Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye




                    
                   
      登樓 
              
                  杜甫 
花近高樓傷客心,
萬方多難此登臨。
錦江春色來天地,
玉壘浮雲變古今。
北極朝廷終不改,
西山寇盜莫相侵。
可憐後主還祠廟,
日暮聊爲梁甫吟。


******

登樓    
花は 高樓に 近くして  客心(かくしん)を 傷(いた)ましむ,
萬方
(ばんぱう) 多難なるとき  此(ここ)に 登臨す。
錦江
(きんかう)の春色  天地に 來(きた)り,
玉壘
(ぎょくるゐ)の浮雲  古今に 變ず。
北極の朝廷  終
(つひ)に 改まらず,
西山の寇盜
(こうたう)  相(あ)ひ 侵(をか)す 莫(なか)れ。
憐む可
(べ)し 後主(こうしゅ)  還(ま)た 廟(べう)に 祠(まつ)らる,
日暮 聊
(いささ)か  梁甫(りゃうほ)の吟(ぎん)を 爲(な)す。

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◎ 私感註釈

※杜甫:盛唐の詩人。712年(先天元年)〜770年(大暦五年)。字は子美。居処によって、少陵と号する。工部員外郎という官職から、工部と呼ぶ。晩唐の杜牧に対して、老杜と呼ぶ。さらに後世、詩聖と称える。鞏県(現・河南省)の人。官に志すが容れられず、安禄山の乱やその後の諸乱に遭って、流浪の一生を送った。そのため、詩風は時期によって複雑な感情を込めた悲痛な社会描写のものになる。

※登楼:たかどのに登る。郷里のことや親族友人に思いを致すために、高殿に登って、遠くを見遣ること。後漢末・王粲は『登樓賦』で、後漢末の戦乱の哀しみを、楼に登って、遠く故郷の中原を見やって、懐かしみながらも荒廃を嘆き、やがて楼を降りて歌いあげたもので、「
登茲樓以四望兮,聊暇日以銷憂。……循階除而下降兮,氣交憤於胸臆。夜參半而不寐兮,悵盤桓以反側。」というもの。初唐・盧の『南樓望』に「去國三巴遠,登樓萬里春。傷心江上客,不是故ク人。」とある。後世、文天祥が『江月』和友驛中言別で「乾坤能大,算蛟龍、元不是池中物。風雨牢愁無著處,那更寒蟲四壁。槊題詩,登樓作賦,萬事空中雪。江流如此,方來還有英傑。   堪笑一葉漂零,重來淮水,正涼風新發。鏡裏朱顏都變盡,只有丹心難滅。去去龍沙,江山回首,一綫青如髮。故人應念,杜鵑枝上殘月。」と使う。 *この詩、「北極朝廷終不改」と「可憐後主還祠廟」をどう解釈するかによって大きく変わる。我が国(日本)では、(我が国日本の)皇室のことを聯想して解釈する向きもあったが、ここでは、廣徳二年(764年)の中国の状況に基づき、語句、語法に正確に従って解していく。

※花近高樓傷客心:(春の)花が間近に咲いているたかどのは、(疎開してきた)旅人の心をいたましめるものがある。 ・花近高樓:李Uは『浣溪沙』で「轉燭飄蓬一夢歸,欲尋陳跡悵人非,天ヘ心願與身違。   
待月池臺空逝水,蔭花樓閣漫斜暉,登臨不惜更沾衣。」とうたう。 ・傷:いたむ。悲しむ。悼み悲しむ。 ・客心:旅中での寂しい思い。旅先での心細い気持。 ・客:旅人。ここでは、杜甫自身を指す。

