Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye




                                              
      江南行 

                 羅隱

江煙溼雨蛟綃軟,
漠漠小山眉黛淺。
水國多愁又有情,
夜槽壓酒銀船滿。
細絲搖柳凝曉空,
呉王臺榭春夢中。
鴛鴦鸂鶒喚不起,
平鋪綠水眠東風。
西陵路邊月悄悄,
油碧輕車蘇小小。

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江南行
                       
江は煙り 雨に溼
(うるほ)ひて  蛟綃(かうせう) 軟く,
漠漠たる 小山  眉黛 淺し。
水國 多愁にして  又 有情,
夜槽 酒を壓して  銀船に 滿つ。
細絲たる 搖柳は  曉空に 凝り,
呉王の臺榭
(たいしゃ)は  春夢の中。
鴛鴦
(ゑんあう) 鸂鶒
(けいちょく)  喚べども起きず,
平鋪の綠水  東風に 眠る。
西陵の路邊  月は 悄悄
(せうせう)
油碧の輕車は  蘇小小。

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◎ 私感註釈

※羅隱:五代・梁の文人。字は昭諫。本名は橫。(現・浙江省)餘杭の人。833年(太和七年)~909年(開平三年)。

※江南行:江南地方への旅路(の歌)。江南の船旅の様子を詠っている。

※江煙溼雨蛟綃軟:(大きな)川に漂う靄(もや)や雨で、南海の鮫人が織った絹のハンカチが湿っぽくなって、ぐんにゃりとなった。 ・江煙:(大きな)川に漂う靄(もや)。 ・溼雨:雨で湿っぽくなる。 ・溼:=濕(湿)。 ・蛟綃:〔かうせう;jiaoxiao11○○〕南海の鮫人が織った絹のハンカチ。陸游の『釵頭鳳』「紅酥手,黄縢酒,滿城春色宮牆柳。東風惡,歡情薄。一懷愁緒,幾年離索。錯,錯,錯。   春如舊,人空痩,涙痕紅
鮫綃。桃花落,閑池閣,山盟雖在,錦書難托,莫,莫,莫!」 とある。 ・軟:(湿ったために)ぐんにゃりとなる。

※漠漠小山眉黛淺:遠く遥かに小さく見える山は、薄く黛(まゆずみ)で描かれた眉のようだ。 ・漠漠:〔ばくばく;mo4mo4●●〕遠く遥かなさま。連なっているさま。うす暗いさま。 ・小山:遠くに小さく見える山。 ・眉黛:黛(まゆずみ)。遠景の山並みの形容。

※水國多愁又有情:江南の一帯の水郷には、悲しいことが多いが、また、その上に、風流がある。 ・水國:水郷。江南の地一帯のこと。 ・多愁:悲しいことが多い。 ・又有情:その上、風流である。

※夜槽壓酒銀船滿:夜に(酒を入れた)桶(おけ)で酒を搾(しぼ)れば、銀盃に満ちてくる。 ・夜槽:夜に(酒を入れた)桶(おけ)で。 ・槽:酒を容れて搾る器。(日本酒の作り方が元になっているのだが、船には老酒や陳酒をもって乗ったというのではなくて、恐らく薫り高い原酒(醪)から
上槽でしぼって、できたての薫り高いお酒を飲んだのではないか。贅沢な通の飲み方である。) ・壓酒:酒を搾(しぼ)る。 ・銀船:白く輝く酒器。銀盃。或いは「畫舫」の対での「銀船」で立派な船か。「畫舫牽徐轉,銀船酌慢巡。」「百分散打銀船,十指寬催玉箸輕。」と使う。・載酒:酒を(舟に)載せて。船旅での酒を搾る様子に、唐・杜牧の七絶『遣懷』「落魄江南載酒行,楚腰腸斷掌中輕。十年一覺揚州夢,占得靑樓薄倖名。」というのがある。

※細絲搖柳凝曉空:細い絹糸のような(風に)揺れ動くヤナギは、明け方の空の(風が止んだために動かないので)凝り固まっている。 ・細絲:細い絹糸のような。 ・搖柳:(風に)揺れ動くヤナギ。 ・凝:(風が止んで動かないで)凝り固まる。 ・曉空:明け方の空。暁の空。

※呉王臺榭春夢中:呉王夫差の宮殿(の姑蘇台)は、春の夜の儚(はかな)い夢の中である。 ・呉王:呉王・夫差のこと。呉王・夫差は越王・勾践を破った時に、范蠡が送った絶世の美女・西施との愛情譚がある。 ・臺榭:〔たいしゃ;tai2xie4○●〕高殿。ここでは、呉王夫差の宮殿で、姑蘇台。蘇州のすぐ南の呉県にあった呉王・夫差の宮殿。本来「臺」は「うてな、高殿」で、「」は「屋根のある物見台」である。李煜の『謝新恩』「冉冉秋光留不住,滿階紅葉暮。又是過重陽臺榭
登臨處茱萸香墮。   紫菊氣,飄庭戸,晩煙籠細雨。新雁咽寒聲,愁恨年年長相似。」とある。 ・春夢:春の夜の夢。儚(はかな)い夢。男女関係を暗示させる表現でもある。

