ルーバーブ:バトルオブブリテンが過ぎ、海峡には奇妙な静けさが。でも、お互いの空軍はちまちまちょっかいをかけ合っていました。たまに、チャンネルダッシュのような大事件も・・・
撃墜王 |
ピエール・クロステルマン/ソノラマ文庫 |
多感な若者クロステルマンがイギリスでの訓練ののち、自由フランス空軍の戦闘機パイロットとしてフランスの空へ。ちょっとセンチな若者の正直な日記。
正直いって、2番目に好きな空戦記です。
かれの宿敵はアベビル・ボーイズなので、Fw190の描写は必ず「きいろい」。黄色い頭の190が作りたくなっちゃいます。
(最近、カラーで見た190は下面がホントに黄色く見えたりする!)
ヘルマン・グラーフと会敵するところが出てきますが、かれの無線での声が鼻声なので、「ドナルドダッグ」とあだ名していたなどというおもしろい話も。
傲慢無礼な邦題は日本人がつけたので、本人はまったく強がっていないので、トルシエ監督みたいな人を想像して読むと肩透かしです。
タイフーンに試しのりするシーンなんて、本当におっかなびっくりでほほ笑ましい。
原題は、「でっかい騒ぎ(大サーカス)」。どんなニュアンスなんでしょう。敵味方の大編隊が入り乱れてでっかい格闘戦の渦を作ってたのかな・・・最後まで読むとでてきますけど・・・
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英仏海峡の空戦 |
デズモンド・スコット/
岡部いさく 訳/ソノラマ文庫
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ニュージーランドの騎兵出身のタイフーンのりの回想。バトルオブブリテンをハリケーンで生き抜いたようなことをところどころのぞかせるものの、メインテーマは愛機の困ったちゃん戦闘機「タイフーン」です。で、最初のうちはイギリスに低空で侵入するFw190の迎撃なのですが、そのうち、積極的にフランスへ荒しにでかけます。
タイフーンの困ったちゃんぶりがさらりと書かれていて、すごい。一酸化炭素中毒の危険があるので離陸時から酸素マスクが必要だ、とか、攻撃時に仲間の尾部がとれて墜落するシーンで、「あのパターンの事故で生きて帰ったものはいない」とか、タイフーンで着水して助かった例を知らない、とか、いや、すごい。メッサーシュミット163なみ。
不時着して燃え上がったスピットファイアの乗員を大やけどしながら助けようとする男らしさもあり、動物にも優しく、読んでいて、すっかりこの著者が好きになってしまったです。
で、この空戦記が一番好きなのでした。3番がラム・・
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編隊飛行 |
J・E・ジョンソン/小出英一 訳/ソノラマ戦記文庫 |
このころからぼちぼち採用になった「フィンガーフォア」についての分かりやすい解説。
この人、戦闘についてかなりアカデミックなのに驚かされます。冒頭に大編隊主義か、小編隊主義かでかれの論敵となっていたダグラス・バーダー卿の言葉が贈られているのですが、それがイギリス人らしくて素敵。
部隊はタングミアへ。スピットは2型から5型へ。エルロンは金属に。そして初撃墜。
さらに乗機はスピット6型へ。で、なぜか高度300メートルで「与圧」されながら船団護衛・・・つぎにはキャノピ無しで・・・それから610中隊ヘ。
ディエップ上陸作戦。
結婚。なかなか忙しいです。
さまざまなエピソードが豊かに描写され、カラーで目に浮かんできそうです。すばらしい。
空戦中に出会うメッサー109がカッコよく描写されていてプラモを作りたくなります。
低高度での12型についても記述アリ。
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戦うスピットファイア |
ホウルトン/ソノラマ文庫 |
ニュージーランド人のスピットファイア乗り。マルタから本土へ帰ってきました。やはりフランス上空でFw190とやり合います。
「ああ、Fw190ってなんてすばらしい飛行機なんだろう」と後ろ姿に見とれながら撃墜しちゃうとこが素敵。
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撃墜 |
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亡命チェコ人のフランス脱出行。空戦シーンは冒頭で撃墜されるとこのみ?フランスから抜け出すまでのフランスの地下組織が珍しいです。 |
高速戦艦脱出せよ |
ジョン・ディーン・ポター/
内藤一郎 訳/早川文庫
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通商破壊作戦からフランスに戻った二隻の美しい姉妹「シャルンホルスト」と「グナイゼナウ」。そして、ライン演習から戻ったこれまた美しい「プリンツ・オイゲン」。この三隻と駆逐艦数隻が、白昼どうどうとドーバー海峡を抜けてドイツに帰るまで。
主にインタビューをもとにした敵味方、さまざまな人間模様が描かれています。
全滅したソードフィッシュの雷撃行が悲しいけどユーモラスなのは、名翻訳者 内藤一郎さんの腕のさえ。
チャーチルの起き抜けの電話への一言「WHY!?」が、痛快っちゃ痛快。
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大空戦 |
E・H・シムズ/石川好美 訳/ソノラマ戦記文庫 |
インタビュー。ビューリゲン、 |
撃墜王 |
スティーブン・クーンツ 編/高野裕美子 訳/講談社文庫 |
シムズの筆になる、ガランドが一日に2回撃墜されたエピソード。調子の悪い日もあるわな。戦争中だと、それが死につながってしまうのだけれども。彼はその日、運が良かったようです。 |
ヒトラーの戦艦 |
エドウイン・グレイ/都島惟男 訳/光人社文庫 |
ライン演習のあとのドイツ海軍。時系列が追いやすく、大変重宝してます。チャンネルダッシュには大きくページをさいています。 |
Dr.ヘリオットのおかしな体験 |
ジェイムズ・ヘリオット/池澤夏樹 訳/集英社文庫 |
田舎の獣医ヘリオット先生は、空軍に徴兵されてパイロットになるための訓練の毎日。おりに触れて思い出すのは、田舎で診察した動物達と、そこに住む人びと。温かい目が全てのものに注がれていて、とってもいい本です。(もちろん戦友たちにもね!)
田舎の獣医は肉体労働なのだなっと思ったりします。で、やっとタイガーモスに乗れましたが・・・
RAFの教育課程は余裕があって、予科練の課程とかに較べると、日本人としては悲しくなってしまいます。
実話ですが、著者名はペンネーム。
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死闘の駆逐艦 |
ロジャー・ヒル/雨倉孝之 訳/ソノラマ戦記文庫 |
新型駆逐艦でスカパでの訓練。ジャイロ砲架のボフォース砲とか、新造戦艦の「アンソン」とかが出てきます。
本人はのんきでおっちょこちょいなものの人間が練れてきたらしく、読んでいて楽しい。爆雷で魚取りしたり。婦人部隊といいことしたり。
続いてビスケー湾での饗宴(Uボート狩り)ヘ。ポーランド人はなににでも撃ってくるというのがおもしろいです。
誘導爆弾と通信諜報の話も出てきます。攻撃される側から見た誘導グライダー爆弾(ヘンシェル293)の記述は貴重です。ちゃんと敵をドルニエ217と識別しています。
撃沈した潜水艦についての訳注ですが、これは太平洋帰りのUボートだったのでしょう。
で、カリブディス以下、臨時に集成された水雷戦隊で輸送船狩りにでかけて・・・
またまた地中海へ。
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