Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye



七律

    冬雲
一九六二年十二月二十六日



雪壓冬雲白絮飛,
萬花紛謝一時稀。
高天滾滾寒流急,
大地微微暖氣吹。
獨有英雄驅虎豹,
更無豪傑怕熊羆。
梅花歡喜漫天雪,
凍死蒼蠅未足奇。








                    ******

          冬雲

雪は 冬雲(とううん)(あっ)して  白絮(はくじょ) 飛び,
萬花(ばんくゎ) 紛謝(ふんしゃ)して  一時(いち じ ) (まれ)なり。
高天(かうてん) 滾滾(こんこん)として  寒流 急に,
大地 微微(びび)として  暖氣(だんき) 吹く。
(ひと)り 英雄の  虎豹( こ へう)()るありて,
(さら)に 豪傑の  熊羆(ゆう ひ )(おそ)るる無からん。
梅花(ばいくゎ) 歡喜(くゎん き )す  漫天(まんてん)の雪,
凍死せる蒼蠅(さうよう)  (いま)()とするに()らず。

                *****************




◎ 私感註釈

※七律 冬雲:七言律詩 冬の雲。*厳しい国際情勢と国内情勢を謂う。 ・一九六二年十二月二十六日:毛沢東の六十九歳の誕生日の作。1962年は、国際的には、中国とソ聯(=ソ連)との関係が一段と悪化した年であり、中印(=中国・インド)国境紛争が全面化した年であり(中印国境紛争での主張は、上掲・地図----1962年11月に出版された地図集で、17枚の大型地図が収められている厚さ2センチメートルほどの地図集----に収録)、国内的には、毛沢東が提倡した大躍進政策を総括した七千人大会が開かれ、毛沢東へ批判が集中した年である。この詩は、その年の国際問題について詠っているととられている。なお、このページの詩句の比喩するところの“革命的な”言辞・語彙表現は『毛沢東詩詞大観』(増訂本 蔡清富 黄輝映編著 四川人民出版社 1998年成都)に基づき、文革当時の記憶に拠っただけで、他意はない。

※雪圧冬雲白絮飛:雪(という厳しい状況)が、冬の雲を押さえつけて。 *「
冬雲」(雪が雲をおさえる)であって、後出・李賀の「K雲(雲が城をおさえる)や南宋・陸游の『長歌行』「人生不作安期生,醉入東海騎長鯨;猶當出作李西平,手梟逆賊清舊京。金印煌煌未入手,白髮種種來無情。成都古寺臥秋晩,落日偏傍僧窗明。豈其馬上破賊手,哦詩長作寒螿鳴?興來買盡市橋酒,大車磊落堆長瓶。哀絲豪竹助劇飮,如巨野受黄河傾。平時一滴不入口,意氣頓使千人驚。國仇未報壯士老,匣中寶劍夜有聲。何當凱旋宴將士,三更飛狐城。」とは異なるのに注意。 ・雪:厳しい政治的環境の中で、作者を圧倒してくるものを謂う。 ・圧:〔あつ;ya1●〕押さえつける。圧する。中唐・李賀の『雁門太守行』に「K雲城城欲摧,甲光向日金鱗開。角聲滿天秋色裏,塞上燕支凝夜紫。半卷紅旗臨易水,霜重鼓寒聲不起。報君黄金臺上意,提攜玉龍爲君死。」とある。 ・冬雲:冬の雲。厳しい国際・国内情勢を謂う。なお、詩語としは、「冬雲」よりも「凍雲」とするが、後出の表現の中心部分で「凍死蒼蠅…」と「凍」を使いたいため、ここでは「凍雲」を避けて「冬雲」とした。 ・白絮:(舞い落ちる)白い雪。「絮」は:〔じょ;xu4●〕柳の花が咲いた後の種の綿毛の意で、空を舞う雪を柳絮に喩えた。

※万花紛謝一時稀:あらゆる花は、乱れ散って、(花は)一時(いちじ)、稀(まれ)になった。「百花」は、1956年に毛沢東は「
百花斉放」、「百家争鳴」という政治運動を提倡し、文学、芸術、学術についての自由な発言を許し、自由な批判を奨励した。しかし、始めはおずおずとしていた意見も党と国家への苛烈な批判が相次ぎ、あまりにも厳しい批判の集中に驚いた毛沢東は、方針を百八十度転換させ、翌1957年6月に「反右派闘争」を発動した。前年に批判的な発言をした知識人を取り締まる政治運動である。この57年6月以降に知識人らは「右派」とされ、弾圧された。 ・紛謝:〔ふんしゃ;fen1xie4○●〕乱れ散る。 ・一時:ある時期。いちじ。 ・稀:まれ。

※高天滾滾寒流急:高い空には、(反動的な)冷たい流れが盛んで尽きることがないが。 ・滾滾:〔こんこん;gun3gun3●●〕水が盛んに流れるさま。 ・寒流:冷たい流れ。冬の川。また、貧しくて身分の低い人。ここは、前者の意で反動的な潮流を謂う。

※大地微微暖気吹:大地では、わずかに(革命勢力の)暖かい気配が兆(きざ)した。 ・微微:わずか。かすか。 ・暖気:暖かい気配。暖かさ。ここでは、革命勢力の力量を指す。

