Huanying xinshang Ding Fengzhang de wangye

                            


六國之行・西行
陳毅



萬里西行急,
乘風御太空。
不因鵬翼展,
哪得鳥途通

海釀千鐘酒,
山栽萬仞蔥。
風雷驅大地,
是處有親朋。





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六國の行・西行


萬里  西行 急なれば,
風に乘りて  太空を(ぎょ)す。
鵬翼の展ずるに ()らずんば,
(いづく)にか得ん  鳥途(てう と )の通ずるを?
海は(かも)す  千鐘(せんしょう)の酒を,
山は()う  萬仞(ばんじん)(そう)を。
風雷(ふうらい)は  大地を()け,
是處( ぜ しょ)に  親朋(しんぽう) 有り。

                     ****************





◎ 私感註釈

※陳毅:中華人民共和国建国前後の将領、十大元帥の一。無産階級(プロレタリア)革命家、軍事家、政治家、中国人民解放軍創始者兼指導者の一、の称号がある。字は仲弘。四川省楽至県の人。曽て、勤労学生としてフランスに留学後、その地で中国人留学生による愛国運動に参加したことに因り強制送還。帰国後、中国共産党に入党。南昌蜂起に参加して井崗山(せいこうざん)に退く。後、抗日戦争時期前には南方で遊撃(ゲリラ)戦を展開。解放戦で活躍。中華人民共和国成立後は上海市長・国務院副総理・外交部部長などを歴任。文化大革命の時期は、所謂「四人幇」(四人組)によって抑えられ、「二月逆流」(反革命の運動)の首謀者の一とされた。死後(葬儀会場に於いて毛沢東により)名誉は恢復された。1901年〜1972年。

※六国之行・西行:六ヶ国の外国旅行・西域を通って(経典を取りに天竺へ)行く。*連作・『六国の行』中の第一首めである『西行』詩(このページの作品)。 *作者が外交部部長(日本での外務省の外務大臣)時代の1964年十月、十一月に政府代表団を率いてアルジェリア革命十周年祝賀会、カンボジア完全独立七周年祝賀会に参加し、インドネシアの招きに応じて訪問、その途上、パキスタン、アラブ連合共和国(当時)、ビルマの計六ヶ国を訪問した。その際の詩。毛沢東はこの詩を推敲し、詩題に「
西行」を附け加え、朱を入れて「不因鵬翼展,哪得鳥途通?海釀千鐘酒,山栽萬仞葱。」とした。 ・六国之行:アルジェリア、カンボジア、インドネシア、パキスタン、アラブ連合共和国、ビルマの六ヶ国の旅行。AA会議諸国(アジア・アフリカ諸国の政府レベルの会議参加国で、反帝国主義、反植民地主義、民族自決の精神、西側諸国にも東側諸国にも属さないことを指向する諸国)訪問。 ・西行:玄奘三蔵(三蔵法師)が長安を出発して西域を経て天竺(=インド)に入り、仏教の経典を持ち帰った旅行を指す。(これに基づいた物語が『西遊記』で孫悟空等が活躍する。)毛沢東はこの詩に、紛争地を目指して觔斗雲(きんとうん)にのった孫悟空をイメージしていたのだろう。直截には、アジア・アフリカ会議(AA会議)加盟諸国への訪問旅行を謂う。後出・毛沢東に孫悟空を詠った詩『七律 和郭沫若同志』一九六一年十一月十日に「一從大地起風雷,便有精生白骨堆。僧是愚氓猶可訓,妖爲鬼蜮必成災。金猴奮起千鈞棒,玉宇澄C萬里埃。今日歡呼孫大聖,只縁妖霧又重來。」がある。

