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雨過 | |
南宋・陳與義 |
水堂長日淨鷗沙,
便覺京塵隔鬢華。
夢裏不知涼是水,
卷簾微濕在荷花。
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雨過
水堂 の長日 鷗沙 淨 く,
便 ち覺 ゆ京塵 の鬢華 を隔 つるを。
夢裏 知らず涼 は是 れ水なるを,
簾 を卷けば微濕 荷花 に在り。
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◎ 私感註釈
※陳与義:南宋の詩詞人。字は去非。号して簡斎、無住。洛陽の人。また、汝州葉県の人。ともに現・河南省。1090(元祐五年)~1138年?(紹興八年?)。政和三年に進士に及第するが、靖康の変に遭って南遷する。襄漢、湖湘へと移るが、召されて兵部侍郎となり、臨安に到着し、中書舎人に掌内制を兼ねた。
※雨過:雨が通り過ぎた。
※水堂長日浄鴎沙:夏の長い日に水辺の建物(で過ごせば)、カモメのいる砂浜は清らかな感じで。 ・水堂:水辺の建物。唐/蜀・韋莊の『荷葉杯』に「記得那年花下。深夜。初識謝娘時。水堂西面畫簾垂。攜手暗相期。 惆悵曉鶯殘月。相別。從此隔音塵。如今倶是異鄕人。相見更無因。」とある。 ・長日:〔ちゃうじつ;chang2ri4○●〕夏の日。昼の時間の長い日。 ・浄:きよい。 ・鴎:〔おう;ou1○〕カモメ。かもめの総称。水辺に棲む鳥。 ・沙:すな。砂。
※便覚京塵隔鬢華:都の俗塵から、白髪頭(のわたし)が離れているのが感じられる。 ・便:そのたびごとに。すなわち。 ・覚:…と感じる。 ・京塵:みやこでの人間関係。都の俗塵。前出・韋莊『荷葉杯』「從此隔音塵」とあるのに因る。 ・隔:はなれる。とおざける。へだてる。前出・韋莊『荷葉杯』「從此隔音塵」
とあるのに因る。 ・鬢華:白髪(しらが)。びんの毛に白いものがある。作者自身を謂う。
※夢裏不知涼是水:夢の中では、涼しいのは水である、ということがわからなかった(が)。 *李煜の『浪淘沙』に「簾外雨潺潺,春意闌珊。羅衾不耐五更寒。夢裏不知身是客,一餉貪歡。 獨自莫憑欄,無限江山。別時容易見時難。流水落花春去也,天上人間。」とある。 ・夢裏:夢の中(で)。南唐・李煜の『子夜歌』に「人生愁恨何能免?銷魂獨我情何限?故國夢重歸,覺來雙涙垂!高樓誰與上? 長記秋晴望。往事已成空,還如一夢中!」
や『紅楼夢』 終章の詩「説到辛酸處,荒唐愈可悲。由來同一夢,休笑世人癡。」
などがある。これも夢で故郷へ帰っている。後世、日本でも、良寛は『半夜』で「回首五十有餘年,人間是非一夢中。山房五月黄梅雨,半夜蕭蕭灑虚窗。」
と使う。 ・不知:わからない。…かどうか(分からない)。知らなかったのか(反問)。 ・涼是水:涼しいのは水である。 ・是:…は…である。これ。主語と述語の間にあって述語の前に附き、述語を明示する働きがある。〔A是B:AはBである〕。
※巻簾微湿在荷花:(窓の)カーテンを開けて(見ると)、かすかな湿(しめ)りがハスの花にある。(雨が降ったんだ)。 ・巻簾:(窓の)カーテンを開ける。カーテンを巻き上げる。両宋・李清照の『如夢令』に「昨夜雨疏風驟,濃睡不消殘酒。試問卷簾人,却道海棠依舊。知否?知否?應是綠肥紅痩。」とある。 ・微湿:〔びしふ(びしつ);wei1shi1○●〕かすかなしめり。かすかなうるおい。 ・在:…にある。 ・荷花:ハスの花。
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◎ 構成について
韻式は、「AAA」。韻脚は「沙華花」で、平水韻下平六麻。この作品の平仄は、次の通り。
●○○●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
●●●○○●●,
●○○●●○○。(韻)
2011.7.2 7.3 7.4 |
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