第3部 -2 SF連続3D・FLASHアニメ芝居=B.s.w/Tシャツ販売&ART制作(ARTの現場)
アニメ遊館----ダシモノ目次
Both Sides world
オトコサイセイ」「セレニーノ輪廻転生」「グラマラス.1
グラマラス.2」「セレニー
サイクルセレニ−」「ハートト翼男」「飛行機」「ガラスピエロ」「ミラーマン」「GRA-MA惑星群
SF連続3Dアニメ芝居
[Both sides world] 第1部 プロローグ1234567→第2部につづく↓
第2部 123456→第3部につづく↓
第3部 123最終回

Shockwave


第3部
3
生命の二つの世界

 『君の名前は?』
また、脳の奥で声がした。
「ああ、ごめん名前をまだ言っていなかった。
俺は、シュールだ。君は“トーア”って言ったよね」
『そうだ、シュール。友達になれそうだね。俺のこともトーアって呼んでくれ』
 シュールは、自分が立っているこの地面の三次元に広がる世界以外に、
別の遥かに進化をとげた生命の世界があるような予感を確かなものにしつつあった。

彼等の世界を知りたい、
そしてトーアって何者だろうという気持ちが沸々と沸き上がってきた。
「トーア、君達の世界ってもう一度聞くけどこの星のことじゃないんだね。
そうだとしたら何処にあるんだい。
君のこの脳はこの星にあるのに、この脳と君の今の声とはどうつながるんだ?
なにか精神的な無限の世界があるという予感はするのだけれど、
いまの俺には想像がつかない」
『シュール。君はうすうす感じはじめているんだ。生命の二つの世界を。
目で見える外側の世界と、心でみる内側の世界を。
一言で言えば俺達の世界は後者の内側の世界だ。
でも今、心で見る内側の世界といったけれど、
これは君に分かりやすいように表現したまでで、
実際は君が今見ている世界と同じように三次元でできていて
街もあれば建物もあるんだ』
「心の世界。内側の世界」
『実は、君もこの世界に来たことがあるんだよ、何回も。
いや君だけではなくどんな生き物でもたぶん、何度も何度も。
それは、君たちが夢とよんでる現象のことだ。
そして、君たちの大きな誤解は、
その夢が一人一人個人的なものと考えていたことだ。
そうではなくて、ここは君たちの世界の反対側のもう一つの世界なんだ。
遠い昔俺達の祖先はそちら側の世界をすててこちら側へやってきた。
最初は行ったり来たりしていたようだがいつのまにかこちらでの生活が多くなり、
やがてそちら側にある身体が退化してしまい脳だけが残ったという訳だ』
「・・・・」
『人類の今の科学と想像力ではたぶんここまで追求するのは無理だろう。
それに自然に沿った精神と無心な心が必要なんだ。』

ここまで聞いていてシュールは、ふと思いあたったことがあった。
それは、地球での生活区での出来ごとである。
「トーア、少しづつ理解していけそうなきがする。
それに、夢とか反対側の世界とか、もっと詳しく知りたい。
俺はどうもそちらの世界を知るように定められているようだ」
生活区で体験したこと。
突然今まで知らなかった空間へ行ったり、また戻ったりのあの事件。
それらがこのトーアのいる世界とつながるのではないか。

あの事件がシュールにとって何を意味していたのか、
ほのかに明かりがさしたような気がした。
『これ以上話してもなかなか理解するのは困難だろう。
とにかくそこからこちらへ来てみないか』
「わかった、行くことにする。でもどうやって?」
『心の中、頭の中、を空にするんだ。俺の声の方へだだ来るだけでいいんだ。
あとはこちらから誘導してやるよ』
「空にする・・あの時も、
心の中を空にして別の世界から帰ってきたんだ。
もしかすると」
シュールの頭にあの時のウォータとの会話を思い出した。
あの不思議な部屋から出たくても出られなかった時に
ウォータが話してくれたあの時のことを。

《・・・「そうじゃない、シュール、冷静に心を澄ましてよく考えてくれ。
肉体を離れ、心だけの世界に入れば、
何の躊躇もなく、出入り出来るということだ。
俺も今は、肉体を持っているから分かるが、なかなか難しいことだ。」
一点を見つめウォーターは、言った。
「ふうん、自分で、自分を縛っているということなの?
じゃあ、頭の中を空にして心だけの精神状態にすれば、
外に出るのも、君が紛れ込んだ世界へ行くのも、怖くないということなの」
シュールは、ウォーターの言葉を受け入れたものの、
あまりにも漠然とした内容に、戸惑いをかくしきれなかった》
 
