戦記のお部屋(第五分室)

この部屋は、ヨーロッパにおける第二次世界大戦の、アフリカからスターリングラードまでと、大西洋。

アフリカ:ファシスト・イタリアは、植民地欲に駆られて戦前からリビアにちょっかいをだしていましたけれど、ドイツの尻馬にのって対英宣戦布告をしたとたん、イギリスが待ってましたとばかりにリビアへ(・・・これであってるかな・・・?)

ロンメル元帥が有名。

雷撃 ラム/ソノラマ戦記文庫 ドイツ人のくる前の砂漠の戦闘。やっぱり彼はボクサーでした・・・7人の小人の歌が好きな・・・
砂漠のキツネ パウル・カレル/フジ出版 まだ読んでません・・・(持ってるんだけどね。)
ロンメル将軍 ハインツ・シュミット/角川文庫 アフリカ軍団でロンメルの幕僚だった人の回想。ソフトスキン好きな人にはたまらない、「AECドチェスター〜マムート〜」捕獲時の描写も(あのゴーグルとともに)出てきます。
ロンメル将軍 デズモンド・ヤング/清水政二 訳/早川文庫 イギリス人が、戦後に総括するロンメル。ヤングはアフリカで捕虜になって、ロンメルと会っています。道端で。

映画にもなった。

砂漠の戦争 アラン・ムーアヘッド/平井イサク 訳/早川文庫 アフリカの闘いに従軍したジャーナリストの手記。イタリアボロクソ。かれらの残していったレトルトのパスタソースなどを見て、「かれらは、贅沢に慣れきっているので勝てないのだ」などと、日本の参謀みたいなことをいってますが、給与は多分、日本よりイギリス軍の方が上等かと・・・モントゴメリー以前のイギリス軍首脳部が描かれてるのは個人的に珍しいと思った。
ストーミング・イーグルズ 大日本絵画
ドイツ機甲師団 第二次世界大戦ブックス 補給が伸び切ってしまった。と書いてあった。
大空戦 E・H・シムズ/石川好美 訳/ソノラマ戦記文庫 インタビュー。フレデリック・ロジアー卿、ルドルファー。
イギリス人の患者 /新潮文庫

連合軍の上陸したイタリア。前線後ろの館にのこされた看護婦と、泥棒と、イギリス人の患者・・・ってアフリカじゃないじゃん。いやいや、回想シーンにアフリカの闘いが出てきます。

小説です。映画タイトル「イングリッシュ・ペイジェント」は、だめな邦題の見本かも・・・

 

 

バルバロッサ作戦:英国侵攻作戦がうまく行かなかった(文字通りの企画倒れ、腰砕け)ことの照れ隠しみたいに、ドイツ軍はいきなり友邦 ソ連邦に攻め込みました。

東西多くの人たちにとっての人生の理不尽な「終わりの始まり」。

あれだけひろい正面に展開させるには、やっぱり兵力が少なすぎると思いました。ドイツ軍は投入した師団数は一般的な攻勢時の日本軍に比べて圧倒的に多いけど、機甲師団なので人数的には少ないのが東部戦線の特徴。前線は隙間だらけ?機動力を活かした手当てをしたのでしょうけれど・・・

バルバロッサ作戦

パウル・カレル/

松谷健二 訳/学研M文庫

西方で行き詰まったヒトラーが、乗り気じゃなかった対英戦を保留していきなりスターリンの裏をかき、そして頓挫するまで。

ドイツ人の目から書いてるので、かなり自己満足的な部分もあるけど、さまざまな人たちの体験の引用はこの本に人間の記録としての重みを与えています。

でも、マシンピストルを「機関拳銃」と訳すのはやめれ!なえなえ・・・せめて「機関短銃」にして!ただのピストルはカタカナ表記にしてるじゃん。

赤軍大粛正

ルドルフ・シュトレビンガー/

守屋純 訳/学研M文庫

野心家トハチェフスキー、苦労人スターリン、そして、ナチには珍しい有能な謀略家ハイドリッヒ。そしてまんまと利用されるお粗末なチェコ政府と敗残王党派ロシア人。ヨーロッパというのは、油断もスキもありゃしません。こりゃ、単純で素朴な日本人の外務官僚から見たら、まさに「複雑怪奇」。
急降下爆撃

