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第1部
2
幻覚?
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足どりが早くなり兄のダダのいる方へと向きも変わっていた。
「やあダダ、おはよう」
「おはよう、どうしたんだシュール青い顔して」
「セレニーとポップはどこ」姉と弟だ。
「そこに二人いるじゃないか。あの生け垣の向うに」
「ああ。いればいいんだ」
「どうしたんだおかしなやつだなあ」
「ううん、なんか恐ろしく胸騒ぎがするんだ。地球が、天地がくねくねに歪んでしまうんじゃないかという気がしてならないんだ。いや、気がするんじゃなくて、見たんだ。空が歪むのを」
「お前、疲れているんじゃないのか。幻覚でも見たのか」
「幻覚?幻覚なのか?ゲンカク・・やっぱり俺が変なのか・・」
「地球がくねくねになるなんてことは蜃気楼で遠くの景色がそんなふうに揺れて見えることはあるけど。空が歪むなんて聞いたことがないな。新しいコンピュータが入ったんだろう相談してみたのか」
「うんん。まだ。それよりなぜか皆のことが気になって」
「そうか、わかった。近いうちに兄弟四人で旅行にでも行こうか。シュールにはそういう休暇が必要かもな」
「そう?それもいいけど、そういうことではないと思うんだけどなぁ・・・・」
「おい!シュールどうしたんだ!気分が悪いのか!」頭を押さえてシュールはしゃがんでしまった。
「上空で何かが!!」
「え。どこだ!・・・」ダダも一瞬の空の歪みを見た。
目の錯覚かと同じ所を見、空全体も見わたした。シュールと同様、ダダも大きな不安感に包まれた。
いつもの空がそこに見えたがその向うに何かいるような無気味さが鮮やかな空の青さの中にあった。
ダダとシュールは顔を見合わせた。
そしてセレニー達に目をやった。
楽しそうに話している何人かの友人にまじって、二人の姿が見えた。
そしてもう一度空を見上げた時、目の前が真っ白になり青い空や緑の風景、建物さえも見えなくなり一瞬にして世界が変わった。
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