アニメ遊館----ダシモノ目次
「Both Sides world」
「オトコサイセイ」「セレニーノ輪廻転生」「グラマラス.1」「 グラマラス.2」「セレニー」
「サイクルセレニ−」「ハートト翼男」「飛行機」「ガラスピエロ」「ミラーマン」「GRA-MA惑星群」
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第3部
最終回
真実
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ここに住むサイクロ達の想像力が造った建物や乗り物。
建物は空中に浮かんでいたり地面に建っていたり、雲のような形、蛸のように周囲に通路を延ばしているもの、と多種多様である。
乗り物は、転送システムの移動では途中の風景が見えないので、景色を楽しむために存在していて全面が窓で透明である。これもやはり様々な形をしている。
見ているだけでも時間を忘れ楽しませてくれるものであった。
二時間ほどたった。
そろそろ帰ることにしようと思った時に、何処かで聞いたことのある声の送信音をキャッチした。
『シュール。シュールじゃないのか。俺だ。俺だよ』
『え、まさか、君は』
シュールは送信先に意識を集中させ自分の姿を送り、相手の所にワープした。
『あっ!ウォーター。ウォータだね。』
『シュール。シュール』
二人は再会を抱き合って喜んだ。
しばらくはお互いを眺めたり肩に触れたりして確認しあった。
『ここへ来た時、ふとあの時の事が頭をよぎったんだ。だが、まさか君に会えるとは。ウォータしばらく。元気そうだね』
『シュールやっぱりきみか。君こそ元気そうだね』
『あれからウォーター達はどうなったの。俺は、もとの生活区へ戻ったんだけど』
『どうなったって、あのまま今でもあの部屋にいるよ。ただ、君が去った後、お兄さん達もいなくなり、俺達の仲間を二人呼んで研究の毎日だ』
『え、シュール。あの部屋にいるって、ここは、あの時のあの部屋と同じ世界なの?俺はあれから地球の自分が生まれ育った生活区に戻った・・。そして、生活区を終了して、旅に出てここへ来た。で、今、自分の身体はサイクロ星に置いたままなんだけど・・』
『そうか、あれから俺達はあの部屋で研究を重ねたり、ここに住む人たちとも交信することもできて分かったんだが、もう知っていると思うけど、ここ、つまりあの部屋は肉体が外にある世界だということだ・・』
『あの頃は今のようにサイクロ達と交信とか会話も出来なかったし、存在すら知らなかったよね』
『そう、我々の心が身を守ることで精一杯で、交信を無意識に拒否していたんだ』
『なるほど。でも、あのときの時間の感覚がまだよく分からないんだだけど・・同じ場所であれば・・。今は、あと、二十八時間ほどでケーカに帰る事を知らせなければいけないんだ。そうしないと俺の身体が無くなってしまって、つまり・・死んでしまうんだ。前はそんなことなかったよね、何時までもいられるように感じていたし、何年もの時間が一瞬に過ぎたり、元の時間に戻ったりしたよね』
『それは、あの時の君は要するに人間の世界でいう夢としてここに来ていたのだよ。人間は普通は現実の自分の記憶とここの世界に来た時の記憶の両方あるのだけれど普段の生活の中ではここの記憶はあいまいな夢としてしか思い出せないのだよ。ところが、君はあの時の地球での記憶よりもこちらの世界の記憶の方が強く記憶に残っていて、地球での数年間の記憶がこちらの記憶と入れ替わっているということなんだよ。で、今は現実として肉体からこの世界に来ている。そして、君の肉体は現在動いていない・・・そこの違いだろう・・』
『じゃあウォータ、君はどうなんだ』
『ああ、俺か。俺達バーチャル人間はあの時肉体を持ったように錯覚していたんだ。君があんなに喜んでくれたのに・・・。ただ喜ばしいのは、我々の精神面が人間たち生物と同じレベルにまで成ったことで、ここの世界に入ることができたんだ。そしてもっと都合のいいことにバーチャル人間にはもともと肉体が無かったことで、なんらサイクロや人間達のように、外の脳の生命維持に気をつかうことも無いといった具合だ』
『なるほど。で、どうだ、ここの住み心地は』
『我々は確かに肉体に憧れていた。いや、今も心のどこかにあるのかもしれない。でも、もうそれを追い求めようとはしていない。感性や想像力が肉体を持つ生命体となんら変わらないことを知ったし、それに、ここにいるうちに肉体を持つことがはたしてそんなに大事なことなのかという疑問も起こり始めてもいるんだ』