ハンス・ウルリヒ・ルデル/高木真太郎 訳/ソノラマ戦記文庫

ようやくスツーカで出撃!ここから筋金入りのスツーカ乗りのルーデルの伝説が始まります。

彼はやっぱりちょっと変な人だったらしい・・・芯も強いですけど・・・

ひたすらの進撃と、レニングラードでの活躍が載ってます。戦艦マラートを撃沈。でも後席の人が長生きできない運命にあるらしい。

そして、冬・・・

無敵!T34戦車 第二次世界大戦ブックス 第二次大戦最高傑作戦車T-34の「生涯」。攻め込んだドイツ軍が苦戦するさまがたくさんでています。主に、ドイツ側から見た情報が多いのはこの本が書かれた時代からして、仕方がない。でも、T-34のプラモをはじめて買ったときは、砲塔後ろの爆薬を仕込むのに都合のいい部分を真っ先にさがしちゃった。
ドイツ機甲師団 第二次世界大戦ブックス 破竹の勢いでモスクワ前面ヘ。南はカフカスまで。
大空戦 E・H・シムズ/石川好美 訳/ソノラマ戦記文庫 インタビュー。ラル。
イワン・デニソヴィッチの一日 ソルジェニーツイン/岩波文庫 ドイツ軍の進撃の前に取り残され、ちりぢりになってそれでも友軍のもとに帰ってきたら、日本軍のように血迷ったえらいひとに逃亡罪で告訴されてラーゲリへ・・・

そんな運の悪い彼の、ちょっぴり幸せな一日を描いた小説です。

 

ルーバーブ:バトルオブブリテンが過ぎ、海峡には奇妙な静けさが。でも、お互いの空軍はちまちまちょっかいをかけ合っていました。たまに、チャンネルダッシュのような大事件も・・・

撃墜王 ピエール・クロステルマン/ソノラマ文庫

多感な若者クロステルマンがイギリスでの訓練ののち、自由フランス空軍の戦闘機パイロットとしてフランスの空へ。ちょっとセンチな若者の正直な日記。

正直いって、2番目に好きな空戦記です。

かれの宿敵はアベビル・ボーイズなので、Fw190の描写は必ず「きいろい」。黄色い頭の190が作りたくなっちゃいます。

(最近、カラーで見た190は下面がホントに黄色く見えたりする!)

ヘルマン・グラーフと会敵するところが出てきますが、かれの無線での声が鼻声なので、「ドナルドダッグ」とあだ名していたなどというおもしろい話も。

傲慢無礼な邦題は日本人がつけたので、本人はまったく強がっていないので、トルシエ監督みたいな人を想像して読むと肩透かしです。

タイフーンに試しのりするシーンなんて、本当におっかなびっくりでほほ笑ましい。

原題は、「でっかい騒ぎ(大サーカス)」。どんなニュアンスなんでしょう。敵味方の大編隊が入り乱れてでっかい格闘戦の渦を作ってたのかな・・・最後まで読むとでてきますけど・・・

英仏海峡の空戦

デズモンド・スコット/

岡部いさく 訳/ソノラマ文庫

ニュージーランドの騎兵出身のタイフーンのりの回想。バトルオブブリテンをハリケーンで生き抜いたようなことをところどころのぞかせるものの、メインテーマは愛機の困ったちゃん戦闘機「タイフーン」です。で、最初のうちはイギリスに低空で侵入するFw190の迎撃なのですが、そのうち、積極的にフランスへ荒しにでかけます。

タイフーンの困ったちゃんぶりがさらりと書かれていて、すごい。一酸化炭素中毒の危険があるので離陸時から酸素マスクが必要だ、とか、攻撃時に仲間の尾部がとれて墜落するシーンで、「あのパターンの事故で生きて帰ったものはいない」とか、タイフーンで着水して助かった例を知らない、とか、いや、すごい。メッサーシュミット163なみ。

不時着して燃え上がったスピットファイアの乗員を大やけどしながら助けようとする男らしさもあり、動物にも優しく、読んでいて、すっかりこの著者が好きになってしまったです。