※独有英雄駆虎豹:英雄がトラやヒョウといった獰猛(どうもう)なもの(=米英・また、インドの帝国主義勢力)を駆り立てているだけがあって。 ・独有:ただひとりだけ…である。中唐・白居易の『餘杭形勝』「餘杭形勝四方無,州傍山縣枕湖。遶郭荷花三十里,拂城松樹一千株。夢兒亭古傳名謝,ヘ妓樓新道姓蘇。
獨有使君年太老,風光不稱白髭鬚。」とある。毛沢東の『念奴嬌・井岡山』(一九六五年五月)「參天萬木,千百里,飛上南天奇岳。故地重來何所見,多了樓台亭閣。五井碑前,黄洋界上,車子飛如躍。江山如畫,古代曾云海香B   彈指三十八年,人間變了,似天淵翻覆。猶記當時烽火裡,九死一生如昨。獨有豪情,天際懸明月,風雷磅礴。一聲鷄唱,萬怪煙消雲落。」とある。 ・駆:〔く;qu1○〕追いたてる。駆(か)る。 ・虎豹:〔こへう;hu3bao4●●〕トラとヒョウと。非常に勇猛な者の喩え。米英の帝国主義者を指す。ここでは、インドも含まれるか。

※更無豪傑怕熊羆:ましてや、豪傑がクマやヒグマ(といったソ連の修正主義集団)を恐れるわけがない。 ・更無:もはや…全然ない。さらに二度とは…ということはない。ましてや…するものはいない。盛唐・杜甫の『石壕吏』に「室中更無,惟有乳下孫。有孫母未去,出入無完裙。老嫗力雖衰,請從吏夜歸。急應河陽役,猶得備晨炊。夜久語聲絶,如聞泣幽咽。天明登前途,獨與老翁別。」とあり、中唐・白居易の『觀幻』に「有起皆因滅,無不暫同。從歡終作,轉苦又成空。次第花生眼,須臾燭過風。更無尋覓處,鳥跡印空中。」とあり、晩唐〜・韋荘の『荷葉杯』に「記得那年花下。深夜。初識謝娘時。   水堂西面畫簾垂。攜手暗相期。惆悵曉鶯殘月。相別。從此隔音塵。如今倶是異ク人。相見更無。」とあり、北宋・司馬光の『居洛初夏作』に「四月C和雨乍晴,南山當戸轉分明。更無柳絮因風起,惟有葵花向日傾。」とあり、『史記・孟嘗君列傳』「孟嘗君有一狐白裘,直千金,天下無雙,入秦獻之昭王,更無他裘。」とあり、張孝祥の『念奴嬌』過洞庭「洞庭青草,近中秋、更無一點風色。玉鑑瓊田三萬頃,著我扁舟一葉。素月分輝,明河共影,表裏倶澄K。悠然心會,妙處難與君説。應念嶺海經年,孤光自照,肝肺皆冰雪。短髮蕭騷襟袖冷,穩泛滄浪空闊。盡吸西江,細斟北斗,萬象爲賓客。扣舷獨笑,不知今夕何夕。」とある。 ・更:さらに。いっそう。そのうえ。 ・怕:〔は;pa4●〕恐れる。怖(こわ)がる。現代語(中国語)では、極めて普通に使われる語。上掲・挿し絵(の左後方)にもあるとおり、「一不怕苦,二不怕死(的革命精神永放光芒!)」(一に苦しみを恐れず、二に死を恐れず)と使われる。 ・熊羆:〔ゆうひxiong2pi2○○〕クマとヒグマ。クマとトラ。勇猛な人の喩え。ソ聯のフルシチョフ修正主義集団を指す。修正主義を指す。

※梅花歓喜漫天雪:(厳しい情況下でも、)梅の花は空いっぱいの雪(=逆境)を喜んでいる。 ・梅花:(早春の寒冷に打ち克って咲く)梅の花。逆境に負けない気節の象徴。毛沢東はこの詩を作った前年(一九六一年)十二月に、『卜算子・
』讀陸游詠梅詞,反其意而用之で「風雨送春歸,飛雪迎春到。已是懸崖百丈冰,犹有花枝俏。   俏也不爭春,只把春來報。待到山花爛漫時,她在叢中笑。」とその気節を詠う。 ・歓喜:喜ぶ。好む。 ・漫天雪:天を覆う雪。苛酷な革命闘争の環境。逆境。 ・漫天:〔まんてん;man4tian1●○〕天を覆う。空いっぱいの。

※凍死蒼蠅未足奇:(逆境に耐えられないで)凍死するハエ(のような脱落者)は、(別段)めずらしいことでもない。 ・蒼蠅:〔さうよう;cang1ying2○○〕ハエ。プロレタリア階級の革命的な隊伍の中にいる脱落者。苦難に満ちた革命闘争の試煉に耐えられなくなった可哀相な虫。 ・未足奇:めずらしいこととするまでもない。 ・未足-:…するに足りない。 ・奇:めずらしい。





◎ 構成について

  韻式は、「AAAAA」。韻脚は「飛稀吹羆奇」で、平水韻上平四支(支羆奇)・五微(飛稀)。なお、詩句中の「時」は四支で、「微」は五微。この作品の平仄は、次の通り。

   
●●○○●●○,(韻)
   ●○○●●○○。(韻)
   ○○●●○○●,
   ●●○○●●○。(韻)
   ●●○○○●●,
   ●○○●●○○。(韻)
   ○○○●●○●,
   ●●○○●●○。(韻)
    
2013.2.17
     2.18完
     3.28補
2014.7. 5




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