「SPIRAL」は夜のハイウエイを彷彿とさせる曲。アクセルを踏み、徐々に加速していくような快適な疾走感。幾条にも流れるようなヘッドライト・リバー。窓外の背後に去っていくネオンサインにオーバーラップするような感じで、これまでのクルセイダーズのアルバムジャケットが記憶レイヤーを点滅しながら消えていきます。
そう、今回のレコーディングを最後にあの巨漢のトロンボーン奏者、ウェイン・ヘンダーソンがクルセイダースを去るのです。最強の二管編成を誇った一方の雄がその雄姿を消すのです。「いったい、どうして?]と問いかけるのはよしましょう。野暮な詮索は止めて、ただその寂しい現実を黙って享受するのみ。それがクルセイダーズファンってものでしょう。
いやしかし、それにしても「KEEP THAT SAME OLD FEELING」に込められたヘンダーソンの気持ちはいかなるものだったでありましょうや。「昔のままの気持ちでいようぜ」KEEP THAT SAME OLD FEELINGとリフレインされるこの名曲は、やがて20年後、ウィルトン・フェルダーと共に再びジャズ・クルセイダーズと称してウエイン・ヘンダーソンが復活するその日まで、ついに封印されることになるのです。
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