Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye



                     
                    

        黄河

                     
清・梁啓超

黄河黄河出自崑崙山。
遠從蒙古地, 流入長城關。
古來聖賢, 生此河干。
獨立堤上, 心思曠然。
長城外, 河套邊。
黄沙白草無人煙。
思得十萬兵, 長驅西北邊。
飮酒烏梁海, 策馬烏拉山。
誓不戰勝終不還。
君作鐃吹, 觀我凱旋。






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黄河               
黄河や黄河 崑崙(こんろん)(ざん)より()づ。
遠く蒙古(もう こ )の地より, 流れ()長城(ちゃうじゃう)(くゎん)に。
古來の聖賢, ()河干( か かん)に生まる。
(ひと)堤上(ていじゃう)に立たば, 心思(しん し ) 曠然(くゎうぜん)たり。
長城の(そと), 河套( か たう)の邊。
黄沙(くゎう さ ) 白草(はくさう)  人煙(じんえん) 無し。
思ふ: 十萬の兵を()て, 長驅(ちゃう く )す 西北の邊。
酒を飮む 烏梁海( ウ リャンハイ), 馬を策す 烏拉(ウラド)(さん)
誓って戰ひに勝たずんば  (つひ)(かへ)らざれば。
君 鐃吹(だうすゐ)()して, 我が凱旋(がいせん)()よ。

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◎ 私感註釈

※梁啓超:清末・中華民国初期の政治家・思想家。1873年(同治十二年)~1929年(中華民国十八年)。字は卓如。号は任公、飲冰室主人。広東省新会の人。康有為に師事し、立憲君主制を主張、維新を目指し戊戌変法に参与したが百四日で失敗(戊戌政変)、日本に亡命した。日本語文献を通じて、西洋ブルジョアジーの新しい社会・政治・経済・哲学・歴史などの理論を紹介した。民国時代は、司法総長などを歴任した。

※黄河:華北を流れる大河。漢民族の北方防禦線としての大河で、長城とともに、漢民族の対西北方の異民族侵入を阻止する防波堤・天然の塹壕(天塹)の役を果たしていた。水源は、紫山(悶摩黎山)(現・青海省巴顏喀拉(バヤンカラ)山脈)西北部で、渭水、汾水、洛河などの支流を合わせて渤海湾に注ぐ。盛唐・高適の『九曲詞』に「鐵騎橫行鐵嶺頭,西看邏逤取封侯。靑海只今將飲馬,
黄河不用更防秋。」とある。

※黄河黄河出自崑崙山:(漢民族の防衛線である)黄河よ、黄河よ、崑崙(こんろん)の霊山より生まれ出て。 ・出自-:…より生まれ出る。 ・崑崙山:〔こんろん-ざん;Kun1lun2-shan1○○-○〕中華の根元としての霊山・コンロン山。クンルン山。青海省の西に実在する山脈でもあるが、ここでは、神話に基づく山の名で、西方にある霊山。西方の奥深い山々の彼方にある楽土で、西王母が住み、瑶池がある。周の穆王も、斉天大聖(孫悟空)も来たとされるところ。黄河の発するところともされている。これらから発して、中華の源、根元という意味が生まれた。南宋・張元幹の『賀新郞』送胡邦衡待制赴新州に「夢繞神州路。悵秋風、連營畫角,故宮離黍。底事
崑崙傾砥柱,九地黄流亂注。聚萬落、千村狐兔。天意從來高難問,況人情、老易悲難訴。更南浦,送君去。涼生岸柳催殘暑。   耿斜河、疏星淡月,斷雲微度。萬里江山知何處,囘首對牀夜語。雁不到、書成誰與?目盡靑天懷今古,肯兒曹、恩怨相爾汝。舉大白,聽、金縷。」とある。

※遠従蒙古地:遠従蒙古地:遠くモンゴルの地から。 ・遠従:遠く…より。 ・蒙古:〔もうこ;Meng3gu3○?●〕モンゴル。

※流入長城関:(対異民族への障壁としての)万里の長城の寒門へ流れ込んでいる。 ・長城:万里の長城。西北方の異民族との障壁として築かれた長大な城壁。春秋・戦国時代の諸国が築いた城壁を利用して、秦・始皇帝が修築し、匈奴に対する防禦線としたもの。

※古来聖賢:昔から今に至るまで、聖人と賢者(は)。 ・古来:昔から今に至るまで。杜甫の『兵車行』に「長者雖有問,役夫敢申恨。且如今年冬,未休關西卒。縣官急索租,租税從何出。信知生男惡,反是生女好。生女猶得嫁比鄰,生男埋沒隨百草。君不見青海頭,
古來白骨無人收。新鬼煩冤舊鬼哭,天陰雨濕聲啾啾。」とある。 ・聖賢:聖人と賢人。また、清酒と濁酒。ここは、前者の意。

