Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye


      
                            
偶吟
 

副島種臣


戰勝餘威震朔河,
秋高羣雁亂行過。
天兵所向捲枯葉,
韃靼胡王奈汝何。




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      偶吟
戰勝の餘威(よゐ)  朔河(さく か )に震ひ,
秋 高くして 羣雁(ぐんがん)  (ぎゃう)を亂して()ぐ。
天兵(てんぺい)()かふ所  枯葉( こ えふ)を捲き,
韃靼(だったん)胡王( こ わう)  (なんぢ)奈何(いかん)せん。

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◎ 私感註釈

※副島種臣:(そえじま たねおみ)明治の政治家。文政十一年(1828年)〜明治三十八年(1905年)通称は二郎。号して蒼海、一々学人。佐賀(肥前?)藩出身。国学者の父・兄の感化を受けて尊皇攘夷運動に投じ、後、長崎で英語を学んだ。明治維新後参与となり、政体書を起草、次いで参議・外務卿となる。征韓論分裂により、西郷隆盛、板垣退助らと下野、板垣らと民選議院設立建白書に名を連ねたが、自由民権運動には参加せず、侍講・枢密顧問官などを歴任。明治二十五年(1892年)には第一次松方内閣において品川弥二郎のあとを受けて内務大臣となり、選挙干渉後の処理をしようとしたが、事成らずして辞職。再び枢密顧問官となった。(『角川日本史辞典』より)

※偶吟:ふと感興がわいて詠んだ詩歌。 *日清戦争(1894年:明治二十七年〜1895年:明治二十八年)に、朝鮮半島をめぐる日本と清国との戦争)の時に詠ったもの。

※戦勝餘威震朔河:戦闘の勝利の余勢は、北方の川(である鴨緑江)を震駭させて。 ・戦勝:戦争の展開と詩意を併せて見れば、鴨緑江作戦での九連城の無血占領を指そう。 ・餘威:前から残っている威勢。余勢。また、祖先の威光。ここは、前者の意。 ・朔河:北方の川。ここでは、鴨緑江のことになる。

※秋高群雁乱行過:秋空が高く澄んで、カリの群が列を乱して(飛び)過ぎてゆく。 ・秋高:秋に大気が澄んで空が高く感じられるさま。 ・群雁:カリの群。 ・乱行過:列を乱して通り過ぎる。「雁行」〔がん
かう(こう);yan4hang2;●○〕の「行」は〔ぎゃう、かうhang2○〕で、行(ぎょう)や列(れつ)、行列の意。蛇足になるが、「ゆく」意では〔かう;xing2○〕となる。ここは、前者(hang2:列(れつ))の意。

※天兵所向捲枯葉:皇軍が向かうところ、(恰も烈風が)枯葉を巻き上げる(かの如くであり)。 ・天兵:天子の軍隊。天意を受けて賊を討つ正義の兵。 ・所向:向かうところ。漢魏・蔡琰(=蔡文姫)の『悲憤詩』其一に「漢季失權柄,董卓亂天常。志欲圖簒弑,先害ゥ賢良。逼迫遷舊邦,擁主以自彊。海内興義師,欲共討不。卓衆來東下,金甲耀日光。平土人脆弱,來兵皆胡羌。獵野圍城邑,
所向悉破亡。」とある。『人民軍隊所向無敵』と題する論文が文化大革命の時期に発表された。 ・所-:後に附く動詞を名詞化する働きがある。…ところ。…とき。

※韃靼胡王奈汝何:非漢民族(≒韃靼)のえびすの王(清朝の皇帝)よ、おまえをどのようにしようか。 ・韃靼:〔たつたつ(通常は「だったん」);Da2
da2●●〕民族名で、モンゴル系部族の一で、後にモンゴル帝国に併合された部族。タタール。「韃靼」は、「タタール」の音訳。国土は、現・モンゴル国・中華人民共和国内蒙古(モンゴル)自治区にあった。漢民族に対して北方遊牧異民族の国/地域。作者は満洲(=満州)民族(の清王朝)を指して使っているが、満洲民族はツングースの系統で粛慎、靺鞨、女真、後金、清といった民族/国家で、韃靼とは異なる系統。漢民族にとっての北方異民族として、ここでは(満洲の地に興った)満洲民族の清朝を謂う。 ・胡王:異民族の王。ここでは、満洲民族の王朝・清の皇帝を指している。日清戦争(1894年:明治二十七年〜1895年:明治二十八年)の時は光緒帝が帝位に即いており、西太后が垂簾聴政治を行っていた状況なので、彼等が指されよう。 ・奈汝何:おまえをどのようにしようか。なんぢをいかんせん。『史記・項羽本紀』の四面に楚歌を聞いた後(敵・劉邦の漢軍の中から、項羽の郷国である楚の兵士の歌声を聞き、郷国は敵の手に落ちたと思い)「項王則夜起,飮帳中有美人名,常幸從;駿馬名騅,常騎之。於是項王乃悲歌慨,自爲詩曰:「力拔山兮氣蓋世,時不利兮騅不逝。騅不逝兮可奈何虞兮虞兮奈若何!」歌數美人和之,項王泣數行下,左右皆泣,莫能仰視。」(詳しくは『史記(中華書局版・金陵局本)・項羽本紀』に「項王(項羽)軍壁垓下,兵少食盡,漢(劉邦)軍及諸侯兵圍之數重。夜聞漢軍四面皆楚※1歌,項王乃大驚曰:「漢皆已得楚乎?是何楚人之多也!」項王則夜起,飮帳中。有美人名虞,常幸從;駿馬名騅,常騎之。於是項王乃悲歌忼慨,自爲詩曰:「力拔山兮氣蓋世,時不利兮騅不逝。騅不逝兮可何,虞兮虞兮奈若何!」歌數美人和之,。項王泣數行下,左右皆泣,莫能仰視。」とある。(※1:蛇足:楚は、項籍(字は羽)の本国。ここから「四面楚歌」の言葉が生まれた。)なお、虞美人がこの詩に答えた「漢兵已略地,四方楚歌聲。大王意氣盡,賤妾何聊生。」がある。))。北宋・曾鞏の『虞美人草』では「鴻門玉斗紛如雪,十萬降兵夜流血。咸陽宮殿三月紅,覇業已隨煙燼滅。剛強必死仁義王,陰陵失道非天亡。英雄本學萬人敵,何用屑屑悲紅粧。三軍散盡旌旗倒,玉帳佳人坐中老。香魂夜逐劍光飛,血化爲原上草。芳心寂莫寄寒枝,舊曲聞來似斂眉。哀怨徘徊愁不語,恰如初聽楚歌時。滔滔逝水流今古,漢楚興亡兩丘土。當年遺事久成空,慷慨樽前爲誰舞。」と詳しく詠う。 ・奈…何:…をどのようにしようか。…をいかんせん。 ・汝:〔じょ;ru3●〕おまえ。そなた。なんじ。

               ***********





◎ 構成について

韻式は、「AAA」。韻脚は「河過何」で、平水韻下平五歌。この作品の平仄は、次の通り。

●●○○●●○,(韻)
○○○●●○○。(韻)
○○●●●○●,
●●○○●●○。(韻)
平成24.1.18
      1.19




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