詩詞世界　碇豊長の漢詩　燦爛陽光之歌　文化大革命期の詩歌秋歌　郭小川

　　　　　　　　　　秋歌

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　郭小川

不止一次了，淸爽的秋風把我從昏睡中吹醒；
不止一次了，節日的禮花點燃我心中的火種。

聽，冰雪遼河，風雨長江，日夜激蕩有聲；
聽，南方竹陣，北國松濤，還在呼號不停。
看，運糧車隊，拉機群，一直轟轟跳動；
看，無數戰馬，百萬雄兵，永遠向前奔行。
淸爽的秋風呀，已經把我的身躯吹得飛上晴空；
節日的禮花呀，已經把我的心胸燒的大火熊熊。

我知道，總有一天，我會化煙，煙氣騰空。

　
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　　　　　　　　　　　　　　　　　　秋の歌

それは一度だけではなかった、　さわやかな秋風が　わたしを深い眠りより　呼び覚ましたのは。

それは一度だけではなかった、　祝日の祭典に打ち上げる花火が　わたしの心の中の火種に火をつけたのは。

聞け、　氷雪の遼河、風雨の長江が、日夜　うねり、吼え狂っているのを。

聞け、　南方の竹陣、北國の松濤が、なおも泣き叫んで　とどまらないのを。

見よ、　食糧を運ぶ車の隊列、トラクターの一群が、真っ直ぐに　轟々と　躍動しているのを。

見よ、　無数の戦馬が、百万の勇敢な兵士が、永遠に　前に向かって　突き進んでいるのを。

さわやかな秋風は、　とっくに　わたしのからだを吹いて晴れた空に飛ばした。

祝典を祝う花火の火は、　とっくに　わたしの胸の想いに火を着けて、　激しく燃え上がらせた。

わたしは　知っている、　どのみち　いつかある日、　わたしはきっと煙となって、　煙は空に立ち上っていくだろうことを。

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◎　私感註釈

※秋歌：この作品は郭小川の作で、彼の臨終前の絶唱と伝えられている。強烈に訴えかけ、読む者の胸に迫ってくる詩句である。これは、『紅色牛棚　“五･七”幹校紀實』

の中の「苦雨秋雲」から採録したもの。そのため、これがその詩篇の全てかどうかは分からない。　・紅色：共産主義の　・牛棚：“右派”“反動派”等の“牛鬼蛇神”（妖怪変化）を収容したところ。収容所。「牛小屋」。　・“五･七”幹校：“五･七指示”によってできた幹（部の思想訓練学）校。ネーミングは良いが、旧来の労働改造（労働によって思想を改造するところ）“勞改”に当たるところ。
※不止一次：一度に止まらない。一回だけではない。何回かあった。　・次：回。度。
※了：（一度に止まらなか）った。完了を表す助辞。
※淸爽（的）：すがすがしい。さわやかな。
※秋風：あきかぜ。
※把我：わたしを　・把：…を…（する）。文語の「將（＋名詞）」型に近く、「以」にもやや近い。
※從：…より。
※昏睡（中）：昏睡（しているところより）。
※吹醒：（秋風が）吹いてきて、呼び覚ます。
※節日：祝日。祭日。
※的：…の。
※禮花：祭典に打ち上げる花火。
※點燃：点火する。火をつける。燃やす。前者の意。
※我心中的：わたしの心の中の。
※火種：ひだね。
※聽：聞け。きく。他動詞的。“聞”（きこえる：自動詞的）よりも積極的な感じを持っている。
※冰雪遼河：氷と雪で閉ざされた（北方の）遼河。遼河は、遼寧省を北から南へ瀋陽の側を通って流れている。ここでは、その河そのものが問題ではなく、北方の河として、また「遼（はるかな、遠い）」の語感がこの詩として相応しいため、さらに、「長江」の「長（ながい）」対にするために使われている。
※風雨長江：風雨の吹き荒ぶ（南方の）長江。「冰雪遼河，風雨長江」で、中国の北の方から南まで、全国各地で、全国の隅々で、広汎な地域で、という風な広がりを見せる表現。
※日夜：日夜。昼も夜も。
※激蕩：うねる。（液体を）揺り動かす。
※有聲：声がする。聞こえてくる。
※南方竹陣：（中国の）南方の竹藪を吹き抜ける風音。
※北國松濤：（中国の）北方の松林を吹き抜ける風音。松風。
※還在：なおも…している。
※呼號：泣き叫ぶ。泣きわめく。叫ぶ。呼び交う。
※不停：とどまらない。
※看：見よ。みる。他動詞的。“見”（みえる：自動詞的）よりも積極的な感じを持っている。
※運糧車隊食糧を運ぶ車の隊列。
※

拉機群：トラクターの一群。
※一直：真っ直ぐに。連続して。ずっと。
※轟轟：大きな音の形容。轟々と。盛んなさま。
※跳動：躍動している。
※無數戰馬：限りなく多い騎馬戦士。
※百萬雄兵：極めて多数の勇敢な兵士。毛沢東にも“百萬雄師”

があり、それにに同じ。
※永遠：永遠に
※向前：前に向かって。
※奔行：突き進む。
※呀：文中に附いて、語気を停頓させ、語勢を整える助詞。…よ。
※已經：すでに。
※把我的…：わたしの…を…（する）。
※身躯：からだ。
※吹得飛上晴空：吹いて晴れた空に飛ばされて。
※心胸：胸の内。抱負。想い。
※燒的：焼く。
※大火：大きな火。
※熊熊：火の盛んに燃えるさま。「已經把我的心胸燒的大火熊熊」祝典を祝う花火の火は、わたしの胸の想いに火を着け、やがてその火が我が身（詩人）を焼き尽くして、煙としてしまうだろう。
※知道：知っている。分かっている。
※總：結局は。どのみち。とにかく。しょせん。
※有一天：いつかある日。
※會：きっと。
※化煙：煙となる。
※煙氣騰空：煙は空に立ち上っていく。

◎　構成について：

　　自由詩。韻脚は「醒（種）声停行空熊空」。現代語の平声の〔－ｎｇ〕韻。もし換韻とみれば「醒（種）声停行（主として-ｉｎｇ韻）」「空熊空（-ｏｎｇ韻）」になる。平仄には、顧慮していない。この作品の平仄は次の通り。

●●●●●，○●●○○●●○○○○○●，（韻）
●●●●●，●●●●○●○●○○●●●。（韻）
○，○●○○，○●○○，●●●●●○；（韻）
○，○○●●，●●○○，○●○●●○。（韻）

　　　（以下、省略）

２００２．１１．３
　　　　　１１．４完
２００４．　２．９補