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章臺柳 | |
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唐 韓翃 |
章臺柳,章臺柳!
昔日靑靑今在否?
縱使長條似舊垂,
亦應攀折他人手。
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章臺 柳
章臺 の柳 ,
章臺 の柳!
昔日 の靑靑 たる 今在 りや否 や?
縱使 ひ長條 舊 の似 く垂 るるも,
亦 た應 に 他人の手にて攀折 さるべし。
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◎ 私感註釈
※韓翃:〔かんこう;Han2Hong2〕。中唐の詩人。生没年不詳。南陽(現・河南省南陽)の人。字は君平。天宝十三載(754年)の進士。宣武節度使となり、やがて、駕部郎中・知制誥に任ぜられ、中書舎人に至った。その詩は読んで面白く、語彙は豊かで、当時すこぶる名高かった。大暦十才子の一人。
※章台柳:「章台柳(しゃうだいりう)」は填詞の詞牌。(=詞の形式名)。この言葉が表す本来の意味である「章台の柳(やなぎ)」(章台の女性を暗示する/愛人の女性の姓・柳(りゅう)さん)の意があり、本意。この作品は詞。=填詞=詩餘
であって、近体詩の絶句ではない。なお、韓翃の愛する女性の柳氏が答えた詞・『章台柳』「楊柳枝,芳菲節。所恨年年贈離別。一葉隨風忽報秋,縱使君來豈堪折!」
は、こちらを参照。 ・章台:戦国時代に秦王が咸陽(現・陝西省長安県故城)に建てた宮殿。転じて、繁華な街。いろざと。盛唐・崔國輔の『長樂少年行』に「遺卻珊瑚鞭,白馬驕不行。章臺折楊柳,春日路傍情。」
とある。
※章台柳,章台柳:章台(しょうだい)の柳(やなぎ)よ、章台の柳よ。また、章台(しょうだい)の柳(りゅう)よ、章台の柳(りゅう)よ。(なお、「柳」(りゅう)は韓翃が愛した女性の姓。)
※昔日青青今在否:昔の青々とした(生き生きとした美しい姿)は、今もあるのだろうか。 ・昔日:むかし。 ・青青:あおあおとしたさま。青く生い茂ったさま。 ・今在否?:今、あるのだろうか。 ・否:…か。いな(や)。「…否。」文末につけて、疑問文となる。
※縦使長条似旧垂:よしんば、長い枝が昔のように枝垂(しだ)れていたとしても。/よしんば、美しい姿のままであったとしても。 ・縦使:〔(たとひ)zong4shi3●●〕よしんば…でも。よしんば…とも。たとえ…であろうとも。たとい。よしや。かりに。=縦令。 ・長条:長い枝。 ・似旧:昔のように。 ・垂:たれる。しだれる。
※亦応攀折他人手:(…していた)としても、きっと他人の手で、引っぱって(枝を)折(られている)だろう。/きっと折られて誰かのものになっているに違いなかろう。 ・亦:…ても。…も(また)。 ・応:〔おう;ying1○〕(副詞)当然…であろう。まさに…べし。また、…べきである。…なければならない。ここは、前者の意。 ・攀折:引っぱって(枝を)折る。 *草花を引っ張って折る動作に使う。なお、「折柳」については、漢代、長安の都を旅立つ人を見送る時、ヤナギの枝を折って、はなむけとした故事もある。盛唐・劉長卿の『七里灘重送』に「秋江渺渺水空波,越客孤舟欲榜歌。手折衰楊悲老大,故人零落已無多。」とあり、『涼州詞』「夜聽胡笳折楊柳,敎人意氣憶長安。」
とあり、盛唐・李白の『春夜洛城聞笛』に「誰家玉笛暗飛聲,散入春風滿洛城。此夜曲中聞折柳,何人不起故園情。」
とある。 ・他人:他の人。ほかの人。
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◎ 構成について
填詞。二十七字。(単調)。三仄韻。第一、二句は畳韻。韻式は「aaa」。韻脚は「柳否手」で、詞韻第十二部上声二十五有(平水韻上声二十五有)。この作品の平仄は、次の通り。
○○●,(韻)
○○●,(畳韻)
●●○○○●●。(韻)
●●○○●●○,
●○○●○○●。(韻)
2017.3.26 3.27 3.29 3.30 4.1 4.2 |
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