Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye



念奴嬌

    井岡山
一九六五年五月



參天萬木,
千百里,
飛上南天奇岳。
故地重來何所見,
多了樓台亭閣。
五井碑前,
黄洋界上,
車子飛如躍。
江山如畫,
古代曾云海綠。


彈指三十八年,
人間變了,
似天淵翻覆。
猶記當時烽火裡,
九死一生如昨。
獨有豪情,
天際懸明月,
風雷磅礴。
一聲鷄唱,
萬怪煙消雲落。





                    ******

          念奴嬌  井岡山

參天の 萬木,
千百里,
飛上る 南天の奇岳に。
故地 重ねて來れば  何の見ゆる所ぞ,
多了
(ふえ)たり  樓台亭閣。
五井碑の前,
黄洋界上,
車子 飛ぶこと 躍するが如く。
江山 畫の如く,
古代 曾て云ふ 海綠と。


彈指す 三十八年,
人間 變はり了
(おほし)たりて,
似たり  天淵の翻覆せるに。
(なほ)も記す  當時の烽火の裡(うち)
九死に一生 昨
(さく)の如し。
(ひと)り 豪情 有れば,
天際に 明月 懸りて,
風雷 磅礴たり。
一聲 鷄 唱せば,
萬怪 煙消 雲落す。

                *****************

◎ 私感註釈

※念奴嬌:双調。壱百字。『念奴嬌』は、『江月』、『大江東去』ともいう。韻式は「aaaa aaaa」。一般に入声韻を使用。 *此の詞は『水調歌頭・重上井岡山』と同時期(『水調歌頭』のすぐあと?)に作られたので、似通った語彙がある。

※井岡山:〔せいかうざん;Jing3gang1shan1●○○〕湖南省と江西省に跨る山岳地帯。革命根拠地。井崗山〔せいかうざん;Jing3gang
1shan1●○○〕とも書く。1927年、北伐軍の進出に伴い、矛盾が激化し、国民革命の主導権争いの 結果、4月12日、クーデターが 起こり、共産党と国民党側とは、完全に別れることとなった。同年八月の江西省・南昌蜂起(八一南昌起義)や収穫時の蜂起(秋収起義)があり、後、決起した者達は省境 の井岡山に拠った。これらの隊列が後の中国労農赤軍(工農紅軍)となる。この作品は革命成就後十六年、文革発動前夜のものである。

※一九六五年五月:毛沢東の提倡した大躍進政策が失敗し、三年続きの自然災害とソ連との対立も重なった結果、数千万人の餓死者を出した。毛沢東は自己批判を行って国家主席を辞任し、経済は調整局面に入った。経済の第一線を退いた毛沢東は政治面で反撃に移り、プロレタリア階級とブルジョワ階級の間の階級闘争、社会主義と資本主義という二つの道が存在するとして、階級闘争が強調されていった文化大革命の前夜の詞作。この詞は『水調歌頭・重上井岡山』「久有凌雲志,重上井岡山。千里來尋故地,舊貌變新顏。到處鶯歌燕舞,更有潺潺流水,高路入雲端。過了黄洋界,險處不須看。   風雷動,旌旗奮,是人寰。三十八年過去,彈指一揮間。可上九天攬月,可下五洋捉鼈,談笑凱歌還。世上無難事,只要肯登攀。」と同時期に作られている。なお、毛沢東に替わって経済調整策を実行した劉少奇や鄧小平は、文化大革命の時期に「実権派」として打倒された。

※參天萬木:天に接する(ばかりの)多くの樹々(は)。 *「萬木參天」とするところ。 ・參天:天に接する。 ・萬木:多くの木々。『漁家傲・反第一次大“圍剿”』一九三一年春に「
萬木霜天紅爛漫,天兵怒氣衝霄漢。霧滿龍岡千嶂暗,齊聲喚,前頭捉了張輝瓚。   二十萬軍重入贛,風煙滾滾來天半。喚起工農千百萬,同心干,不周山下紅旗亂。」とある。

※千百里:何千何百里(にも亘って続いている)。 ・千百:何千何百。 *中国の1里は日本の八分の一、500メートルほどなので、「千百里」では「数百キロメートルにも亘って」。