※鴛鴦鸂鶒喚不起:鴛鴦(えんおう)や(けいちょく)は、つがいになって(眠っており)、大声で喚(よ)んでも起きようとしない。 ・鴛鴦:〔ゑんあう;yuan1yang1○○〕オシドリ。オシドリは、つがいで動き、雌雄が離れないといわれるところから仲のよい夫婦の喩えでもあり、後出「鸂鶒」とともに風流さを漂わせた表現である。白居易の『勸酒』に「玳瑁筵前翡翠栖芙蓉池上
鴛鴦。日往月來凡幾秋,一衰一盛何悠悠。但敎帝里笙歌在,池上年年醉五侯。」とあり、白居易の『長恨歌』に「鴛鴦瓦霜華重とある。 ・鸂鶒:〔けいちょく;xi1chi4○●〕オシドリ(鴛鴦)に似た水鳥。つがいで動く。紫鴛鴦。毛文錫の『醉花間』に「休相問,怕相問,相問還添恨。春水滿塘生,鸂鶒還相趁。   昨夜雨霏霏,臨明寒一陣。偏憶戍樓人,久絶邊庭信。」 や、清・陳道華の『日京竹枝詞百首・歳除夜』に「硝子窗櫺掩浴堂,水煙浮起蜜柑香。燈前嬉戲雙鸂鶒,偸眼池邊鷺一行。」とある。 ・喚不起:大声で喚(よ)んでも起きない。

※平鋪綠水眠東風:平坦な緑色になった湖面で、春風に眠っている。 ・平鋪:〔へいほ;ping2pu1○○〕平坦な。 ・綠水:緑色になった湖面。 ・東風:春風 。

※西陵路邊月悄悄:西陵の路の上の月は、しおしおと静かで。 ・西陵:地名で、現・蕭山市。後出・蘇小小の詩にでてくる地名。西陵歌』「何處結同心?
西陵松柏下を指す。『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期(中国地図出版社)55-56ページ「江南東道」では、西陵は錢塘江を挟んで杭州、錢塘側の対岸(西南西側)すぐのところにある。現・浙江省蕭山県西興鎮。杭州の国際空港のあるところ。 ・路邊:道端の。 ・悄悄:〔せうせう;qiao3qiao3●●〕うれえるさま。しおしおするさま。うれえうらむさま。静かなさま。

※油碧輕車蘇小小:漆塗りの軽やかな車(に乗っているのは、南斉・錢塘(杭州)の才媛の妓女である)蘇小小だ。 ・油碧輕車:漆塗りの軽やかな車。南斉・錢塘(杭州)の蘇小小という才媛の妓女で、彼女が作った詩は『玉臺新詠』に残されている。『歌一首』(『蘇小小歌』『西陵歌』)「
妾乘油壁車,郞乘靑馬。何處結同心?西陵松柏下。」というのがそれになる。「油碧」と「油壁」との違いがあるが、『玉臺新詠』で「油壁」は「赤い漆塗り」としたが、ここの「油碧」では「青緑の漆塗り」という感じになるか。 ・蘇小小:〔そせうせう;su1xiao3xiao3○●●〕南斉時代の才媛の妓女。後世、蘇小小については、白居易の『楊柳枝』其五「蘇州楊柳任君誇,更有錢塘勝館娃。若解多情尋小小,綠楊深處是。」とあり、『楊柳枝』其六に「蘇家小女舊知名,楊柳風前別有情。剥條盤作銀環樣,卷葉吹爲玉笛聲。」とあり、同・白居易の『餘杭形勝』「餘杭形勝四方無,州傍靑山縣枕湖。遶郭荷花三十里,拂城松樹一千株。夢兒亭古傳名謝,敎妓樓新道姓。獨有使君年太老,風光不稱白髭鬚。」とあり、杜牧は『自宣城赴官上京』「瀟灑江湖十過秋,酒杯無日不淹留。謝公城畔溪驚夢,蘇小門前柳拂頭。千里雲山何處好,幾人襟韻一生休。塵冠挂卻知閒事,終擬蹉訪舊遊。」とあり、温庭には『楊柳枝』「蘇小門前柳萬條金線拂平橋。黄鶯不語東風起,深閉朱門伴細腰。」と、多くの作品が作られている。現在、杭州西湖畔(西北)に墳墓 がある。
               ***********





◎ 構成について

一韻到底。韻式は、「aaaBBBcc」。韻脚は「軟淺滿 空中風 悄小」で、平水韻上声十四旱等、上平一東、上声十七篠。次の平仄はこの作品のもの。

○○●●○○●,(a韻)
●●●○○●●。(a韻)
●●○○●●○,
●○●●○○●。(a韻)
●○○●●●○,(B韻)
○○○●○●○。(B韻)
○○●●●●●,
○○●●○○○。(B韻)
○○●○●●●,(c韻)
○●○○○●●。(c韻)

2007.5.10
     5.11完
     5.16補

漢詩 填詞 詩餘 詩余 

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