第3部 -2 SF連続3D・FLASHアニメ芝居=B.s.w/Tシャツ販売&ART制作(ARTの現場)
アニメ遊館----ダシモノ目次
Both Sides world
オトコサイセイ」「セレニーノ輪廻転生」「グラマラス.1
グラマラス.2」「セレニー
サイクルセレニ−」「ハートト翼男」「飛行機」「ガラスピエロ」「ミラーマン」「GRA-MA惑星群
SF連続3Dアニメ芝居
[Both sides world] 第1部 プロローグ1234567→第2部につづく↓
第2部 123456→第3部につづく↓
第3部 123最終回

Shockwave


第3部
2


 自分の足に体重の重みを感じた。
 身体の存在感も戻ってきた。ゆっくりと目をあけてみた。
 青い色が目の前に広がった。明るい柔らかい光だ。
 風景の細部が浮かんできた。
 星の表面がシアン系の濃淡である。地球でいえば植物のグリーンなのだろうか。見なれない植物のようなものが一面に生えていて、遠くには地平線がゆるやかな円弧を描きながら広がっている。そしてその上には、どこまでも透明な緑の空があった。

 旅行用のバリヤケースの中にシュールは入っていた。透明で球体を地面で半分にした形である。
 急な環境の変化から身を守るためである。異常がなければ数時間後に解除される。
 足は地面をしっかりと踏んでいる。歩くこともできる。
 遠くへ行くときはベルトに付いている携帯の転送装置でどこにでも移動することができる。(転送装置は、基本的にはどこにでも行けるのであるが、転送装置で侵入出来なくする規制装置は、個人的な民家や、あらゆる無断立ち入り禁止の所には行けなくなっている)

 「OUTか、ずいぶん遠くまで来た感じはするけど実感わかないなぁ。昔のバーチャルで色ズレした時のようだな」
 周囲は色は違えど地球の広々とした自然の風景とあまり変わりがなかった。
 「この星の街は何処だろう、転送の検索で調べてみるか」
シュールは独り言をいいながら操作をはじめた。
 「ん!おかしいなア、街が無い。人間よりも高度な文明を持つ生命体がいるはずなんだけど・・」
 不思議に思いシュールは、検索システムに”高度生命体”と指示してみた。だが、星全体の地図では何も表れなかった。
 「おかしいな、どうしたんだろう」考えこみながらシュールは地図を拡大した。
 どんどん拡大していくうちに小さな点がほぼ同じ間隔をおいて点在しているのが見えてきた。
 もっと拡大してみようとするとコンピュータエアーの声がして
 『それ以上詳しく見ることは、生命体にのプライバシー保護のため禁じられています』
 「・・・あ、そうか、この点は、ひとつの生命体ということか。しかし、なぜ家も無くこのようにまるで地球上の動物のように外にいるのだろう。ほんとうに人間より高度なのか・・?」
検索画面から目を離し、あらためて周りの風景を見回した。
 「この景色の植物の下にに生命体が潜んでいるんだろうか。人類に友好的ということだから危険はないだろう。」
とつぶやきながらシュールは、腰ぐらいの高さの”月下美人”に似た植物が群生する中を歩きはじめた。

 ラララララ・・・ルルルルル・・・・・

 心地よい音楽のような泣き声が周囲で聞こえたかとおもうと、何羽かの鳥のような生き物が空中に螢のような光りを全身に輝かせながら浮かびあがったり、漂ったりしながら又植物の中に消えた。
 一羽づつ違う色をはなっていて、それぞれがなんとも美しく調和のとれた舞いのように動き、その泣き声とともに現れては姿を隠した。
 シュールの緊張は一瞬にしてほぐれた。
 知らない星に来たという警戒心はうすらいでいた。
「たしかにこの星は、人類を快く迎えてくれるような気がする・・」

 バリヤケースが解除されていた。
 シアン系の植物の下は薄いピンクの砂のような地面である。植物の間隔もほどよく歩くのには邪魔にならなかった。
 「このあたりに、小動物がいるのは分かるけど知的生命体がどこにいるのだろう」あたりを注意深く眺めながらゆっくり歩きはじめた。
 何かさきほどの螢のような光りをはなつ鳥のような生き物以外にも次々に形、色、動き、鳴き声の違ったものがシュールの周りに現れては消えていき目を楽しませてくれていた。
 エアーからの警告音もないということは、安全な生き物であるということだ。
 珍しい生き物達に見とれ、時間を忘れ、この環境に酔いしれていると、自分の脳の奥底と感じられるところから誰かが話しかけてくるような気がした。

