歡似機中絲, 織作相思樹。 儂似衣上花, 春風吹不去。 |
![]() |
古意
歡 は似たり機中 の絲,
織りて作 さん 相思の樹。
儂 は似たり衣上 の花,
春風 吹けども去らず。
******************
◎ 私感訳註:
※呉偉業:(明末)清初の人。明・萬暦三十七年(1609年)~清・康煕十年(1671年)。号して梅村。新王朝である清に出仕するも、すぐに退隠する。詩は二朝に仕えた複雑な感情を詠ったものが多い。
※古意:詩題の名。『擬古』に同じく、前代のことを述べて現代を諷刺し、または、新体を用いて内容は昔の精神を歌ったもの。唐・沈佺期に『古意』「盧家少婦鬱金堂,海燕雙棲玳瑁梁。九月寒砧催木葉,十年征戍憶遼陽。白狼河北音書斷,丹鳳城南秋夜長。誰謂含愁獨不見,更敎明月照流黄。」があり、南宋・陸游に『古意』「千金募戰士,萬里築長城。何時靑冢月,却照漢家營。」
がある。
※歓似機中糸:あなたは、機(はた)の糸のようで。 ・歓:〔くゎん;huan1○〕愛人。あなた。よしみ。したしみ。 ・機:はた。はた織りの道具。
※織作相思樹:相思樹のがらを織り出している。 ・織作:織り成す意。 ・相思:相手を思う。また、(互いに)慕い合う。 ・相思樹:華南、及び台湾に産するマメ科の常緑高木。タイワンアカシア(台湾アカシア)。台湾相思。台湾柳。葉は羽状複葉であるが早、五月ごろ、黄色の小花が球状に集まって咲き、豆果がなる。
※儂似衣上花:私は衣裳の花柄(はながら)のようで。 ・儂:〔のう/どう;nong2○〕(「我」の俗語で:)わたくし。われ。(南方方言で:)きみ。あなた。ここは、前者の意。 ・衣上花:衣裳に織り込まれた花(の絵)。
※春風吹不去:春風(はるかぜ)が吹いても、飛び去ろうとしません。(外に、もっとよい条件や環境が出来ても、そちらには移っていきません)。似た表現に、盛唐・李白の『子夜呉歌』に「長安一片月,萬戸擣衣聲。秋風吹不盡,總是玉關情。何日平胡虜,良人罷遠征。」とあり、盛唐・王之渙の『出塞』に「黄河遠上白雲間,一片孤城萬仞山。羌笛何須怨楊柳,春風不度玉門關。」
がある。 ・不去:(飛んで)行こうとしない。去ろうとしない。意志の否定。 ・去:行く。さる。
◎ 構成について
2020.9.4 9.5 |
![]() トップ |