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送陳秀才還沙上省墓
（元末）明初・高啓
| 滿衣血涙與塵埃， 亂後還鄕亦可哀。 風雨梨花寒食過， 幾家墳上子孫來。 |
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| 滿衣血涙與塵埃， 亂後還鄕亦可哀。 風雨梨花寒食過， 幾家墳上子孫來。 |
陳 秀才の沙上 に還 り墓に省 するを送る
衣 に滿 つ血涙 と塵埃 と，
亂後 鄕 に還 るは亦 た哀 しむ可 し。
風雨 梨花 寒食 過 ぎ，
幾家 の墳上 か 子孫來 る。
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◎ 私感訳註：
※高啓：（元末）明初の詩人。１３３６年～１３７４年。明代最高の詩人とされる。字は季迪。江蘇省長州（現・蘇州）の人。元末に呉淞の青丘に隠棲する。詩風は唐宋の格調を保つ。『元史』の編纂に従事する。戸部右侍郎に任ぜられたが、固辞して郷里の青丘に隠棲する。洪武七年(１３７４年)、魏観の謀叛の罪に連座して腰斬の刑に処せられた。時に三十九歳。
※送陳秀才還沙上省墓：陳（ちん）君が沙上（さじょう）に帰って墓参りをするのを見送る。 ・送：見送る。 ・陳秀才：陳という（科挙受験者/）府や州や県の学校に入学した者。 ・還：帰る。 ・沙上：場所を謂うが、具体的なことは不明。郷里を指しているのだろう。 ・省墓：〔せいぼ；xing3mu4●●〕墓参り（をする）。＝展墓。省墓（墓参り）の時期である春先の「清明節」の帰省を謂う。
※満衣血涙与塵埃：衣服いっぱいに（悲惨な）血と涙と塵（ちり）にまみれ。 ・満衣：からだぢゅう。衣服いっぱい。 ・血涙：（甚だしく嘆き悲しんで流す）なみだ。血と涙。悲惨な境遇の喩え。中唐・白居易の『長恨歌』に「九重城闕煙塵生，千乘萬騎西南行。翠華搖搖行復止，西出都門百餘里。六軍不發無奈何，宛轉蛾眉馬前死。花鈿委地無人收，翠翹金雀玉掻頭。君王掩面救不得，回看血涙相和流。……天旋地轉迴龍馭，到此躊躇不能去。馬嵬坡下泥土中，不見玉顏空死處。」とある。 ・与：と。and。…と（…と）。 ・塵埃：ほこり。ちり。俗世の汚れ。
※乱後還郷亦可哀：戦乱の後に、帰郷するのもまた本当に哀れである。 ・乱：戦乱。動乱。紅巾の乱後の明初の動乱の時期を謂うか。 ・還郷：故郷に帰る。＝帰郷。 ・亦：…もまた。…（も）また。 ・可哀：本当に悲しい、意。とても哀れである、意。
※風雨梨花寒食過：風と雨（＝艱難辛苦）（が）梨の花（を襲い）、寒食節（墓参りをする清明節の前日）も終わる（が）。 ・風雨：風と雨。世の中の艱難辛苦を謂う。 ・梨花：ナシの花。春に白い花を著ける。 ・寒食：〔かんしょく；han2shi2○●〕寒食節を謂う。清明節の前日。冬至から百五日目にあたる日の前後三日間（陽暦の四月三、四日頃）は、火をたくことが禁じられ、冷たいものを食べる。春秋時代・介之推が山で焼け死んだのを晋の文公が悲しみ、その日に火をたくことを禁じたことによる。なお、この詩では「寒食節」が過ぎ去って間もなく、省墓（墓参り）の時期である「清明節」が来る。唐・韓翃に『寒食』「春城無處不飛花，寒食東風御柳斜。日暮漢宮傳蝋燭，輕煙散入五侯家。」がある。 ・過：すぎ去る。すぎる。
※幾家墳上子孫来：どれほどの家が、（清明節の）墓参りに子孫のくることだろうか。 ・幾家：どれほど（少数の）の家庭。「幾」は：数が少ない場合の疑問詞。南宋民歌の『月子彎彎照九州』に「月子彎彎照九州，幾家歡樂幾家愁。幾家夫婦同羅帳，幾家飄零在外頭。」
◎ 構成について
| ２０１７．２．２７ ２．２８ ３． １ |