 「・・・・」

 おさえきれない心の動揺をシュールは感じた。
 「どうしたんだろう、俺はおかしくなってしまったのか・・何か聞こえる、誰かが何か話しかけている・・・・」
その声に全神経を集中させたが、やがて声が消え、何も聞こえなくなった。
 シュールは我にかえった。
 「今のは、なんだったんだろう・・たんなる耳鳴りなのか。せっかくいい気分で景色を楽しんでいたのに」
しかし、動揺はおさまらずあたりを何か落とし物でもしたかのように探しはじめた。
 「・・そうだ、さっきの検索データだ、知的生命体のあの点だ。あれを探さなくては・・・もしかしたらエアーからの警告音だったのか・・・そんなはずはない、警告音はもっとはっきり聞こえる・・・しかし、あの知的生命体に出会わないのが不思議だ・・」

 ・・・・・・

 『こんにちは。俺は、トーア。君は地球の生命体、人間だろ?』

 今度ははっきりと、やはり頭の奥底で声がした。
 「そうだ。あ・・こんにちは・・・君は誰・」 
シュールは思わず答えていた。
 『この星のサイクロだよ・・』
 「??君はどこにいるんだ。どこから話しているんだ。これはどういうことだ」
 『今の君には俺たちの世界が見えないだろうナ・・君から一メートル離れないところにいるよ』
「えっ、どこだ?何も見えない。さっきから光りをはなったて飛び交っている鳥がいるだけだ。まさか君がその・・・」
 『冗談じゃない、そんな動物と一緒にしないでくれ。・・そうだな、君が今向かっている方向から四十度くらい右、八十センチくらいの所にいるよ。見つけられるかい』
 「右手八十センチ?何もない。なにも見えない、あるのは石だけだ」
 『君もそうとう失礼なやつだな。俺達流のやりかたで処分してやろうか。お前!』
 「いや、そう言うつもりはないんだけど、いったいどういうことかさっぱり分からないんだ」
シュールの目には確かに石だけしか見えなかった。

 『それは、石じゃない!それが俺だ。君たちの身体でいえば、脳にあたるところだ』
 「えっ・・」恐る恐る近づいてみた。
幅二十センチ厚みが十センチほどの丸い形で、地面と同じ色をしていた。
 「さわってもいいかい」
半信半疑、騙されているのではと疑いながら手を出してみた。
 “まるで、どう見ても石だ。
でも触ると暖かいし、たしかにこの硬い表面からは生き物の感触は伝わってくる”
 「しかし、君はどこで喋っているんだ。さっき脳と言ったけど、それじゃあ手足や身体はどこにあるんだ」
 『まだわからないのか、このバカ。お前らみたいな下等な生き物じゃぁないんだよ俺達は』
 「・・・・・」そのわりには短気なやつだなと思った。

 『どうだ、俺達の世界に来ないか』
シュールはなんのことだか分からなかった。
 「君たちの世界ってここじゃないのかい?」
 『ほんとうに何も分かっていないようだなぁ。ま、来れば分かるさ』
 「来ればって、どうやって、どこへいくんだよ」
 この得体の知れない生き物を、いつのまにか気心のしれた友だちのように感じはじめていた。
 『そうか、人間はまだこの世界を知らなかったのか。もしかしたら君はこの世界へ来る最初の人間かもしれないな。そういえば、たくさんの人間がこの星を訪れているけど、誰も俺達の世界を理解したことも、入って来たという話は聞いていなかったな。そうか、そのうち人間が来ても交信しなくなっていたんだ、そうだ思い出した。それに、たぶん君たちのコンピュータが、人間がこちらの世界に来ようとすると警告音を発するようになっているんじゃないのかなァ・・そうか、しかしよく俺の言葉をキャッチしたなお前は・・』

 シュールはこの声の主に興味をおぼえた。
いままでにこの星で彼等の交信を受けた人間達は、自分を疑い幻聴か、精神の疲れか、それともテレパシー通信のいたずらぐらいにしか考えなかったが彼は違っていた。
 もしかしたらシュールは人類の突然変異なのかもしれない。
 アーティストが新しい世界の暗示をうけるときのように、または冒険家が未知の世界へ挑む時のように。
 何か運命に引かれて前進している、その選ばれた人間達のように、彼もまた次の新しいことに人類として初めて触れようとしていた。
 気持ちを落ち着かせるためにシュールは、この声のする自分の脳から意識を反らし、目をあけてシアン系の色に輝くこの星の景色をもういちど見直してみた。
 ・・・自然の風景であった。
 文明を持った何者かが造ったもの、建造物、乗り物、鋪装された地面、そのようなものはいっさい無く、ただただ生えるがままの植物と自然に逆らわず生きる動物の姿しか目には写らなかった。

 ・・・これは、やはり幻聴なのか・・・・
 その声の主と思われる石にも目をやった。
 身動きひとつしない姿は、ほんとうに石のようだ。


データが全部来ないうちに移動するとアニメが正常に動かないのでご注意
(変になった時は更新してね)