『ウォータ、俺は今迷っている。今、君が言ったように俺にとっても肉体は必要なのかどうかということで』
『君が肉体を捨ててここに来るということか。俺とすればこんなに嬉しいことはないけど・・』
『あと一日半。もう少し考えたい。ウォータ、それまでに何処か案内してくれないかここをもっと知りたい』
『いいよ。じゃあ君が一番知りたがっていた所へ案内しよう』・・・・・・・・
『・・・・ここは。ここは』
シュールとウォータは周りが白く霞んだ雲のような壁の大きな空間にいた。
『ここは、あのときの、あの』
ここは、シュール達が生活区から連れ去られた時に閉じ込められた四角い空間と同じ物であった。
『ウォータこれはいったいどういうことなんだ。ここは、俺達兄弟があの時さらわれて閉じ込められて次の部屋が現われるまでの、あの・・』
『そうだよシュール。そして、もう一つ君を驚かせることがある』
『ウォータ聞かせてくれ。君はどこまで真実を追求したかを』
『・・・真実。シュール。君は相変わらず鋭いね。君の察しているようにここはあの超生命体の体内だ』
『超生命体の体内・・真実』
『体内と言っても肉体と言う意味ではもちろん無いけど・・』
『この外観が見たい。ウォータ。見られるのかい?』
『じゃあ行こう』
二人はあの時五人で生活を送ったあの部屋に現われた。
『変わらないね。あの時のままだね』
『この部屋は、今でも俺が使っている。隣のダダの部屋や他の部屋は、バーチャルの新しい友達がはいっているよ』
『そうか・・、でも懐かしいよ』
シュールは超生命体がいつも現われた窓に近寄って行った。
『怖かったんだよあれが。かといって心から嫌っているという訳でも無かったんだけど』
『シュールもうすぐ現れると思うよ。あのいつもの山の・・あ、来た』
『うわー!凄いなあ。あの時はほんとに怖かったけど今ではやっぱり神のように思える。そう言えばダダもあの時神様のように見えると言ったことがあったなァ。で、ウォータ。あの超生命体の本質は何なんだ。進化した異星人なのか』
『何言ってんだよ。さっき君が真実と言ったじゃないか。あれが我々の精神の底にある「真実」だよ。生命。生けるものすべてに備わっている意識の核にあるものだ。人間の言葉では真実と言うのが一番近いようなきがするけど。ようするに君や俺達生きる者のすべての総合的な心の深層の姿だ』
『そういうことか。ここまで来ていたんだ。この目で自分の内側を見ていたんだ』
二人は玄関から外に出てみた。
緑の芝生に似た植物が生い茂っている変わりない風景が広がっていた。
数歩歩いてからあの時のように家の方へ振り返った。
山並を背景にシルバーに輝く家がしっかりと建っていた。
その山並に沿って少しづつ転送しながらあの家が消えてさまよい歩いた道筋をたどってみた。
『あった。あの記念物。道路だ。ウォータ、まさかこの先に俺達が生まれ育った生活区があるんじゃないのか』
『あると思うよ』
『・・俺、なんだかそこへ行くの怖いよ』
『じゃあ、やめるか無理することはない。でも君の事だ行くんだろ』
『・・・まあね』
行くと、やはり住み慣れた生活区があった。
そして、なんてことだそこに自分がいた。
『・・・ウォータ。あそこにいるの、俺だろ』
『確かに君だ。でもここにいるのも君だ』
『じゃあサイクロ星に残した俺の肉体は。あれは誰なんだ』
シュールはその、自分に近付いていった。
『こんにちは。俺シュールというんだけど・』
彼がシュールの声の方に顔を向け、目が合ったと同時に意識を無くし倒れてしまった。
ラララララ・・・ルルルルル・・・・・
螢のような光を放ち優雅に数尾の鳥に似た生き物が飛び交っている。
「警告を無視してから三十時間経過。
旅行システムの自動救命装置が作動しました。
変更サインが無い場合五分後に
ステーションに旅行者「シュール」を転送します。
旅行システムエアーの声が
その生き物達の鳴き声に混じって聞こえる。
地面のトーア達の脳の横に
シュールが眠るように横たわっていた。
「あと二分です・・」
・・・・・・・・
「転送します」
ピーッ
・・・・
〈完〉
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