※飛上南天奇岳:南の空の奇岳(=井崗山)に飛びたつ(が如くである)。 *「奇岳飛上南天」とするところ。その場合、「奇岳は南の空に飛ぶ(が如くである)」になる。 ・飛上:飛ぶ。 ・南天:南の空。南天門。 ・奇岳:ここでは、井崗山のことになる。「南天奇岳」:井崗山。

※故地重來何所見:嘗て住んでいた(井岡山へ)重ねて来たが、いったい何が見えたのかというと。 ・故地:以前住んでいたところ。 ・重來:重ねて来た。 ・何所見:いったい何を見たのか。行為の目標や帰着するところ。 ・見:みえる。蛇足になるが、「みる」の意は「看」を使うことが多い。

※多了樓台亭閣:いろいろな建物が増えた。 ・多了:〔白話〕多くなった。増えた。 ・了:…た。…くなった。〔白話〕動詞や形容詞の後に付き、動作や状態の完了を表す。 ・樓台亭閣:いろいろな建物。樓・台・亭・閣は、それぞれ異なった様式の建築物。

※五井碑前:五井碑の前。 ・五井碑:井岡山の茨坪を中心に、大井、小井、上井、中井、下井があり、五井碑がある。

※黄洋界上:黄洋界で(は)。 ・黄洋界:地名。井岡山の北西にある入り口の一つで、絶壁と谷に挟まれた狭い道を指す。

※車子飛如躍:くるまは、飛ぶような速さである。 ・車子:〔白話〕くるま。自動車。 ・-子:〔白話〕名詞などの後ろに附く接尾辞。これだけの特別な意味はない。 ・飛如躍:速さは飛ぶようで。 ・飛:高い所を飛翔する。 ・躍:ぴょんぴょん跳躍する。

※江山如畫:(祖国の)山河は、絵のようである。 ・江山:(祖国の)山河。 ・如畫:絵のようだ。

※古代曾云海綠:古代では、嘗ては青い海原であったと云われている。 ・曾云:かつて…といわれた。 ・海綠:ここでは、緑の海をいう。

※彈指三十八年:指をはじくように、三十八年は、(あっという間に過ぎ去った)。 ・彈指:彈指:指をはじく時間。仏教用語で、きわめて短い時間。ここは、後者の意。 ・三十八年:三十八年前の1927年夏に井岡山に登ったことを指す。

※人間變了:世の中は変わった。 *これに似た用法は『浪淘沙・北戴河』「大雨落幽燕,白浪滔天,秦皇島外打魚船。一片汪洋都不見,知向誰邊?往事越千年,魏武揮鞭,東臨碣石有遺篇。蕭瑟秋風今又是,
換了人間。」や、七律『到韶山』の「別夢依稀咒逝川,故園三十二年前。紅旗捲起農奴戟,黑手高懸覇主鞭。爲有犧牲多壯志,敢敎日月換新天。喜看稻菽千重浪,遍地英雄下夕煙。」がある。 ・人間:世の中。 ・變了:〔白話〕変わった。「了」は前述の動詞や形容詞の後に付き、動作や状態の完了を表すはたらきのものに同じ。

※似天淵翻覆:天地が覆る(大変革)みたいだ。 ・似:似る。…のようだ。…みたいだ。領字。 ・天淵:天と深淵。天地。天壌。 ・翻覆:くつがえる。七律『人民解放軍領南京』の「鍾山風雨起蒼黄,百萬雄師過大江。虎踞龍盤今勝昔,天翻地覆慨而慷。宜將剩勇追窮寇,不可沽名學覇王。天若有情天亦老,人間正道是滄桑。」に同じ。

※猶記當時烽火裡:その当時の戦火を、まだ覚えている。 ・猶記:まだなおも覚えている。 ・記〔白話〕記憶している。 ・當時:その当時。 ・烽火:のろし火。敵軍の侵攻の合図ののろし。転じて戦火。盛唐・杜甫の『春望』に「 國破山河在,城春草木深。感時花濺涙,恨別鳥驚心。烽火連三月,家書抵萬金。白頭掻更短,渾欲不勝簪。」とある烽火。 ・裡:〔白話〕…の中で。

