤。　　　功名夢斷，卻泛扁舟呉楚。漫悲歌、傷懷弔古。煙波無際，望秦關何處。歎流年、又成虚度。」とある。　・青春：青年。年の若いこと。杜牧の『題禪院』に「船一棹百分空，十歳青春不負公。今日鬢絲禪榻畔，茶煙輕落花風。」とある。　・客：旅人。人士。

※今日重來白髮翁：今日（こんにち）、再び（洛陽に）来た時は、白髪（しらが）頭の老人（となっていた）。　・今日：こんにち。今。本日。　・重來：再び来た。重ねて来る。　・白髮翁：白髪（しらが）頭の男の老人。唐・張九齡の『照鏡見白髮』に「宿昔青雲志，蹉跎白髮年。誰知明鏡裏，形影自相憐。」とあり、李白に『將進酒』「君不見黄河之水天上來，奔流到海不復回。君不見高堂明鏡悲白髮，朝如青絲暮成雪。人生得意須盡歡，莫使金尊空對月。天生我材必有用，千金散盡還復來。烹羊宰牛且爲樂，會須一飮三百杯。岑夫子，丹丘生。將進酒，杯莫停。與君歌一曲，請君爲我傾耳聽。鐘鼓饌玉不足貴，但願長醉不用醒。古來聖賢皆寂寞，惟有飮者留其名。陳王昔時宴平樂，斗酒十千恣歡謔。主人何爲言少錢，徑須沽取對君酌。五花馬，千金裘。呼兒將出換美酒，與爾同銷萬古愁。」や、白居易の『代鄰叟言懷』「人生何事心無定，宿昔如今意不同。宿昔愁身不得老，如今恨作白頭翁」があり、王維の『歎白髮』は「宿昔朱顏成暮齒，須臾白髮變垂髫。一生幾許傷心事，不向空門何處銷。」とある。

※今日當年成一世：今回の（上京と）前回の昔の（上京とでは、）一世代・三十年を隔てているが。　・一世：三十年。一世代。東晉・陶潛の『歸園田居』五首の其四に「久去山澤游，浪莽林野娯。試攜子姪輩，披榛歩荒墟。徘徊丘壟間，依依昔人居。井竈有遺處，桑竹殘朽株。借問採薪者，此人皆焉如。薪者向我言，死沒無復餘。一世異朝市，此語眞不虚。人生似幻化，終當歸空無。」とある。

※幾多興替在其中：どれほど多くの興廃が、その間にあったことだろうか。　・幾多：どれほどの。どのくらいの多数の。　・興替：〔こうたい；xing1ti4○●〕おこると、すたれると。興廃。　・在：…にある。　・其中：その中。一度目に洛陽へ来た時と、今回の上京との間で、「一世・三十年」の間を謂う。