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避寇卽事
                                                  
                        両宋・左緯

寂寞空山裏,
黄昏百怪新。
鬼沿深澗哭,
狐出壞牆嚬。
小雨俄成霰,
孤燈不及晨。
開門謝魑魅,
我是太平人。




               
    **********************


            避寇( ひ こう)卽事

寂寞(せきばく)たり  空山(くうざん)(うち)
黄昏(くゎうこん)  百怪 新たなり。
()は  深澗(しんかん)沿()ひて(こく)し,
(きつね)は  壞牆(くゎいしゃう)()でて(ひん)す。
小雨(せう う )  (には)かに(あられ)と成り,
孤燈( こ とう)  (あした)に及ばず。
門を(ひら)きて  魑魅(ちみ)(しゃ)す:
(われ)()れ  太平の人なりと。






◎ 私感訳註:

※左緯:両宋の詩人。字は経臣。号して委羽居士。黄巌(現・浙江省内)の人。生没年不詳。北宋・哲宗の元祐年間の初め頃(1086年~1088年?)の出生で、南宋・高宗の建炎年間(1127年~1130年)には在世。終身仕えることがなかった。詩は杜甫に学び、「意理趣」を重視した。『委羽居士集』があったが、散佚した。

※避寇即事:金国軍の侵入からの避難のさまの詩。 *『避寇即事』其一に「草暗迷人迹,山空答履聲。夜眠温石去,朝爨束薪行。骨肉長嬉笑,交朋毎送迎。囘思無事日,已恐是前生。」がある。 ・避寇:(外国からの)侵略者を避けるために他の場所に移る。ここでは、金軍の侵入から避難したことを謂う。 ・寇:〔こう;kou4●〕(外国からの)侵略者。あだ。外敵。また、外敵が侵略する。ここでは、金軍の侵入を謂う。 ・金:(1115年~1234年)女真族の完顔という部族によって建てられた王朝。松花江(=スンガリー)、牡丹江、黒龍江(=アムール川)下流域、沿海州に分布していたツングース系の民族の建てた国。 ・即事:その場の事柄や様子、風景をよんだ詩歌。

※寂寞空山裏:ひっそりとしてもの寂しく人気のない山で。 ・寂寞:〔せきばく、じゃくまく;ji4mo4●●〕ひっそりとしてものさびしいさま。盛唐・高適の『宋中』に「梁王昔全盛,賓客復多才。悠悠一千年,陳迹惟高臺。
寂寞向秋草,悲風千里來。」とあり、 盛唐・劉方平の『春怨』に「紗窗日落漸黄昏,金屋無人見涙痕。寂寞空庭春欲晩,梨花滿地不開門。」とあり、南宋・陸游の『書事』に「關中父老望王師,想見壺漿滿路時。寂寞西溪衰草裏,斷碑猶有少陵詩。」とある。 ・空山:人気のない寂しい山。秋、冬季の落葉後の寂しげな山。盛唐・王維の『鹿柴』では「空山不見人,但聞人語響。返景入深林,復照青苔上。」とあり、盛唐・王維の『鳥鳴澗』に「人閒桂花落,夜靜春山空。月出驚山鳥,時鳴春澗中。」とあり、盛唐・李白の『友人會宿』に「滌蕩千古愁,留連百壺飲。良宵宜清談,皓月未能寢。醉來臥空山,天地即衾枕。」とあり、盛唐・皇甫冉の『山中五詠 山館』に「山館長寂寂,閒雲朝夕來。空庭復何有,落日照靑苔。」とある。 ・裏:…で。…に。…の内。…の中。

※黄昏百怪新:たそがれ時に、もろもろの妖怪変化が新たに生まれる。 ・百怪:もろもろの妖怪変化。

※鬼沿深澗哭:亡霊は、深い谷川に沿(そ)って声をあげて泣き。 ・鬼:亡霊。幽霊。き。(「幽鬼(いう
)」の意であって、我が国の「おに」の意ではないので、ここでの「鬼」は「き」と読むのが適切。) ・沿:沿(そ)って。 ・澗:〔かん;jian4●〕谷。たにみず。谷川。 ・哭:声をあげて泣く。

※狐出壊牆嚬:キツネは、壊れた壁から出て来て、顔をしかめて眉に皺を寄せる。 ・牆:壁。塀。 ・嚬:〔ひん;pin2○〕顰(ひそ)める。顔をしかめる。眉に皺を寄せる。

※小雨俄成霰:(寒気のため、)小雨は、にわかに霰(あられ)となって。 ・俄:〔が;e2○〕にわか(に)。 ・霰:〔さん;xian4(san3)●〕あられ。空気中の水蒸気が急に凍って降ってくるもの。

※孤灯不及晨:ぽつんとひとつだけのともしびは、朝までは保(も)たない(だろう)。 ・孤灯:ぽつんとひとつだけのともしびの意。 ・不及:…するに至らない。また、…するにおよばない。ここは、前者の意。盛唐・李白の『贈汪倫』に「李白乘舟將欲行,忽聞岸上踏歌聲。桃花潭水深千尺,
不及汪倫送我情。」とあり、明末清初・江陰女子の『題城牆詩』に「雪胔白骨滿疆場,萬死孤忠未肯降。寄語行人休掩鼻,活人不及死人香。」とある。 ・晨:朝。

※開門謝魑魅:妖怪変化に告げて(おく): ・謝:告げる。述べる。また、挨拶する。問う。また、詫びる。あやまる。ことわる。退ける。去る。ここは、前者の意。 ・魑魅:〔ちみ;chi1mei4○●〕山にいるばけもの。人面獣身で、人を迷わせると云う。妖怪変化。魑魅魍魎(ちみまうりゃう;chi1mei4wang3liang3○●●●)。 *蛇足だがここの「魑魅」の部分を「魍魎」に換え、「開門謝魍魎」とした方が、平仄上はよい。ただし、意味が異なり、「魑魅」は怪物であり、「魍魎」は精霊。故に、「開門謝魑魅」としている。

※我是太平人:「わたしは、平和に育った人なのだから」と。 ・是:…は…である。これ。主語と述語の間にあって述語の前に附き、述語を明示する働きがある。〔A是B:AはBである〕。 ・太平:世の中がよく治まって平和なこと。平安。






◎ 構成について

韻式は「AAAA」。韻脚は「新嚬晨人」で、平水韻上平十一真。次の平仄はこの作品のもの。

●●○○●,
○○●●○。(韻)
●○○●●,
○●●○○。(韻)
●●○○●,
○○●●○。(韻)
○○●○●,
●●●○○。(韻)
2016.9.22
     9.23
                               
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