高郵雨泊 清・王士禛
| 寒雨秦郵夜泊船， 南湖新漲水連天。 風流不見秦淮海， 寂寞人閒五百年。 |
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高郵雨泊 | 寒雨秦郵夜泊船， 南湖新漲水連天。 風流不見秦淮海， 寂寞人閒五百年。 |
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高郵 雨泊
寒雨秦郵 夜 船を泊 す，
南湖新 たに漲 りて水 天に連なる。
風流見 ず秦淮海 ，
寂寞 たり人閒 五百年。
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◎ 私感訳註：
※王士禛：（王士禎）清代の詩人。字は貽上、また子眞、号して漁陽。士禎と名を賜る。１６３４年（明・崇禎七年）～１７１１年（洪煕五十年）。王士禎。王漁陽。
※高郵雨泊：雨降る中の高郵で、船を泊（と）める。 ＊作者が揚州に赴任する際、高郵で泊（と）まった時、当地の偉人の秦観に思いを致しての作。 ・高郵：地名。現・江蘇省揚州高郵市。高郵湖の東岸で揚州の真北５０キロメートルのところ。『露筋祠』の露筋の近く。『中国歴史地図集』第六冊 宋・遼・金時期（中国地図出版社）６２ページ「淮南東路淮南西路」には運河沿いに露筋があり（高郵湖はまだない）、現代の地図でも、揚州市の北５０キロメートル、鎭江市の北１００キロメートルのところに高郵市が（あり、その１５キロメートル南に露筋という地名が）ある。大運河と高郵湖との繋がっている東岸
。
※寒雨秦郵夜泊船：寒々とした冬の雨が降る秦郵（＝高郵）で、夜になったので、船を泊（と）めた。 ・寒雨：寒々とした冬の雨。 ・秦郵：前出・高郵のこと。秦代に郵亭を置いたことに因る。
※南湖新漲水連天：（高郵の）南部の湖（武広湖）では、（雨のために）新たに増えた水が満ちあふれて、（遥か彼方の）水面は空につらなっている。 ・南湖：高郵南部の武広湖（武安湖）。或いは、南の方の湖。『中国史稿地図集』下冊（郭沫若主編 中国地図出版社）の清代には高郵湖は出てくるが『中国歴史地図集』第六冊 宋・遼・金時期（中国地図出版社）６２ページ「淮南東路淮南西路」では高郵湖はまだない。（その旨の表記がある）。 ・漲：〔ちゃう；zhang3●〕水が満ちあふれる。みなぎる。 ・新漲：高郵一帯は雨なので、水かさが増していることを謂う。 ・水連天：（遥か彼方の）水面が空につらなっている意。中唐・武元衡の『望夫石』に「佳人望夫處，苔蘚封孤石。萬里水連天，巴山暮雲碧。湘妃涙竹下成林，子規夜啼江水深。」
※風流不見秦淮海：（この地出身の）優れた人物である秦観の顔を見なく（なって）。 ・風流：なごり。先人の遺風余流。自由奔放。みやびやか。色事。北宋・蘇軾の『念奴嬌』に「大江東去，浪淘盡、千古風流人物。故壘西邊，人道是、三國周郞赤壁。亂石穿空，驚濤拍岸，卷起千堆雪。江山如畫，一時多少豪傑。 遙想公瑾當年，小喬初嫁了，雄姿英發。羽扇綸巾，談笑間、檣櫓灰飛煙滅。故國神遊，多情應笑我，早生華髪。人間如夢，一樽還酹江月。」。 江山如此多嬌，引無數英雄競折腰。惜秦皇漢武，略輸文采；唐宗宋祖，稍遜風騒。一代天驕成吉思汗，只識彎弓射大雕。倶往矣數風流人物（＝優れた人物の意），還看今朝。」
と使う。 ・不見：顔を見ない。会わない。見あたらない。 ・秦淮海：秦観のこと。北宋の揚州高郵（現・江蘇省内）の人。秦観の号は秦淮居士。秦観の詩詞集に『淮海集』『淮海詞』がある。淮海とは、揚州のこと。字は少游。進士となって中央で活躍し、軾の門下（蘇門四学士）の一として「屈宋之才」と讃えられた。しかし、政争のために、地方へ飛ばされ、地方の任地を転々とし、許されて返る途中、現・江西省の藤州で客死した。作風はその境涯に比例して、艶麗なもの、悲愴なものがある。１０４９年～１１００年。
※寂寞人間五百年：ものさびしく人の世の五百年（を経た）。 ・寂寞：〔せきばく、じゃくまく；ji4mo4●●〕ひっそりとしてものさびしいさま。盛唐・高適の『宋中』に「梁王昔全盛，賓客復多才。悠悠一千年，陳迹惟高臺。寂寞向秋草，悲風千里來。」
◎ 構成について
| ２０１６．９．２０ ９．２２ |
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