※生此河干:この川べりで生まれている。 *漢民族の文明は黄河流域で生まれ、発展してきたことを謂う。 ・河干:〔かかん;he2gan1○○〕かわべり。河岸。清・王士禛の『眞州絶句』に「
江干多是釣人居,柳陌菱塘一帶疎。好是日斜風定後,半江紅樹賣鱸魚。」とある。

※独立堤上:独(ひと)りで堤(つつみ)の上に立てば。 ・独立:後世、毛沢東は『沁園春』長沙で「
獨立寒秋,湘江北去,橘子洲頭。看萬山紅遍,層林盡染;漫江碧透,百舸爭流。鷹撃長空,魚翔淺底,萬類霜天競自由。悵寥廓,問蒼茫大地,誰主沈浮?   携來百侶曾游。憶往昔、崢嶸歳月稠。恰同學少年,風華正茂;書生意氣,揮斥方遒。指點江山,激揚文字,糞土當年萬戸侯。曾記否,到中流撃水,浪遏飛舟?」とする。 ・堤:〔てい;di1○〕つつみ。

※心思曠然:思いは、広がっていく。 ・心思:思う。考える。また、思想。考え。 ・曠然:〔くゎうぜん;kuang4ran2●○〕むなしいさま。ひろびろとしたさま。わだかまりのないさま。

※長城外:万里の長城の外側の(異民族との衝突がある地域)。

※河套辺:(古来、漢民族と北方遊牧異民族が奪い合ったオルドス)のあたりでは。 ・河套:〔かたう;he2tao4○●〕黄河が甘粛省から北流して内蒙古に入り、東へ彎曲してから南下しているところ。黄河が門形に彎曲し、三方を黄河から包まれ、囲まれた草原・砂漠からなる高原。古来、漢民族と北方遊牧異民族が奪い合った地域。オルドス。

※黄沙白草無人煙:黄沙や白草(だけ)で、人の住んでいる気配は無い。 ・黄沙:黄色い砂。北西部の乾燥地帯で、強風に舞い上げられて空を覆う砂塵。=黄砂。≒黄塵。唐・王昌齡の『從軍行』に「青海長雲暗雪山,孤城遙望玉門關。黄沙百戰穿金甲,不破樓蘭
終不還。」とある。 ・白草:西北方に生え、牛馬好む飼料となる白い草。西域の善國(樓蘭)の遥か彼方に生えている白い草。唐・王昌齡の『出塞行』に「白草原頭望京師,黄河水流無盡時。秋天野行人絶,馬首東來知是誰。」とあり、岑參の『白雪歌送武判官歸京』「北風捲地白草,胡天八月即飛雪。忽然一夜春風來,千樹萬樹梨花開。散入珠簾濕羅幕,孤裘不煖錦衾薄。將軍角弓不得控,都護鐵衣冷難著。瀚海闌干百丈冰,愁雲慘淡萬里凝。中軍置酒飮歸客,胡琴琵琶與羌笛。紛紛暮雪下轅門,風掣紅旗凍不翻。輪臺東門送君去,去時雪滿天山路。山迴路轉不見君,雪上空留馬行處。」とある。『漢書・西域傳・善國』に「善國,本名樓蘭,…去陽關千六百里,去長安六千一百里……千七百八十五里,至山國千三百六十五里,西北至車師千八百九十里。地沙鹵,少田,寄田仰穀旁國。國出玉,多葭葦、柳、胡桐、白草。」、「孟康曰:『白草,草之白者。』師古曰:『白草似莠而細,無芒,其乾孰時正白色,牛馬所嗜也。』」とある。蛇足になるが、この表現は限りなく『魏志』などの倭人伝に近い。共に列伝で、「東夷傳」か「西域傳」かの項目が違うだけのものとも感じられる。 ・人煙:人家から立ち上る煙。転じて、人の住んでいる気配。岑參の『碩中作』に「走馬西來欲到天,辭家見月兩囘圓。今夜不知何處宿,平沙萬里人烟。」とある。

※思得十万兵:十万の兵士を得たと思えば。 ・思:〔し;xi1○〕ねがう。のぞむ。また、思案する。思う。動詞。

※長駆西北辺:(民族紛争の最前線である)西北方まで敵を追いかけていき。 ・長駆:〔ちゃうく;chang2qu1○○〕遠くまで敵を追いかけていく。馬などを遠く走らせる。ここは、前者の意。南宋・岳飛の『送紫岩張先生北伐』に「號令風霆訊,天聲動北陬。
長驅渡河洛,直搗向燕幽。馬蹀閼氏血,旗梟可汗頭。歸來報明主,恢復舊神州。」とある。作者はこの岳飛の詩と同じことを言いたい。 ・西北辺:中国の西北方は歴史的に見て、民族紛争の多発地帯となっている。匈奴、鮮卑、突厥、ウイグル、契丹、女真、モンゴル、オイラート、タタール、ロシア等…と。