※万里西行急:非常に遠い距離を西域の方へ慌ただしく行き。 ・急:忙しい。慌ただしい。また、激しい。急激である。速い。現代・毛沢東の『漁家傲・反第二次大『圍剿』』一九三一年夏に「白雲山頭雲欲立,白雲山下呼聲
,枯木朽株齊努力。槍林逼,飛將軍自重霄入。   七百里驅十五日,贛水蒼茫閩山碧,掃千軍如捲席。有人泣,爲營歩歩嗟何及!」とあり、『十六字令 其二』一九三四年到三五年に「山,倒海翻江捲巨瀾。奔騰,萬馬戰猶酣。」とあり、『滿江紅・和郭沫若同志』一九六三年一月九日に「小小寰球,有幾個蒼蠅碰壁。嗡嗡叫,幾聲凄氏C幾聲抽泣。螞蟻縁槐誇大國,蚍蜉撼樹談何易。正西風落葉下長安,飛鳴鏑。   多少事,從來;天地轉,光陰迫。一萬年太久,只爭朝夕。四海翻騰雲水怒,五洲震盪風雷激。要掃除一切害人蟲,全無敵。」とある。

※乗風御太空:勢いよく風に乗って宇宙を制禦した/大空を飛行機に乗って。 ・乗風:勢いよく風に乗る。 ・御:統御する。=禦。 ・太空:宇宙。

※不因鵬翼展:鵬(おおとり)が翼(つばさ)を拡(ひろ)げたのに頼らなかったら。/文明の利器・飛行機に頼らなかったら。 ・不因:…に頼らない。 ・因:頼る。借りる。 ・鵬翼:〔ほうよく;peng2yi4○●〕万里を飛ぶことが出来る鵬の翼。ここでは飛行機を謂う。「鵬」:〔ほう;peng2○〕想像上の大鳥。『莊子』内篇・逍遙遊・第一の最初の部分「北冥有魚,其名爲鯤。鯤之大,不知其幾千里也。化而爲鳥,其名爲。鵬之背,不知其幾千里也;怒而飛,其翼若垂天之雲。是鳥也,海運則將徙於南冥;南冥者,天池也。……鵬之徙於南冥也。水撃三千里。搏扶搖而上者九萬里。」からきている。毛沢東の『蝶戀花・從汀州向長沙』一九三〇年七月に「六月天兵征腐惡,萬丈長纓要把鯤
鵬縛。贛水那邊紅一角,偏師借重黄公略。   百萬工農齊踊躍,席捲江西直搗湘和鄂。國際悲歌歌一曲,狂飆爲我從天落。」とあり、同・毛沢東の『念奴嬌・鳥兒問答』一九六五年秋に「,九萬里,翻動扶搖羊角。背負天朝下看,キ是人間城郭。炮火連天,彈痕遍地,嚇倒蓬間雀。怎麼得了,嗳呀我要飛躍。   借問君去何方,雀兒答道:有仙山瓊閣。不見前年秋月朗,訂了三家條約。還有喫的,土豆燒熟了,再加牛肉。不須放屁,試看天地翻覆。」とある。 ・展:(つばさを)ひろげる。

※哪得鳥途通:どうして鳥の通う道を行けようか。 ・哪得:どうして。*疑問・詰問・否定・反問。 また、どこで…が得られようか。*時間・場所・人・物に関する疑問代詞。 ・哪:どこ。また、どの。どれ。  ・得:できる。得る。 ・鳥途:鳥の通う道。また、(鳥だけが通える)険しい山道。ここは、前者の意。 ・通:かよう。

※海醸千鐘酒:海は、千杯の酒を醸(かも)して。 ・醸:かもす。醸造する。 ・千鐘酒:千杯の酒。多くの酒。 ・鐘:…杯(の)。量詞(助数詞)で、酒や茶の杯数を表す。=盅。また、小さな円い酒杯や茶碗。ここは、前者の意。