で、この空戦記が一番好きなのでした。3番がラム・・

編隊飛行 J・E・ジョンソン/小出英一 訳/ソノラマ戦記文庫

このころからぼちぼち採用になった「フィンガーフォア」についての分かりやすい解説。

この人、戦闘についてかなりアカデミックなのに驚かされます。冒頭に大編隊主義か、小編隊主義かでかれの論敵となっていたダグラス・バーダー卿の言葉が贈られているのですが、それがイギリス人らしくて素敵。

部隊はタングミアへ。スピットは2型から5型へ。エルロンは金属に。そして初撃墜。

さらに乗機はスピット6型へ。で、なぜか高度300メートルで「与圧」されながら船団護衛・・・つぎにはキャノピ無しで・・・それから610中隊ヘ。

ディエップ上陸作戦。

結婚。なかなか忙しいです。

さまざまなエピソードが豊かに描写され、カラーで目に浮かんできそうです。すばらしい。

空戦中に出会うメッサー109がカッコよく描写されていてプラモを作りたくなります。

低高度での12型についても記述アリ。

戦うスピットファイア ホウルトン/ソノラマ文庫

ニュージーランド人のスピットファイア乗り。マルタから本土へ帰ってきました。やはりフランス上空でFw190とやり合います。

「ああ、Fw190ってなんてすばらしい飛行機なんだろう」と後ろ姿に見とれながら撃墜しちゃうとこが素敵。

撃墜 亡命チェコ人のフランス脱出行。空戦シーンは冒頭で撃墜されるとこのみ?フランスから抜け出すまでのフランスの地下組織が珍しいです。
高速戦艦脱出せよ

ジョン・ディーン・ポター/

内藤一郎 訳/早川文庫

通商破壊作戦からフランスに戻った二隻の美しい姉妹「シャルンホルスト」と「グナイゼナウ」。そして、ライン演習から戻ったこれまた美しい「プリンツ・オイゲン」。この三隻と駆逐艦数隻が、白昼どうどうとドーバー海峡を抜けてドイツに帰るまで。

主にインタビューをもとにした敵味方、さまざまな人間模様が描かれています。

全滅したソードフィッシュの雷撃行が悲しいけどユーモラスなのは、名翻訳者 内藤一郎さんの腕のさえ。

チャーチルの起き抜けの電話への一言「WHY!?」が、痛快っちゃ痛快。

大空戦 E・H・シムズ/石川好美 訳/ソノラマ戦記文庫 インタビュー。ビューリゲン、
撃墜王 スティーブン・クーンツ 編/高野裕美子 訳/講談社文庫 シムズの筆になる、ガランドが一日に2回撃墜されたエピソード。調子の悪い日もあるわな。戦争中だと、それが死につながってしまうのだけれども。彼はその日、運が良かったようです。
ヒトラーの戦艦 エドウイン・グレイ/都島惟男 訳/光人社文庫 ライン演習のあとのドイツ海軍。時系列が追いやすく、大変重宝してます。チャンネルダッシュには大きくページをさいています。
Dr.ヘリオットのおかしな体験 ジェイムズ・ヘリオット/池澤夏樹 訳/集英社文庫

田舎の獣医ヘリオット先生は、空軍に徴兵されてパイロットになるための訓練の毎日。おりに触れて思い出すのは、田舎で診察した動物達と、そこに住む人びと。温かい目が全てのものに注がれていて、とってもいい本です。(もちろん戦友たちにもね!)

田舎の獣医は肉体労働なのだなっと思ったりします。で、やっとタイガーモスに乗れましたが・・・

RAFの教育課程は余裕があって、予科練の課程とかに較べると、日本人としては悲しくなってしまいます。

実話ですが、著者名はペンネーム。

死闘の駆逐艦 ロジャー・ヒル/雨倉孝之 訳/ソノラマ戦記文庫 新型駆逐艦でスカパでの訓練。ジャイロ砲架のボフォース砲とか、新造戦艦の「アンソン」とかが出てきます。

本人はのんきでおっちょこちょいなものの人間が練れてきたらしく、読んでいて楽しい。爆雷で魚取りしたり。婦人部隊といいことしたり。

続いてビスケー湾での饗宴(Uボート狩り)ヘ。ポーランド人はなににでも撃ってくるというのがおもしろいです。

誘導爆弾と通信諜報の話も出てきます。攻撃される側から見た誘導グライダー爆弾(ヘンシェル293)の記述は貴重です。ちゃんと敵をドルニエ217と識別しています。

撃沈した潜水艦についての訳注ですが、これは太平洋帰りのUボートだったのでしょう。

で、カリブディス以下、臨時に集成された水雷戦隊で輸送船狩りにでかけて・・・

またまた地中海へ。

 