※飲酒烏梁海:(今はロシアの領土となった)ウリャンハイで、(国土奪還の勝利の)酒を飲み。 ・飲酒:目的地を搗いた後に飲む勝利の酒。「幾時痛飲黄龍酒」いつになったら、岳飛に由来する。清末/民國・秋瑾に『秋風曲』「塞外秋高馬正肥,將軍怒索黄金甲。金甲披來戰胡狗,胡奴百萬囘頭走。將軍大笑呼漢兒,痛飮黄龍自由酒があり、清末/民國・孫文の『無題』に「半壁東南三楚雄,劉郞死去霸圖空。尚餘遺孽艱難甚,誰與斯人慷慨同。塞上秋風悲戰馬,神州落日泣哀鴻。幾時
痛飮黄龍酒,橫攬江流一奠公。」がある。 ・烏梁海:〔Wu1liang2hai3○○●〕地名(海の名ではなくて)。ウリャンハイ。清朝版図の中央アジア最北端部の地域名。辛亥革命前後、清朝の版図であった非漢民族の地の中央アジアの十五省は分離独立し、ロシアの保護下に入った。タンヌ・ウリャンハイ(唐努・烏梁海)。曾て、モンゴル民族、満洲民族の清等の支配下にあって、辛亥革命後はトゥバとして、ロシアの保護領となった地域。現・ロシア領の中央部の南端部分で、モンゴル国のすぐ北側の地域。作者の立場で謂えば、「レコンキスタ」(国土回復運動の象徴としての場所)である。

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※策馬烏拉山:馬をむちうって( 軍馬を率いて、モンゴル人の手から)ウラド山(を解放しよう)。 ・策馬:馬をむちうつ。ここでは、 軍馬を率いる意になる。清初・呉偉業の『遇南廂園叟感賦八十韻』「薄暮難再留,暝色猶靑蒼。策馬自此去,悽惻摧中腸。顧羨此老翁,負耒歌滄浪。牢落悲風塵,天地徒茫茫。」とある。 ・烏拉山:ウラド山。現・内蒙古自治区の中西部で、包頭(右の地図では「
包头」と表記)の西50キロメートルのところにある山脈名。陰山山脈の支脈で、現・内蒙古自治区の巴彦淖爾盟の東南部を横貫している東西に90キロメートルに亘る山。烏拉山も前出・「烏梁海」同様に、「レコンキスタ」(国土回復運動の象徴としての場所)である。

※誓不戦勝終不還:絶対に戦いに勝たなければ、ついににもどってはこない(ので)。 ・誓:〔せい;shi4●〕誓って。絶対に。盛唐・岑參の『與高適薛據同登慈恩寺浮圖』に「塔勢如湧出,孤高聳天宮。登臨出世界,磴道盤虚空。突兀壓神州,崢嶸如鬼工。四角礙白日,七層摩蒼穹。下窺指高鳥,俯聽聞驚風。連山若波濤,奔走似朝東。靑松夾馳道,宮觀何玲瓏。秋色從西來,蒼然滿關中。五陵北原上,萬古靑濛濛。淨理了可悟,勝因夙所宗。
將挂冠去,覺道資無窮。」とあり、南宋・岳飛の『題新淦蕭寺壁』(『題青泥市寺壁』)「雄氣堂堂貫斗牛,將直節報君讐。斬除頑惡還車駕,不問登壇萬戸侯。」とある。 ・不戦勝:戦いに勝たない。 ・終:ついには。とうとう。終わりには。 ・終不-:結局…ではあるまい。ついひ…せじ。ここの「不」は打ち消し推量で、「じ」と読む。 ・不還:戻ってくる。(行って)還ってくる。燕・荊軻の『易水歌』に「風蕭蕭兮易水寒,壯士一去兮不復還。」とあり、前出・王昌齡の『從軍行』に「黄沙百戰穿金甲不破樓蘭終不還。」とある。

※君作鐃吹:(わたしが帰って来た時は勝利の時なので、)あなたは、銅鑼(どら)を鳴らし、笛を吹いて。 ・作:なす。 ・鐃吹:〔だうすゐ;nao2chui1○○〕どらを鳴らし、ふえをふく。

※観我凱旋:わたしの凱旋を見物したまえ。 ・観我-:わたしの…を眺め見よ。わたしの…を見物しろ。 ・凱旋:〔がいせん;kai3xuan2●○〕戦勝して勝ち鬨(どき)を上げて帰る。戦いに勝って、勝利を祝う歌をうたって帰ること。凱陣。


               ***********




◎ 構成について

作品全体の韻式は「AA(A’)AAA’A’A’AAAA’」。韻脚は「山關(賢)幹觀然邊煙邊山還旋」で、平水韻でみればやや幅広い通韻。この作品の平仄は次の通り。
   

○○○○●●○○○,(韻)
●○●●●,○●○○○。(韻)
●○●○,(韻)○●○○。(韻)
●●○●,○◎●○。(韻)
○○●,○●○。(韻)
○○●●○○○。(韻)
◎●●●○,○○○●○,(韻)
●●○○●,●●○●○。(韻)
●●●●○●○,(韻)
○●○○,○●●○。(韻)
2011.5.19
     5.20
     5.21
     5.22完
2013.6. 2補
2015.2.11
     5.27
2020.8.27

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