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気がつけば Fall in Love

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第18章

 およそ結婚式にはそぐわない格好のまま、ベジータは周りの何も目に入らない様子でまっすぐに祭壇のところまでやってくると、かろうじて胸に貼りついていたプロテクターの残骸を片手で乱暴に肩からむしり取り、ブルマの目の前に突き出しながら怒鳴った。
「この出来そこないは何だ! チャチなもの作りやがって。ヘボ科学者め!」
 見た目ほどには男の傷がひどくないことがわかってホッとしたのも束の間、誇りにしている自分の才能への侮辱に、ブルマは死ぬほど心配していたことも忘れて食ってかかった。
「どっちがヘボなのよ! 力の加減も出来ないんだから! あとで自分が困るってわかってて何度も重力室を吹っ飛ばすなんて、バッカじゃない!?」
「やかましい!! こいつのせいで特訓が中断した。あと少しだ。あと少しで自在に操れるようになるんだ」
 ブルマは目を大きく見開いた。ベジータの顔には生気が戻り、全身に自信がみなぎっている。
「あんた……もしかしてなれたの? 超なんとかってやつに」
「早くしろ!」拳を顔の前で握り締め、ベジータはさらに怒鳴った。「今度は変身したくらいで簡単に壊れないやつを作れ! それから重力室をすぐに直しやがれ!!」
 あっけにとられていたヤムチャが気を取り直してベジータに声をかけた。
「お、おい、オレたちは今……」
「来い! ブルマ!!」
 ブルマは打たれたように顔を上げた。
(ベジータが初めてあたしの名を呼んだ……)
「どうした。これがおまえの限界か。これ以上のものは作れんのか!」
 ポカンと口を開けているヤムチャにブーケを、牧師にヴェールを押し付けながらブルマは憤然と叫び返した。
「言われなくたって行くわよ!」
 一同が呆然と見守る中を、ブルマはベジータと並んで盛大に怒鳴り合いながら、ヴァージンロードを逆に歩いてゆく。
「ほんっとにあんたって失礼なやつね。 それが人に物を頼む態度なわけ!?」
「うるさい! 天才ヅラしやがって。自慢するなら完璧なものを作れ!!」
「作ってやろうじゃない。あんたがびっくりして腰抜かすくらいすごいのを作ってあげるわよ」
「フン、完成してから言うんだな」

 ふたりの姿が外へ消えてしばらくたっても、教会の中は静まり返ったままだった。
 やがて、列席者が口々にざわめき始め、ブリーフ博士が満足そうにうんうんとうなずき、夫人がにこにこしながら「ベジータちゃんのあの格好は何だったのかしら」と不思議そうに首を傾げる中、ようやく自分を取り戻した牧師が入り口に顔を向けたまま、うつろな声で新郎につぶやいた。
「……で、続きはどうします?」

 重力室の爆発は幸いにして見た目よりもはるかに被害の少ないものだった。ブリーフ博士の言葉通り、頑丈なシールドが建物を守ったおかげで居住区に損傷はなく、カプセルコーポの広大な敷地が近隣への被害も防いでくれた。
――――ただし、人騒がせだとして、ブリーフ博士は当局からこっぴどくお灸をすえられたのではあるが。


17章だ! / 次はラストだ!!
(icon作成:みなみさん)

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