※九死一生如昨:九死に一生を得た(あの日々は、)まるで昨日のようである。 ・九死一生:九死に一生。 ・如昨:昨日のようである、の意。

※獨有豪情:(自分)独りが雄々しい思いを持って。 ・獨有:ただ独り。七律『冬雲』「雪壓冬雲白絮飛,萬花紛謝一時稀。高天滾滾寒流急,大地微微暖氣吹。獨有英雄驅虎豹,更無豪傑怕熊羆。梅花歡喜漫天雪,凍死蒼蠅未足奇。」や七律『讀報有感』「托洛斯基返故居,不戰不和欲何如?靑雲飄下能言鳥,黑海翻起憤怒魚。愛麗舍宮唇發黑,戴維營裡面施朱。 新聞歳歳尋常出,獨有今年出得殊。」と、この表現を好む。中唐・白居易の『餘杭形勝』「餘杭形勝四方無,州傍靑山縣枕湖。遶郭荷花三十里,拂城松樹一千株。夢兒亭古傳名謝,敎妓樓新道姓蘇。
獨有使君年太老,風光不稱白髭鬚。」とある。 ・豪情:雄々しい思い。

※天際懸明月:空の果ての遥か向こうに明月が懸って。 ・天際:天の果て。天涯。盛唐・李白の『黄鶴樓送孟浩然之廣陵』「故人西辭黄鶴樓,煙花三月下揚州。孤帆遠影碧空盡,惟見長江天際。」の「天際」。

※風雷磅礴:狂風と激しい雷のような革命勢力の勢いは、盛んになった。 ・風雷:〔白話〕狂風と激しい雷。革命勢力などの勢いの強い衝撃力をいう。毛沢東の『七律 和郭沫若同志』(一九六一年十一月十日)に「一從大地起風雷,便有精生白骨堆。僧是愚氓猶可訓,妖爲鬼蜮必成災。金猴奮起千鈞棒,玉宇澄淸萬里埃。今日歡呼孫大聖,只縁妖霧又重來。」とあり、前出・『水調歌頭・重上井岡山』では「
風雷動,旌旗奮,是人寰。三十八年過去,彈指一揮間。可上九天攬月,可下五洋捉鼈,談笑凱歌還。世上無難事,只要肯登攀。」とある。 ・磅礴:〔はうはく;pang2bo2○●〕盛んである。いっぱいになる。満ち塞がる。広大である。広大で限りのないさま。広く行きわたるさま。

※一聲鷄唱:ひと声、おんどりが時を告げて、「明るい朝が来たよ、天地が赤く染まったよ」と啼く通りに、世の中がなったら。

※萬怪煙消雲落:数多くの妖怪変化は雲散霧消して、跡形もなく消えてしまった。 ・萬怪:多くの妖怪変化。一年後に発動された文化大革命で、“牛鬼蛇神”として粛清された党派とそれに関わる人物を指していよう。 ・煙消雲落:〔白話〕跡形もなく消えてしまう。成語の“煙消雲散”に同じ。「落」字で韻を踏むため、「散」字を「落」字に変えた。 ・雲落:あまり見慣れない語。「唯應碧湘浦,雲落+及・芙蓉。」「瀑布+和雲・落,仙都與世疏。」等があり、前者がこれに近いようだがここではそれ程深く考えていないようだ。





◎ 構成について

  双調。壱百字。念奴嬌は、江月、大江東去ともいう。 韻式は「aaaa aaaa」。一般に入声韻を使用。韻脚は「岳閣躍綠 覆昨落」で、第十五部入聲一屋二沃通用で、一屋:(覆)。二沃:(綠)と第十六部 入聲三覺十藥通用で、三覺:(岳)。十藥:(落閣躍昨)。ゆるやかな用韻である。

   
○○●,
   ●●、○○●。(入声韻)
   ○○●●,
   ●○○●。(入声韻)
   ●○○,
   ●,
   ●○○●。(入声韻)
   ○○●,
   ○○●○●。(入声韻)


   ●○○,
   ○○●,
   ●○○●(入声韻)。
   ○○●●,
   ○○●。(入声韻)
   ●○○,
   ●,
   ●○○●。(入声韻)
   ○○●,
   ○○●○●。(入声韻)

    
2002.7. 2
     7. 3
     7. 4
     7. 5
     7. 6完
2013.3.28補
     3.29



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