ミステリ&SF感想vol.196 |
2012.06.10 |
『葬式組曲』 『未来方程式―fate equation―』 『アルファベット荘事件』 『氷菓』 『死の扉』 |
葬式組曲 天祢 涼 | |
2012年発表 (原書房 ミステリー・リーグ) | ネタバレ感想 |
[紹介]
[感想]
*1: しいて挙げれば、山口雅也『生ける屍の死』が霊園を舞台としていますが、やはり“葬式ミステリ”とはいいがたいのではないでしょうか。
*2: ただし、ミステリとしてのいわゆる“最後の一撃”というわけではありませんが。 *3: このあたりについては、作中で言及されている(199頁)背景に納得させられるものがあります。 2012.02.01読了 [天祢 涼] |
未来方程式 ―fate equation― 神世希 | |
2011年発表 (講談社BOX) | ネタバレ感想 |
[紹介] [感想]
*1: 当然ながら、本書を先に読んでしまうと前作『神戯―DEBUG PROGRAM―』の仕掛け(の一部)が見えてしまいかねないので、くれぐれもご注意下さい。
*2: とはいえ、犯人の特殊な性癖に完璧に対応させた囮の扮装には、不覚にも(?)感心させられてしまいました。 *3: さすがに(?)、 “みく”ではなく “みらい”と読みます(苦笑)。 *4: 少なくとも、前作をお読みになった方にとっては想定できることだと思われますが。 *5: ただし、一般的なミステリのトリックとは趣を異にするものです。 なお、本書はDokutaさんよりお譲りいただきました。あらためて感謝いたします。 2012.02.06読了 [神世希] |
アルファベット荘事件 北山猛邦 | |
2002年発表 (白泉社My文庫 き-2-1・入手困難) | ネタバレ感想 |
[紹介] [感想]
*1: 「あとがき」にも
“ウェブ掲載時とは内容が大きく変わっています。”とありますが、ウェブ掲載時の内容については杉本@むにゅ10号さんの「swimming » 北山猛邦講演会レポート」を参照。ただし、本書や〈『城』シリーズ〉を読んでからの方がいいかと思います。 *2: 後の某作品((一応伏せ字)『『アリス・ミラー城』殺人事件』(ここまで))に通じるところがあります。 *3: さりげなく “六人の首なし騎士の短剣”(87頁)に言及され、〈『城』シリーズ〉の世界とのつながりも示されています。と、ここまで書いて気がついたのですが、物語本篇の年代がなぜか1998年に設定されているのは、終末に近づいた1999年の世界を描いた『『クロック城』殺人事件』と整合させるためなのでしょうか。 *4: 『踊るジョーカー』など音野順シリーズや『猫柳十一弦の後悔』になると、違和感なくとぼけた味が発揮されているのですが。 なお、本書はMAQさんよりお譲りいただきました。あらためて感謝いたします。 2012.02.08読了 [北山猛邦] |
氷菓 米澤穂信 | |
2001年発表 (角川文庫 よ23-1) | ネタバレ感想 |
[紹介] [感想]
*1: 現在放映中ですが、私はそちらは観ていません。
*2: フクさん(「UNCHARTED SPACE」)がこちらで指摘していらっしゃるように、 “ちょっと斜に構えた主人公の性格は(中略)感情移入はし辛い”面もありますが、登場人物に感情移入するよりもむしろ間近で眺めるような、いわば古典部の“座敷わらし”になったような形で身近に感じられる部分もあるように思います。 *3: いうまでもないかもしれませんが、学園ミステリに限らず“日常の謎”風のミステリで長編の作品があまり見当たらないのは、このような事情によるところが大きいでしょう。 *4: このあたりの謎の扱いは、北村薫『冬のオペラ』を思い起こさせるところがあります。 2012.02.17読了 [米澤穂信] | |
【関連】 『愚者のエンドロール』 『クドリャフカの順番』 『遠まわりする雛』 |
死の扉 At Death's Door レオ・ブルース | |
1955年発表 (小林 晋訳 創元推理文庫225-02) | ネタバレ感想 |
[紹介] [感想]
*1: シリーズ途中で退職して私立探偵となってからも、そのまま“巡査部長”と呼ばれています。
*2: 「バイウォーターズとトンプスン夫人事件」(351頁)以降は、本篇読了後にお読みになることをおすすめします。 *3: その意味で、「『死の扉』(レオ・ブルース/創元推理文庫) - 三軒茶屋 別館」で指摘されている、 “探偵役であるキャロラスやワトソン役であるプリグリーにしても、探偵小説のお約束や既存の名探偵たちの言動を意識しながら捜査を行います。”(注:下線は筆者)という点も興味深いところです。 2012.02.27読了 [レオ・ブルース] | |
【関連】 『ミンコット荘に死す』 『ハイキャッスル屋敷の死』 『ジャックは絞首台に!』 『骨と髪』 |
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