 シュールには、今や何の迷いもなかった。
心を空にすれば次の新しい世界がやってくる、
今あるものにこだわりをもたずに無心に進めば
必ず次の何かが見えてくるということをあのとき体得していたのだった。

シュールは、目をつむった。
トーアの声に耳を傾けた。
大きく息を吸い込み、少しづつ身体の筋肉の緊張を緩めながら吐いていった。
身体の重みが感じられなくなってきた。
トーアの声は、鮮明に聞こえる。
何処か遠くで警告音が鳴っている。
一抹の不安が、網膜の奥なのかもしくは脳の奥あたりで
濃い紫色に形を変え横切った。
その後まったく濁りの無い澄んだ色の流れの中にいた。

そして、警告音も遠くに消えた。

薄明かりになり、水中の景色、シダ植物の森、
大平原に哺乳類の群れ、青く澄んだ地球の空、どこかの星のかなり進化した街。
さまざまな景色が浮かんでは消えていった。

・・・・・・・
 『やあ、来れたね。俺トーアだ』

目の前に、人類がこのまま進化しつづければ
このように成るであろうと思われる姿のトーアが立っていた。

顔は奇麗なタマゴ型で手足の見えるところは凹凸のない肌をしていた。
まるで赤ん坊を大きくしてスマートに八等身にし、
目鼻立ちをシャープにしたとでも言えばいいのか。とにかく美しく輝いていた。
服装も電磁波もしくは何らかの映像システムで造られたもので体を覆っていた。
この星の流行の形をしているのだろうと
デザインの面白さにも見とれてしまっていた。
とにかく目に鮮やかであった。

周囲を見渡してみた。地球と同じ風景であった。
もしくは、地球と同じように見えた。
ただ、やはり、建物や乗り物は、
地球のものからはそうとうに進化しているようだ。

・・・・なにげなく自分の手を見た。
どうしたことか、トーアと同じ凸凹のないすんなりした肌になっているではないか。
袖をまくって腕を見ようとした。
服のようで布地の服ではなく、やはりトーアと同じ衣類を自分も着ていた。
『それが君の内側の姿だ。なかなかよく進化した内面だ。
だからこそここに来られたんだろうけどね』
『これが、俺の内面?の姿。・・・この服は何で出来ているの?
すごく軽くて着ている感じがしないんだけど』
『そうだ。君の内面の姿だ。
といっても地球での君の姿もある意味では、君の内面であったわけだがね。
ま、ここでは、地球にいた頃のように心の内側がどうのというようなことは
考えなくてもいいということだ。
見たもの感じたもの体験したものすべて君そのものだ。
その服も実は、君の身体の一部だ。
ま、今、身体と言ったが、この世界では身体というものは存在しないのだけど。
ようするにここには形が無いんだよ。あるのはお互いの心だけ。
今見ているのは心が描いたイメージにすぎないんだ。
お互いの心のやりとりで造られている風景であり、この顔や手なんだ」
『でも、叩くと痛いよ。この服だって脱いだりできるよ」
『ま、そのうち分かるよ』

確かに服や自分の身体や風景のあり方はいままでの世界と変わらないようにみえた。
しかし、すこし時間がたつにつれて分かったことは、
自分の感じたこと考えたことがすぐに風景なり
自分の顔または相手の顔に反応しているということだ。

トーアとも言葉で会話しているのか以心伝心で理解しあっているのか、
こちらのことが相手に伝わっているし、
相手のことも良く分かるといったことが普通になんのとまどいもなく出来ていた。
『トーア気持ちのいい世界だな、ここは』
『気に入ったかい。
もうすぐ君の存在を知っていろんなサイクロから交信してくると思うよ。
昔の地球でやっていたホームページネットワークのようにね』
『ああ、たぶんもう来ているよ。頭の中で微かに声が聞こえて、
もう三サイクロと交信したよ」

言葉で交信するのではなく、相手の気持ちが直接自分の中に入ってくる。
それを音を聞き分けるように選んで、直感的に自分の思いを相手に送る。
それが、ここの日常なのである。