※山栽万仞葱:山は、きわめて高いネギを栽培している。/山は、きわめて高い青い崖が断ち切られている。*「山栽万仞葱」と「栽…葱」と「葱(ネギ)」が唐突に出ているが、「海醸千鐘酒」の句と対で、 「醸…酒」の「酒」が「葱(ネギ)」と対になっており、それなりに自然。但し、「山栽万仞葱」の句だけ見ると、「山裁万仞葱」としたくなるのもよく分かる。 ・栽:植えつける。栽培する。「裁」だとすると:(刃物で紙や布を)裁(た)つ。取り除く。とりさばく。 ・万仞:きわめて高い山。 ・仞:〔じん;ren4●〕ひろ。高さや深さを測る単位。周代の制で一仞=七尺(/八尺)一尺≒二十二、五センチメートル。「万仞」は:22.5(cm)×7(/8)×10000÷100=15750m(〜18000m)。 ・葱:〔さう;cong1○〕ネギ。また、あおい。浅い青色。青々と茂るさま。

※風雷駆大地:暴風と雷が大地を駆けめぐり。/すさまじい力の革命的な動乱が世の中を覆(おお)い。 ・風雷:暴風と雷。すさまじい力を表し革命的な動乱のさまを表現するのに屡々用いられる。毛沢東の『七律 和郭沫若同志』一九六一年十一月十日に「一從
大地風雷,便有精生白骨堆。僧是愚氓猶可訓,妖爲鬼蜮必成災。金猴奮起千鈞棒,玉宇澄C萬里埃。今日歡呼孫大聖,只縁妖霧又重來。」とあり、『念奴嬌・井岡山』一九六五年五月に「參天萬木,千百里,飛上南天奇岳。故地重來何所見,多了樓台亭閣。五井碑前,黄洋界上,車子飛如躍。江山如畫,古代曾云海香B彈指三十八年,人間變了,似天淵翻覆。猶記當時烽火裡,九死一生如昨。獨有豪情,天際懸明月,風雷磅礴。一聲鷄唱,萬怪煙消雲落。」とあり、『水調歌頭・重上井岡山』一九六五年五月に「久有凌雲志,重上井岡山。千里來尋故地,舊貌變新顏。到處鶯歌燕舞,更有潺潺流水,高路入雲端。過了黄洋界,險處不須看。   風雷,旌旗奮,是人寰。三十八年過去,彈指一揮間。可上九天攬月,可下五洋捉鼈,談笑凱歌還。世上無難事,只要肯登攀。」とある。 ・駆:駆(か)ける。また、駆(か)る。追う。走らせる。追いたてる。 ・大地:(人々が生活をいとなむ場としての)地上。広くて大きな土地。全世界。地球。前出・毛沢東の『七律 和郭沫若同志』一九六一年十一月十日に「一從大地風雷便有精生白骨堆。僧是愚氓猶可訓,妖爲鬼蜮必成災。金猴奮起千鈞棒,玉宇澄C萬里埃。今日歡呼孫大聖,只縁妖霧又重來。」とある。

※是処有親朋:いたるところに(闘争精神に満ちた)親戚と友人がいる。 ・是処:いたるところ。 ・親朋:親戚と友人。=(中国語での)親友。(蛇足になるが、「親友」「親朋」は:日本語では第一義的には「親しい友人」の意だが、現代中国語では通常「親類と友だち」の意。)反帝国主義、反植民地主義、民族自決の精神を持った闘争的なアジア・アフリカの親しい友人。



              ***********





◎ 構成について

韻式は、「AAAA」。韻脚は「空通葱朋」で、平水韻上平一東(空通葱)、下平十蒸(朋)。現代語の新韻-ongと-eng。古典的な詩韻では、通韻しない。この作品の平仄は、次の通り。


●●○○●,
○○●●○。(韻)
●○○●●,
●●●○○。(韻)
●●○○●,
○○●●○。(韻)
○○○●●,
●●●○○。(韻)

2014.12. 2
     12. 3
     12. 5
     12. 6
     12. 7
     12. 9
     12.10





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