Huanying xinshang Ding Fengzhang de zhuye




 
 
              
          無題  
                       友野霞舟
鴛衾暖透更怡融,
墜枕銀釵慢髻鬆。
睡裡依稀傳密語,
歡餘困頓坐春慵。
殘燈影暗宵分帳,
滴漏聲和月午鐘。
堪笑楚襄無福分,
朝雲徒向夢中逢。



******

無題

                       
鴛衾 暖 透りて  更に 怡融し,
枕より墜つる 銀釵に  慢髻 鬆
(ゆる)む。
睡裡 依稀
(いき)として  密語を 傳へ,
歡餘 困頓として  春慵に坐す。
殘燈 影は 暗し  宵分の 帳,
滴漏 聲は 和す  月午の 鐘。
笑ふに堪へん  楚襄の 福分 無く,
朝雲に  徒
(いたづ)らに 夢中に 向(お)いて 逢ふ。


*****************


◎ 私感註釈

※友野霞舟:江戸時代後期の詩人、儒者。寛政三年(1791年)〜嘉永二年(1849年)。名は。字は子玉。通称は雄助。霞舟は号になる。

※無題:香奩体(婉約詩)の詩を指すことが多い。本サイトでは、婉約体の詩詞は晩唐五代の『花間集』、宋の婉約詞集、(漢魏)六朝の艶体詩『玉台新詠』集、個人では南唐の李U集等がある。この友野霞舟の作品の色濃さは和凝「正是破瓜年幾,含情慣得人饒。」に似ている。

※鴛衾暖透更怡融:カワセミの縫い取りのある夜具では、暖かさが行き渡って、一層よろこびやわらいで、とろけそうになる。男女の情交をいう。 ・鴛衾:カワセミの縫い取りのあるふすま(夜具)。男女が結びつく寝屋のふすま(夜具)。布団。 ・鴛:夫婦仲の良い鳥。鴛鴦。 ・暖透:暖かさが行き渡る。 ・更:一層。 ・怡融:〔いゆう;yi2rong2〕よろこびやわらいでとろけそうになる。 ・怡:〔い;yi2〕よろこぶ。やわらぐ。

※墜枕銀釵慢髻鬆:枕から(髪を束ねていた)銀のカンザシが滑り落ちてしまって、簡単に束ねてあるだけの髪がゆるんで、乱れてしまった。 ・墜枕:枕から落ちる。江戸時代の髷を保護するための背の高い箱枕のための現象。 ・銀釵:銀のカンザシ。 ・釵:〔さい;chai1〕二股のカンザシ。 ・慢髻:緩やかなもとどり。湯上がりで、夜のため簡単に束ねてあるだけの髪。 ・鬆:ゆるむ。ゆるい。髪の乱れているさま。

※睡裡依稀傳密語:眠りながらぼんやりと、みそかごとを伝えた。 ・睡裡:眠っている時に。 ・依稀:〔いき;yi1xi1〕ぼんやりと。かすかに。趙『江樓書感』「獨上江樓思渺然,月光如水水連天。同來翫月人何處,風景
依稀似去年。」 ・傳:つたえる。言う。 ・密語:ひそひそ話。内緒話。蛇足になるが、「蜜語」だと、甘い言葉。甘い語らい、になる。

※歡餘困頓坐春慵:愉しみの後のくたびれた感じで、ぐったりとしている。 ・歡餘:愉しみの後。 ・困頓:くたびれる。苦しみ疲れる。 ・坐:すわる。 ・春慵:春の情のものうさ。 ・慵:春のものうい。おっくう。

※殘燈影暗宵分帳:消えかかった灯火のために、真夜中のとばりの中は、暗い。 ・殘燈:油が切れてきたり、蝋がなくなって、消えかかっている灯火。火を点けてから、時間が経ったことをいう。時間の経過の表現。 ・影暗:影がより暗くなった。 ・宵分:真夜中。 ・帳:とばり。

※滴漏聲和月午鐘:水時計の音と、寺の鐘の音がいっしょになって。 ・滴漏:水時計の音。漏刻の音。夜も更けたことをいう。 ・聲和:音が一緒になる。 ・月午:夜半。月が南中で南の空高く上がっている時。夜中。 ・鐘:寺の鐘の音。

※堪笑楚襄無福分:楚の襄王のような幸運は無くて、お笑いだが。 ・堪笑:笑うに堪える。 ・楚襄:楚の襄王のこと。宋玉『高唐賦』によると、楚の襄王と宋玉が雲夢の台に遊び、高唐の観を望んだところ、雲気(雲というよりも濃い水蒸気のガスに近いもの(か))があったので、宋玉は「朝雲」と言った。襄王がそのわけを尋ねると、宋玉は「昔者先王嘗游高唐,怠而晝寢,夢見一婦人…去而辭曰:妾在巫山之陽,高丘之阻,旦爲
朝雲,暮爲行雨,朝朝暮暮,陽臺之下。」と答えた。「巫山之夢」のこと。婉約の詩詞によく使われるが、千載不磨の契りといった感じのものではなく、もっと、気楽な契りをいう。晩唐の韋莊の『清平楽』「何處遊女,蜀國多解有情花解語地綉羅金縷。」 にも詠われている。 ・福分:幸運。

※朝雲徒向夢中逢:朝方の雲が出る時間なのに、いたずらに夢の中で逢おうとしている。 ・朝雲:前出宋玉のいう、襄王と関係した神女の一つの姿。白居易に『花非花』「花非花,霧非霧。夜半來,天明去。來如春夢幾多時?去似
朝雲無覓處。」 というのがある。 ・徒:いたづらに。 ・向:…にて。…で。介詞。「於」と似た働きをする。 ・夢中:夢の中で。 ・逢:行きあう。

               ***********





◎ 構成について

韻式は「AAAAA」。韻脚は「融鬆慵鐘逢」で、平水韻上平一東(融)二冬(鐘逢慵鬆)。次の平仄はこの作品のもの。

○○●●●○○,(韻)
●●○○●●○。(韻)
●●○○○●●,
○○●●●○○。(韻)
○○●●○○●,
●●○○●●○。(韻)
○●○○○●●,
○○●●●○○。(韻)


平成16.4.4
      4.5完
平成28.5.4補



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