Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye


      

                                 
凍蠅
 

關藤藤陰


                                                         
引類營營猛作雷,
時移跡滅正堪
天恩有此晴窗暖,
猶自終朝曝背來。
          
                            凍蠅  藤陰主人    
(イメージ)
 



                                   

                                              
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凍蠅
        
類を引き 營營(えいえい)として  (もう)たること (いかづち)()し,
(とき) 移り (あと) (めっ)して  (まさ)に (がい)()へん。
天恩 ()く  晴窗の(だん) 有りて,
()ほ 終朝(しゅうてう)より  曝背(ばくはい)(きた)るがごとし。
           凍蠅(とうよう)  藤陰主人(とういんしゅじん)      
(イメージ)




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◎ 私感註釈

※関藤藤陰:〔せきとう とういん〕幕末の儒学者。文化四年(1807年)〜明治九年(1876年)。諱は成章。字は君達。幼名は元五郎。石川和助(和介)とも呼ばれる。現・岡山県笠岡市の人。菅原道真を祭る神社の神主の子として生まれた。幼いころ両親が死亡し、隣町(現・岡山県井原市)の石川家の養子となり、養親が彼の才能を評価し、儒学者・小寺清先(現・岡山県笠岡市在住)の薫陶を受けた。その後二十一歳で頼山陽の弟子となったものの、頼山陽は、彼を弟子として対応せず、同輩として待遇し、頼山陽に『日本政記』の校閲を託された。その後、彼は老中・福山藩主・阿部正弘の懐刀となった。水戸の徳川斉昭の謹慎処分を解くための運動に成功をおさめたりもしたが、頼三樹三郎の助命には成功しなかった。幕末、官軍が福山藩と戦火を交えようとしたおり、戦争を避け福山を戦火から逃れしめたのは、彼の尽力による。

※凍蠅:季節外れのハエ。 (夏が終わって新たな季節の到来に対応できなくて)凍(こご)えている蒼蠅。作者が初冬の窓辺にとまっている季節外れのハエの姿に感じるところがあって 「ハエよ、ハエよ。夏の盛りにはブンブンと飛んでいたが、今はわたしと同じように、季節外れの『蠅』となったのか。思えば、昔はお互いに“燃えて”いたものだなあ」と感慨を詠ったもの。
  作者の経歴で詩を見れば、「夏の盛り」とは幕末の動乱の時代で、「尊王」「攘夷」「開国」「戦争」…と諸人が沸騰していた時代。その時代を今は終え、作者は自分を新たな時代の到来に対応できなくて凍(こご)えている蒼蠅と見立てた。また、ハエを中心に見るとすれば、冬の窓辺の季節外れのハエ。作者は時季に遅れたハエに触発されて、往時を懷憶した。後出・『詩經・小雅・甫田之什』の『青蠅』を暗示して不和・反目を誘う讒言の人の世を諷しているのか。現代・毛沢東の七律『冬雲』に「高天滾滾寒流急,大地微微暖氣吹。獨有英雄驅虎豹,更無豪杰怕熊霸。梅花歡喜漫天雪,凍死蒼蠅未足奇。」とある。

※引類営営猛作雷:(〔ハエの側でいえば:〕ハエが)群をなして、激しく往来し、ブンブンと煩(うるさ)く。/(〔作者の回顧では:〕諸人が青蠅のように「尊王攘夷」だとか「開国・戦争」だとか激しく言いつのって)仲間を引き連れて、激しく往来して、たけだけしくも雷(かみなり)(のよう)になって(いたが)。 ・引類:仲間を引き連れる意。 ・営営:激しく往来するさま。あくせくして利を求めるさま。せっせと休みなく励むさま。「営営青蠅」のことで、青ばえがあくせく飛び回ること。『詩經・小雅・甫田之什』の『青蠅』「
營營青蠅,止于樊。豈弟君子,無信讒言。  營營青蠅,止于棘。讒人罔極,交亂四國。  營營青蠅,止于榛。讒人罔極,構(「構」:事を構えさせる)我二人。」に基づく。作者は、『詩經』の『青蠅』を暗示して、曽ての、「尊王攘夷」運動等をした者達の時代状況を「青蠅」詩中の情況(不和・反目を誘う讒言の人の世)に擬えている。北宋・歐陽脩の『憎蒼蠅賦』に「終日營營とある。 ・猛:たけだけしい。 ・作:…となる。 ・雷:ここでは、雷鳴のことになる。『日本書紀』推古天皇紀三十五年夏五月、聚集。其凝累十丈之。浮虚以越信濃坂。鳴音如。則東至上野國而自散。」とある。

※時移跡滅正堪:(〔ハエの側でいえば:〕ハエは)季節の推移と共に(ハエの)跡を継ぐハエが途絶えて無くなって、ひっそりとなっていた。/(〔作者の経歴からすると:〕雷の如く言いつのっていたいた者たち(=青蠅)の)その後は、跡を継ぐ者が途絶えて、(ひっそりと)咳(せき)も遠慮していた。(或いは)、(雷の如く言いつのっていた者たち(=青蠅)の)跡を継ぐ者が途絶えて無くなり、(作者は)「孩児の笑い」をしたいのを堪(こら)えていた。 ・時移:歳月が移りすぎる。 ・跡滅:跡を継ぐ者が絶える意。名跡が途絶える。中唐・柳宗元の『江雪』に「千山鳥飛絶,萬徑人
。孤舟簑笠翁,獨釣寒江雪。」とある。 ・正:ちょうど。まさに。 ・堪:がまんする。たえる。また、「不堪」のように、たえられようか、がまんできようか、といった意。 ・:〔がい;hai2○〕=「咳」。幼児がニッとわらう。〔がい;ke2(kai4)●〕せき。ここは、両者の意で使われる。表面的には「せき」の意で、其の実、(孩児の)にっこりとした笑い。

※天恩有此晴窓暖:(〔ハエにとって謂えば:〕夏の暑さを切り抜けて、晩秋・初冬の今)天の恵みの深さは、このような晴れた窓辺の暖かさで。/(〔作者にとって謂えば:〕思えば、動乱の世の後、このような平穏な世にあって)天子の恵みの深さは、このような晴れた窓辺の(日光のような)暖かさで。 ・天恩:天の恵み。天子の恵み。君恩。皇恩。聖恩。 ・有此:このような。

※猶自終朝曝背来:(ハエも作者も)ちょうど、朝飯前の早朝から背中をまるめて、ひなたぼっこをしているかのようだ。 *隠棲した作者自身の姿であり、冬の日のハエの姿でもある。 ・猶:〔いう;you2○〕)ちょうど…のようだ。…と同じ。なお…ごとし。 ・自:…より。…から。 ・終朝:夜明けより朝食までの間。あさめしまえ。=崇朝(しゅうてう(しゅうちょう))。前出・歐陽脩の『憎蒼蠅賦』でいえば「終日」(紫字部分)。 ・曝背:〔ばくはい;
pu4bei4●●〕ひなたぼっこをする。背中を日光にさらす。背中の日なたぼっこ。 ・曝:〔ばく;pu4(bao4)●〕さらす。日光にあてる。

※凍蠅 藤陰主人:凍蠅詩 藤陰主人作 落款印(白文印 朱文印) ・凍蠅:詩題。 ・藤陰主人:関藤藤陰(せきとう とういん)。
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◎ 構成について

韻式は、「AAA」。韻脚は「雷咳來」で、平水韻上平十灰。この作品の平仄は、次の通り。

●●○○●●○,(韻)
○○●●●○○。(韻)
○○●●○○●,
○●○○●●○。(韻)
平成24.7.2
      7.3
      7.4




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