アニメ遊館----ダシモノ目次
「Both Sides world」
「オトコサイセイ」「セレニーノ輪廻転生」「グラマラス.1」「 グラマラス.2」「セレニー」
「サイクルセレニ−」「ハートト翼男」「飛行機」「ガラスピエロ」「ミラーマン」「GRA-MA惑星群」
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第1部
4
巨大な何か
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その頃、地球は大人の世界と子供の世界が別々になっていた。子供を育てたり教育するのは、親ではなくコンピューターがすべて行っていた。
親が子供に愛情がなくなったとか育てるのが嫌になったということからではなく、人類の子孫に対しての生存率を高め豊かに繁栄させるために、コンピュータによる二十四時間態勢でそれぞれの個性に適応した英才教育をするためであった。もちろん、子供の世界から大人の世界へ、大人の世界から子供の世界へとどちらへでも自由に行き来ができた。
子供の世界は、五百人くらいの単位で生活区ができていて、ゼロ才から十八才までの男女が何の制約もなく自由に生活をしていた。
ひとりひとりの性質、能力、遺伝子にいたるまでをコンピュータが分析、把握し、彼等の行動に合わせて心理的に誘導しながら映像人間等を駆使し教育をおこなっていた。
この兄弟がいる地球のトウキョウというところは、廃虚になってから百年余りたってやっと自然をとりもどした美しい古都である。
そこにいる生活区の全員が、壁も天井も床も真っ白な大きな部屋のような空間に、一瞬にして閉じ込められていて、数人ずつその場から消えているのだ。
「あ!また消えた。怖いよーッツ」
ポップは、セレニーの子供から少女にになりかけた腰のあたりにしがみついた。
「ワーッ」「キャー」
「ダダ」「ポップ・・」「・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ウウゥ・・」「ウッ、あ、ポップ」
シュールの頭上にいつのまにかポップが・・・
「ダダ!セレニー!シュール!」
ポップはシュールの頭の上で足をバタバタさせながら名前を呼び兄弟の存在を確認した。
ほかの仲間たちはいなかった。
たった四人だけになっていた。
「ポップ、大丈夫か。どうやら離ればなれにだけはならずにすんだようだ。心配するな俺たちがいる」
ダダは長男らしく、異変があるごとにその状況に適用し冷静さをとりもどしていった。
「確かに巨大な何かが俺たちをここへ掴んで入れこんだようだ。シュールはどう思う」
しっかりとした様子のシュールにダダが聞いた。
「うん、俺も見た。大きな生き物だったよ。人間の形はしていなかった。透明で大きなアメーバのようにもみえたけど、あまり恐ろしいという感じはうけなかったよ。だからぜんぜん平気だ、身体に痛みもないし、目の前が突然真っ白になってアッという間にこの中に・・」
「あれっ、おいっ、足下が、どうなってんだ」立っていたつもりのダダが言った。
「俺たち浮いているんだ。どこにも触れてないよ」シュールは、自分の冷静さにとくいになっているように見えた。
「何か大きな手のなかにいるようだわ。でも、周りは白く霞んで何も見えないし、どうなってるのほんとに」
夢の中の世界のようだと、セレニーは思った。
以外にも最初のときからすると少しばかり不安感や恐怖感がうすれてはいた。このふわふわとしたメルヘンのような空間に、少女としての心を奪われてしまったせいなのだろうかヒステリーもおさまっていた。
「何か大きな力が、俺たちに働いていることはたしかだ。
それも、意思を持って。俺たちをどうするつもりなんだろう」ダダは思った。
みんなも同じ考えだと目で分かり合えると四人とも黙ってしまった。
それは空気の分子を自由に操作してできた容器の中に入れられていたのだった。たとえば、水中に氷で作った容器が入っていて、その氷の容器の中に閉じ込められている魚のような感じである。
もちろん氷のように硬くもなく冷たくもなく、白く柔らかくこの兄弟をおおっていた。
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