※萬方多難此登臨:全国各地で、災難が多発している(今)、ここで高い所に登って眺めわたして(感慨に耽る)。 ・萬方:〔ばんぱう;wan4fang1●○〕全ての方面。あらゆる方面。万国。杜甫の『復愁』「
萬國尚戎馬,故園今若何。昔歸相識少,早已戰場多。」。さまざまの物事。 ・多難:〔たなん;duo1nan4○●〕災難や難儀なことが多いこと。 ・此:ここ(に)。 ・登臨:高い所に登って下を眺めわたす。後世、李Uは『浣溪沙』で「轉燭飄蓬一夢歸,欲尋陳跡悵人非,天ヘ心願與身違。   待月池臺空逝水,蔭花樓閣漫斜暉,登臨不惜更沾衣。」と使う。後世、宋・辛棄疾は『水龍吟』登建康賞心亭で「楚天千里C秋,水隨天去秋無際。遙岑遠目,獻愁供恨,玉簪螺髻。落日樓頭,斷鴻聲裏,江南游子。把呉鉤看了,欄干拍遍,無人會,登臨。」 と使う。

※錦江春色來天地:(四川省の成都を流れる)錦江(一帯)に春景色が訪れ。 ・錦江:〔きんかう;Jin3jiang1●○〕四川省の成都を流れる川の名。彝県の西で岷江から分かれ、東流して彝江(いかう)に合流する。蜀の錦をさらすところから名づけられたという。流江。府河。唐・李白は『上皇西巡南京歌』で「誰道君王行路難,六龍西幸萬人歡。地轉
錦江成渭水,天迴玉壘作長安。」と詠う。 ・春色:春景色。春の気配。 ・天地:天と地。世界。

※玉壘浮雲變古今:玉壘山(の上を漂う)浮き雲は、昔から今に至るまで、絶え間なく変化をしている。 ・玉壘:〔ぎょくるゐ;Yu4lei3●●〕山の名。四川理番県の東南の新保關。現在の成都の西北50キロメートルにある都江堰市の北の岷江東岸にある。但し、『中国歴史地図集』第五冊 隋・唐・五代十国時期、第三冊 三國時期(中国地図出版社)及び現代地図では確認できず。前出・李白は『上皇西巡南京歌』で「天迴玉壘作長安と詠う。 ・浮雲:空中に浮かび漂う雲。ことばの雰囲気として、定まらなく不確かな感じを持たせるので使っている。 ・變:変化する。 ・古今:昔から今に至るまでの間。歴史。昔も今も。また、昔と今。ここは、前者の意。

※北極朝廷終不改:(しかし、)至高不動の天子の玉座は、ついに変わることはなかった。 *下記:解@、解A参照。 ・北極朝廷:至高不動の天子の玉座。 ・北極:北極星。北辰。朝廷を謂う。『論語・爲政』「子曰:爲政以コ,譬如北辰居其所,而衆星共之。」。杜甫に『喜聞盜賊蕃寇總退口號』「北極轉愁龍虎氣,西戎休縱犬羊群。」とある。 ・終不改:結局、変わることがなかった。廣徳元年(763年)に吐蕃(現・チベット)が首都・長安を陥(おと)した時、皇帝・代宗は都落ちして難を逃れたが、吐蕃勢を退けた後、代宗は再び都に戻ったことを謂う。安史の乱が終わった後、西方異民族の侵攻が続いた。 解@〔朝廷はその根本的な異民族対策、平定をすることなく、無難で安易な方法を採って、根本的な解決策を採らなかった。〕。 解A〔至高不動の皇統は揺らがなかった。〕。 *杜甫の作詩傾向から見て、どちらかが正しくどちらかが間違いというものではなく、「解A」を表面の意として、暗に「解@」を謂っていよう。 ・終:ついに。けっきょく。副詞。

※西山寇盜莫相侵:西山の外敵よ、侵略してくるな。 ・西山:成都の西北の雪嶺。吐蕃(現・チベット)に通じる路(確認できず)。 ・寇盜:〔こうたう;koudtao4●●〕侵略者。あだ。外敵。吐蕃(現・チベット)の入寇を指す。廣徳元年十二月。 ・莫:…なかれ。禁止、否定の辞。 ・相侵:侵入してくる。 ・相:…てくる。…ていく。動作が対象に及ぶ表現。

