即事
	廣�P淡窗
穫稻人歸盡， 空濛暮雨寒。 野煙低不起， 處處白成團。

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　即事　                                                   　　　　　　　

穫稻(くゎくたう) 　　人 歸り盡(つ)くして，
空濛(くうもう)として　　暮雨(ぼう) 寒し。
野煙( や えん)　　低(た)れて　起(お)こらず，
處處(しょしょ)に　　白(はく)　團(だん)を成す。
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◎　私感註釈

※廣�P淡窓：江戸後期の折衷学派の儒者。天明二年（１７８２年）〜安政三年（１８５６年）。名は建。字は子基。号は淡窓、青渓等。豊後国（現・大分県）日田の人。旭荘の兄。父は諸藩の御用商人。徂徠学派の亀井南冥に学び、やがて塾を開き、後に咸宜園へと発展した。

※即事：即席の詩。

※穫稻人帰尽：稲を取り入れて、人はすっかり帰ってしまい。　・穫：〔くゎく；huo4●〕刈る。穀物を刈る。稲を取り入れる。

※空濛暮雨寒：霧雨が降ってぼんやりとした夕ぐれは、寒い。　・空濛：〔くうもう；kong1meng2○○〕霧雨が降ってぼんやりするさま。　・暮雨：〔ぼう；mu4yu3●●〕夕ぐれの雨。

※野煙低不起：野原にたちこめる煙が低く、立ち上がらなくて。　・野煙：野原にたつ煙。野原にたちこめる靄（もや）。

※処処白成団：いたるところで、（いくつもの）白い塊（かたまり）となっている。　・処処：いたるところ。どこにでも。≒到処。　・団：まるい。かたまり。

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◎　構成について

韻式は、「ＡＡ」。韻脚は「寒団」で、平水韻上平十四寒。この作品の平仄は、次の通り。

●●○○●，
○○●●○。（韻）
●○○●●，
●●●○○。（韻）

令和３．８．２６

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