アニメ遊館----ダシモノ目次
「Both Sides world」
「オトコサイセイ」「セレニーノ輪廻転生」「グラマラス.1」「 グラマラス.2」「セレニー」
「サイクルセレニ−」「ハートト翼男」「飛行機」「ガラスピエロ」「ミラーマン」「GRA-MA惑星群」
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第3部
1
旅行
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蝶がいて、猿がいて、象がいて、メダカがいて、土があり、植物の葉が水分を発散している。
人がいて、胃袋があり、心臓があってそれらは知らぬ間に仕事をしている。
地球があり、宇宙があり、人間の脳がある。
「あーっ、良く寝た。ここはどのへんだ?もう太陽系の外に出たのだろうか」
「おはようございます。九時間三十分の睡眠で、体力回復度九十五パーセントです。現在我々は太陽系の端、地球から最短距離で太陽系の外へ出ようとしています」すかさず移動システムが答えた。
「そうか、じゃあステーションへはもうすぐだな。着くまでの時間を出してくれないか」
「十時間四十分です」
シュールはこの一人用の移動カプセルの窓のカバーを開け外に目をやった。
真っ暗でなにも見えない暗黒の世界であった。星すらも見えなかった。
音もない、永遠に止まっているように感じる・・。
やがてゆっくりと、縦横二メートルぐらいの窓の端からほのかな明りが見えてきた。
地球に住む人口は全人類のわずか十パーセントほどで、あとの人類はそれぞれの星に移り住んでいた。
そして、この移動の旅は終わることなく続き、その星に生まれた新しい世代は次の星へと冒険をくり返した。
だが、あくまでこれは形の移動である。
時間の移り変わりにすぎないのかもしれない。
この、実態の世界よりも精神世界の分野は、どこまで進歩したのだろうか。
人間の旅が地球から離れれば離れるほど精神の旅はその中心へと近づいて行くように感じられた。
生活区を後にして数カ月が過ぎたある日、シュールは宇宙ステーションに立ち寄っていた。
もっと遠くへ行きたいという気持ちが強くなり、そのステーション内の転送室に入り行き先を[OUT]と入力した。
自分から離れ自分を見つめたかった。
それには、地球をもっと離れ人類を外からみつめられる所へ行きたかった。
十五の星にすでに人類は住んでいた。それらの星以外の所を探していた。
コンピュータ「エアー」は、入力されたデータと、シュールの発する脳波から次のメッセージを送ってきた。
「シュール、君の入力したOUTは、INにつながっています。よろしいですか」
宇宙で外側のものが内側につながっていることはなんとなく理解していた。
当然の反応につまらなく感じながらもOKのサインを出した。
転送室からシュールは消えた。
身体の存在感はまるでない、脳の奥で様々なものを感じている。夢を見て自分がその夢に登場しているような感覚である。
どれくらいに時間がすぎただろうかコンピュータ「エアー」がシュールに話しかけてきた。
「もうすぐ到着します。この星は、地球のY軸から宇宙の拡大方向に十三度で直進した所にあります。人類が住める条件を満たした三十八年前に発見されたばかりの星です。宇宙での我々が移動できる範囲内で一番外側です。大きさは月とほぼ同じ、先住知的生命「サイクロ」が六億四千万サイクロ固体で、地球からの旅行者及びコンピュータの頭脳を彼等は快く受け入れてくれています。そして、このセッティングは『旅行』になっていることを忘れないように。無理なコースを取ったり、行き過ぎたこの星の住民との感情のやり取り等があった場合、警告音がなります。警告音が三回なった時は、それ以上の行動を避け直ちに転送ボタンUを押してステーションに戻ること。それ以外の行動に対しては・・・」
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