※可憐後主還祠廟:なんとまあ、(亡国の凡庸な)後主でも、なおまだ廟(ほこら)に祀(まつ)られているではないか。 ・可憐:心が強く動かされるさまをいう。あわれ。うらやましい。愛らしい。中唐・白居易の『長恨歌』の「金屋妝成嬌侍夜,玉樓宴罷醉如春。姉妹弟兄皆列土,
可憐光彩生門戸。遂令天下父母心,不重生男重生女。驪宮高處入雲,仙樂風飄處處聞。緩歌謾舞凝絲竹,盡日君王看不足。」や、劉希夷『公子行』の「可憐楊柳傷心樹,可憐桃李斷腸花や、唐・王昌齡『梁苑』「梁園秋竹古時煙,城外風悲欲暮天。萬乘旌旗何處在,平臺賓客有誰。」、白居易の『暮江吟』「一道殘陽鋪水中,半江瑟瑟半江紅。可憐九月初三夜,露似眞珠月似弓。」 とあるのに同じ。 ・光彩:美しく輝く光。鮮やかな光。きらびやかで豪華なこと。 ・後主:王朝の終わりの君主。また、あとつぎの君主。ここは、前者の意、亡国之君。(南唐後主・李Uで謂えば、隣国の強国の手前、皇帝にはなれず、国王にもなれず、国主であった。「王朝最後の国主」の意である。)ここでは、蜀の劉備の子の劉禅を指す。父・劉備の死後、諸葛亮に輔佐されて帝位に即(つ)いた凡庸な君主。 *現皇帝の代宗を、蜀の後主・劉禅に擬(なぞら)えて謂う。 ・還:なお。なおまた。なおもまた。…さえ。…すら。ここを「…もまた」と訓むのが通例だが、その場合、詩句の意味が異なってくる。普通「…もまた」の義は、「亦」「也」が主。 ・祠廟:・祠:〔し;ci2○〕まつる。願いが叶えられたお礼としてまつる。動詞。 ・廟:〔べう;miao4●〕御霊屋(みたまや)。先祖の霊を祀ったやしろ。「祠堂」。劉禅の廟は、後出・諸葛亮の廟に向かい合ってある。

※日暮聊爲梁甫吟:(一日の、唐王朝の、杜甫自身の)夕暮れ時に際して、(亡国の後主・劉禅を輔(たす)けた諸葛亮が、好んで歌っていた)『梁甫吟』を(わたし・杜甫もこの詩『登楼』を作って)うたってみよう。 *国内の混乱を収束させられる(諸葛亮のような)指導者の出現を願って歌うということ。 ・日暮:時間的に日暮れになったということであるが、大唐の国力が減衰したのを見せつけられ、老いと病に迫られた作者の心象風景でもある。 ・聊:〔れう;liao2○〕いささか。 ・爲:〔ゐ;wei2○〕なす。動詞。 ・梁甫吟:〔りゃうほ ぎん;Liang2fu3 yin2○●○〕楽府曲名。人が死んで梁甫の山(泰山の近くで、地の神を祀った丘(=梁父))に葬られるのを歌った古歌。諸葛亮(諸葛孔明)が世に出る前、農業をしていたときに愛唱したと謂われる。諸葛亮は(蜀の)国を輔け支えた人物。有能な愛国者である。『三國志・蜀書・諸葛亮傳』に「諸葛亮字孔明,琅邪陽都人也。亮早孤,(從父)玄素與荊州牧劉表有舊,往依之。玄卒,亮躬耕隴畝,好爲梁父吟。」。諸葛亮当時はやった楽府曲のことでもあるが、結局、杜甫自身のこの『登楼』を指すとも謂える。




◎ 構成について

 韻式は「AAAAA」。韻脚は「心臨今侵吟」で、平水韻下平十二侵。平仄はこの作品のもの。

○●○○○●○,(韻)
○○○●●○○。(韻)
●○○●○○●,
●●○○●●○。(韻)
●●○○○●●,
○○●●●○○。(韻)
●○●●○○●,
●●○○○●○。(韻)
2007.2.28
     3. 1
     3. 2
     3. 3
     3. 4
     3. 5完
     3. 6補

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