第2部 -5 SF連続3D・FLASHアニメ芝居=B.s.w/Tシャツ販売&ART制作(ARTの現場)
アニメ遊館----ダシモノ目次
Both Sides world
オトコサイセイ」「セレニーノ輪廻転生」「グラマラス.1
グラマラス.2」「セレニー
サイクルセレニ−」「ハートト翼男」「飛行機」「ガラスピエロ」「ミラーマン」「GRA-MA惑星群
SF連続3Dアニメ芝居
[Both sides world] 第1部 プロローグ1234567→第2部につづく↓
第2部 123456→第3部につづく↓
第3部 123最終回

Shockwave


第2部
5
サイバネ

 「あの、化け物。俺たちをどうしようというのだ。なにもかも見透かされているんだろう。この空間を掌握し自由に操っているようだ」
 ウォーターは、くやしそうににぎりこぶしに力をこめた。「そんなことができるのは、バーチャルの世界だけだと思っていたのに。俺たち人間は、これからどうなるんだろう」
 さまざまな事実が一度に示され、シュールは何からどう理解して気持ちを落ち着かせたらいいのか、あまりの事態の大きさに困惑していた。
 ふたりの間に、混乱と不安からくる緊張感がだだよっていた。

 「シュール、食事の用意が出来たわよ」と、突然、部屋のモニターのセレニーの映像から、明るいいつもと変わりない声が聞こえてきた。
 ふたりは、なぜか救われたようなきがした。
 「あそうだ。ウォーターをみんなに紹介しなければ」
 食卓ではダダとセレニー、そしてバーチャルの海から帰っていたポップがウォーターを快くむかえ、彼が以前バーチャルであったことはまったく気付かなかった。
 これは、窓の外へ出てからあの別の世界で三年間、人間として家族のなかで生活してきたからであった。
 ウォーターは知らず知らずのうちに心もからだも完全に真の人間に成っていたのであった。
 シュールのこの事態に対する焦りとは逆に、彼の精神はますますバーチャルのときには味わえなかった癒されたものを感じ、
身体の細部まで生を実感していた。

 この日から、この四人に新しい兄弟がふえた。
 シュールの部屋でウォーターは寝起きし、一日中ふたりであの超生命体のことを調べ研究した。
 ダダたちにも協力を求めたが、やはりあまり乗る気ではないようなのであった。
 「ウォーター、俺たちがこの研究を進める前に、ダダたちの意識を変える必要があるのではないだろうか」
シュールは、モニターをみながら調べものをしていた手をとめて言った。
 「シュール、俺もそのことは考えてはいたんだ。でも、超生命体の実態を知ったところでどうなるだろう。知らない方がいい、と言うより俺たちに理解出来ることではないのかもしれない。少しずつダダたちの気持ちが分かるような気がしてきているんだ。肉体を持たなかったときには、超生命体の世界、人間の世界、バーチャルの世界、この三つがはっきりと整理されて理解していた。それが、今はよく分からないんだ。その三つが別々ではなく一つのように思われてしょうがないんだ。現に、そんなことを言っている君だってこの家の外へ出ようと思わないだろう。それはなぜだろう。俺は、人間としての本能のようなものが、まだ身に付いていなかったから外に出られたのかもしれない。肉体のある生命すべてが持つ本能を、あの超生命体は操っているのかもしれない。その、超生命体ってどこにいるんだ。と考えたとき、もしかして、我々の脳の中に・・」
 ウォーターの表情は、悲しそうにもみえたし、満ち足りているようにもみえた。
 「何を言っているんだ、ウォーター、大丈夫か。現実にこの家があり、俺たちはあの生活区からここへ連れてこられた。そして、四人ともそれを体験している事実があるのに、全部脳の中で起こった夢だと言うの。君だってあの化け物にあんな体験をさせられたのに」
 シュールは、自分がこの家から出られないことを再び指摘されたこともあって、イライラしていた。
 「これは夢なんかじゃない現実だ。それにシュール、何度も聞くけど、君は玄関から外に出られるか?」
 「・・・君の話しを聞いて怖くなったよ。だってそんなわけの分からない世界が外にあるんだろ」
シュールは、釣り上げられた魚が、釣師によって絞められたようにおとなしくなった。
 「そうじゃないシュール、冷静に心を澄ましてよく考えてくれ。肉体を離れ心だけの世界に入れば、何の躊躇もなく出入り出来るということだ。俺も今は肉体を持っているから分かるが、なかなか難しいことだ。」一点を見つめウォーターは言った。
 「ふうん、自分で、自分を縛っているということなの?じゃあ、頭の中を空にして心だけの精神状態にすれば、外に出るのも君が紛れ込んだ世界へ行くのも怖くないということなの」
シュールは、ウォーターの言葉をうけいれたものの、あまりにも漠然とした内容に戸惑いをかくしきれなかった。

 人類は自分の将来を語り、それを現実に変えて行くプロセスを研究し始めていた。
 そして、心の方向通り現実が現われるシステムを解明しつつあった。
 しかし、その心の中、つまり潜在意識の複雑さに、ひとりの人間が将来こうありたいと頭で願っていても、理論とは違った結果が出ることで、研究は壁にぶつかっていた。
 潜在意識と現実世界との関係。
 単純な表現をすれば、潜在意識が楽しく感じていれば顔が活き活きしてくる、元気が出る、健康になる、あるいは病気が治る。 そのように、この潜在意識は表面にあらわれ、次にまわりの人をも楽しく変えて行く力をもっている。
 また、人、動物に限らず、家や、機械のような無機物にも影響を及ぼしているのだが、時間という流れの中でそれはあまり如実に感じることができない。
 たとえば、『このようなシステムがあればべんりなのに』と、誰かが思ったとして、数年後にはそれが実現しているといったように・・。

 人類が生れて今まで手をかけなかった、心と心から出来てくる現実世界の間の聖域に人の科学のメスが入ってしまったのだ。

 「ウォーター、君の言っていることが少しは理解できたように思う。で、もし俺がこの部屋から出られたとして、その後どうなるの」
 シュールは、自分との戦いがはじまっていることを敏感にウォーターの言葉から読み取っていたが、あえて聞いて見た。
 「シュール、それは今、言ったように、君の潜在意識の中にあることだよ」
 「そうか、じゃあ、もう一つ、聞いていいかい。今いるこの部屋のこの世界は、君の潜在意識の世界でもあり、俺やダダたちの世界でもあるわけだよね。顔も性格も考えていることも違うのに、同じ部屋を見ている。と、言うことは、同じ心だということなの?」
 シュールは、ウォーターを慕っていた。だからこそしっかりと、聞いておきたかった。
 「そう同じだ、ただし、ほんの一部分だけだけどね、その一部分の接点で同じ現実を見ていることになるんだ」
ウォーターが、言った。


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