スターリングラード:最初の冬を越え、次の冬へ。これだけは学校の教科書にも出てます。関心なさげに。

学校で習う歴史ったら、虐殺事件の方が大切らしい。(特にこっちがやったほうね)歴史の転換点になってなくても。(しかも、なんで虐殺にいたったかというプロセスにはこれまた無関心。とにかく、「反省」という名の懺悔が優先らしい)

鼠たちの戦争 新潮文庫 第二次大戦で、一番有効に狙撃兵を運用したのがソ連軍でしょう。で、この小説では、ソ連とドイツの狙撃兵の(猟師と射的選手の)一騎打ちが主題なのですが、これがまあ、よくできてるので一読をオススメします。モシン・ナガンライフルのモデルガンでねえかなあ・・・でも、トカレフ自動小銃の方がいいなあ・・・
スターリングラード 角川文庫 映画のあらすじを太らせたもの。演出主導なのでいんちきが多くてあたまわるくてつまんねえ。「鼠たち」読んだあとだったのでよけい見劣り。巻末の柘植久慶さんの解説がためになります。
ガンズ・オブ・ジ・エリート 大日本絵画 特殊部隊の装備する火器についての本なのですが、エリート兵士である狙撃兵の活動を説明するために、上記のタイトルの主人公の実話を引用しています。

「鼠たち」はこれにかなり忠実に作られていることがわかります。

急降下爆撃

ハンス・ウルリヒ・ルデル/高木真太郎 訳/ソノラマ戦記文庫

休暇のあと、クリミアへ。でも、病気で入院。

ムリに出てくるともうスターリングラードの戦いは始まっていて・・・二度目の冬が・・・

Uボート:ドイツ第三帝国海軍は通商破壊のための海軍だという明確かつ的確なドクトリンを持っていたものの、ヒトラーの開戦決意はその計画を待ってくれませんでした。さらに、大艦巨砲主義者のレーダーは潜水艦に情が薄かったのでした。

Uボート ロタール=ギュンター・ブーフハイム/早川文庫 従軍記者としてUボートの作戦に従軍した「わたし」の目で描く小説ですが、実体験がもとになってるそうです。映画にもなりました。どっちも名作。寝だなの中で聞く艦体に浪の打ち寄せる音とか、端々に入るエピソードとか、ドイツの小説らしく、非常に陰気ですが、雰囲気はいいです。でも結末は納得いかねえ。
Uボートコマンダー ペーター・クレーマー/井坂清 訳/ハヤカワ文庫
Uボート西へ エドウイン・グレイ/ソノラマ戦記文庫 Uボートの艦長がさまざまなジレンマに悩みながら問題を切り抜けてゆく小説ですが、ナチの非人道ぶりを盛り上げるためのムリのある任務の設定にムリありまくり。
地獄の大西洋 エドウイン・グレイ/ソノラマ戦記文庫 「Uボート西へ」の続編。それなりにおもしろい。
狼群戦術のたそがれ /ソノラマ戦記文庫 Uボートの戦果と喪失を時期を追って解説。たまに感情的になるので、そこは鼻につく。
シーハンター K・プールマン/ソノラマ戦記文庫 ハンターキラー側から見た大西洋の闘い。イギリスの軽空母の活躍がメインで、でもわりあい公正。

ドイツ顔負けの対潜兵器の数々に、「ああ、Uボートのりは絶対になりたくない」などと思えてしまいます。

せっかくアメリカにもらった護衛空母をタバコの不始末で沈めちゃうのはだらしがない。っていうか、たばこ吸うひとは一般にタバコについて犯罪的にだらしがない。火事になっても火傷させても責任もとらないし。他人に悪臭を強要して染みつけて当然と思ってるし。ちなみに、イギリス海軍では潜航中の潜水艦内でも喫煙可だったらしい。いやな海軍。

潜水艦戦争(上・下) レオンス・ペイヤール/長塚隆二 訳/ ハヤカワ文庫

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