休息鐘聲響, 我們進食堂。 喫了一口飯, 沙子滿牙床。 品嘗蔬菜味, 靑草菜裡藏。 放下一雙 ![]() 又去春耕忙。 ![]() |
******
公共食堂は 前途無量だ
昼休みの鐘が鳴り渡ったので,
わたしたちは、食堂へ入っていった。
ご飯を一口食べたら,
砂粒が口の中に、いっぱいに広がった。
野菜を味わえば,
草が、おかずの中に隠れていた。
お箸を置いて,
またもや慌ただしく春の農作業に出かけていった。
◎ 私感註釈 *****************
※公共食堂前途無量:人民公社の無料食堂の前途は、無限大である。 *これは凌志軍著の『歴史不再徘徊』の中に出てくる。サブタイトルは「人民公社在中國的興起和失敗」で、嘗ての人民公社化運動の成功と失敗について資料に基づいて、淡々と描写したもの。「公共食堂前途無量」は、駄洒落では「公共食堂前途無糧」のようにされていたようなおぼろげな記憶があるが、確たるものではない。ここで戯れ歌として唄われている「公共食堂」とは、1958年の大躍進運動に因って、全国の農村に普及した農業の集団化組織である人民公社の無料食堂のこと。人民公社とは、毛沢東が農村視察の際、「人民公社好!」との褒め言葉で、政治的な諸条件とも合致した結果、忽ちに全国に広まった経緯がある。農村では「人民公社万歳!」の口号の下、多くの面で「共産化」が推し進められて、財産は公社の所有となり、集団労働とともに食事も共同食堂で摂るようになった。しかしながら、その理念とは異なり、これらのために農民の意慾を削ぎ、結果として、この詩でも見られるような質の低下をもたらした。
※休息鐘聲響:(昼)休みの鐘が鳴り渡った(ので)。 ・休息:休憩の。休息の。 ・鐘聲:鐘の音。(時計の)時報。 ・響:響く。
※我們進食堂:わたしたちは、(人民公社の無料)食堂へ入っていった。 ・我們:わたしたち。 ・們:…たち。人称代詞等に附いて、複数を表す。 ・進:入る。 ・食堂:ここでは、人民公社の無料食堂のことになる。
※喫了一口飯:ご飯を一口食べたら。 ・喫了:食べた。 ・喫:食べる。 ・了:…た(ら)。完了を表す助動詞。 ・一口:ひとくち(の)。 ・飯:ごはん。「飯」(ごはん)⇔「菜」(おかず)。
※沙子滿牙床:砂粒が口の中に、いっぱいに広がった。 ・沙子:すな。細かい砂粒。 ・滿:いっぱいである。 ・牙床:歯茎。
※品嘗蔬菜味:野菜を味わうと。 ・品嘗:味わう。賞味する。 ・蔬菜:(栽培している)野菜。「蔬菜」(栽培している野菜)⇔「青草」(自然に生えている雑草)。
※青草菜裏蔵:草が、おかずの菜(な)の中に隠れていた。 ・青草:草。雑草。 ・菜:野菜。おかず。ここでは、双方の意で使われている。「菜」⇔「飯」。 ・裏:…の中に。 ・蔵:かくれる。隠す。
※放下一雙:(一膳の)お箸を置いて。 *量詞を日本語に訳すと回りくどい表現になるが…。 ・放下:置く。 ・一雙:一対の。一膳(ぜん)の。 ・雙:二個の物が一対になっているものを数える量詞(助数詞)。 ・
:〔くゎい;kuai4●〕箸(はし)。
※又去春耕忙:またも慌ただしく春の農作業に出かけていった。 ・又:またしても。 ・去:行く。 ・春耕:春季の耕作。春季の農作業。「春耕」⇔「秋収」。 ・忙:いそがしい。あわただしい。
◎ 構成について
韻式は「aAAAA」「(響)堂床藏忙」。韻脚は現代語の「-ang」韻で、平水韻では、下平七陽にほぼ同じ。次の平仄はこの作品のもの。
○●○○●,(韻?)
●○●●○。(韻)
●●●●●,
○●●○○。(韻)
●○○●●,
○●●●○。(韻)
●●●○●,
●●○○○。(韻)
2005.3.19完 3.22補 |
![]() メール |
![]() トップ |