『じゃあ、これで行くよ、また』
トーアは、見えなくなった。

『なんという世界だ。自由とはこれだ。
相手をキズつけることも、キズつけられることもたぶんここにはないだろう、
もちろん肉体の苦痛も無い。そして、自由に動ける』

『やあ、こんにちは。珍しい発信をしているんだね君は』
頭の中で交信の声がした。
『地球から来た者です。シュールといいます』
『やっぱりそうだったか。私は、ケーカですよろしく』
『え、やっぱりって?』
シュールは、いろいろの声がする中で、この声と話をすることにした。
一人と話していると他の声がまったく聞こえなくなる。
自分の欲しいものだけ心で選んでいるのだ。
『私は、この地域の環境を監視しているものだが、
君の身体のことで聞きたいことがあるんだ。いいかね』
シュールの前に姿を現したのは、
地球で言えば五十才くらいなのだろうか、落ち着いた風貌である。
『警察?』
『君たちの言う警察は、ここにはないよ。
この世界には法律もないからね』
『じゃあ、何を監視しているんですか』
『外の世界の健康チェックとでも言えばわかるかな』
『外の世界。あっ、そうか。俺の身体も外の世界に残したままだった』
『君もここへ来る時に見たと思うが、あの脳が我々の身体だ。
周辺の気体のチェック、地中の栄養素のチェック。
それを怠ると命にかかわるんだ』
『俺の身体は今どうなっているんですか。自分で自分の身体が分からないなんて』
『そのことで君に話したくて声をかけたんだよ。
君は、いつここにに来たんだね。そんなにたぶん時間はたっていないだろう』
『まあ、そうだけど。どうしてですか』
『どうしてって、その様子だと君はまだ来て一、二時間てとこだな』
『はい、でもすぐにここが気に入ってしまいました』
『ははは、のんきだね君は。
だからこんな大冒険も出来てしまうんだろうな。私も、気に入ったよ』
『・・・・・』
『君、腹減ってないのかね』
『えっ』
『ここでは、食べたり排便したりすることはないんだよ。
ただ、物の味を楽しむために食べたりするけど、
栄養を取り込むためのものではないんだよ』
『ということは。えっ、俺は何処で食事すればいいの。
あっ、まさか。
もう食べなくても生きていけるの?
それに、自分の身体にもどるにはどうすればいいの』
シュールは動揺を隠せなかった。
『君の身体は、ここへ来る前に最後に見た風景の草原の中に横たわっているよ。
このままではいずれ死んでしまって自然の中に溶けてしまうだろうな』
『そ、そんな』
『もちろん、ここにいる君も消えてしまうだろう。
そうならないためにも今のうちにしておかなければならないことがあるんだ』
『それは、どんなことなんですか』
『今すぐ、君の身体を処分して我々のように、脳だけのサイクロになることだ。
手術は簡単だ。
君の身体から脳をはずして特殊な皮膚と、
地中から栄養素を吸収できるように根を移植するだけだ』
『ちょ、ちょっと待ってくれ。そんなことぜんぜん聞いてなかったよ。
ここは、すばらしい所だけど。
あ、ねえ。前の所に戻ったり、こちらに来たりと、
行ったり来たりはできないの?
簡単にできるんだよね、そうだろ』
『五十時間以上ここにいれば完全に戻れなくなる。
君の脳がここの生活にすでに適応し始めていて四十時間で完了する。
最後の十時間は、調整の時間だ。
もし君がここにいることを望むなら、
そうだな、三十時間以内に私に知らせてくれたまえ。
そうすれば、君の身体の手術にも間に合う。』
『ああ・・ありがとうございます。よく教えてくれました。
感謝します。で、もし、戻るとしたらどうすればいいんですか。』
『その時も私を呼んでくれたまえ。
気にすることはないよ、これが私の仕事だからね。
あ、そうだ、行ったり来たりは君の脳に大きな負担がかかるのでやめたほうがいいよ。
いったん出たら十年くらいは来ないほうがいいよ』
『分かりました。ちょっと考えさせてください』
『・・そうか、わかった。』
・・・・・・・・
ケーカはいなくなった。

『もっとここについて沢山のことを知りたい。しかし、時間がない。
このまま肉体を失い精神だけの人間になるには、あまりにも突然すぎる。
だめだ、ここにいてはいけない。
二時間くらいその辺を見学して帰ることにしよう』

シュールは、心を決め。時間までの観光をはじめた。


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