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中秋夜呉江亭上對月懷前宰張子野及寄君謨蔡大
北宋・蘇舜欽
| 獨坐對月心悠悠， 故人不見使我愁。 古今共傳惜今夕， 況在松江亭上頭。 可憐節物會人意， 十日陰雨此夜收。 不惟人間重此月， 天亦有意於中秋。 長空無瑕露表裏， 拂拂漸上寒光流。 江平萬頃正碧色， 上下淸澈雙璧浮。 自視直欲見筋脈， 無所逃遁魚龍憂。 不疑身世在地上， 祗恐槎去觸斗牛。 景淸境勝返不足， 嘆息此際無交游。 心魂冷烈曉不寢， 勉爲此筆傳中州。 |
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| 獨坐對月心悠悠， 故人不見使我愁。 古今共傳惜今夕， 況在松江亭上頭。 可憐節物會人意， 十日陰雨此夜收。 不惟人間重此月， 天亦有意於中秋。 長空無瑕露表裏， 拂拂漸上寒光流。 江平萬頃正碧色， 上下淸澈雙璧浮。 自視直欲見筋脈， 無所逃遁魚龍憂。 不疑身世在地上， 祗恐槎去觸斗牛。 景淸境勝返不足， 嘆息此際無交游。 心魂冷烈曉不寢， 勉爲此筆傳中州。 |
中秋の夜 呉江亭上にて月に對し 前宰の張子野を懷ひ 及び君謨蔡大に寄す
獨 り坐 し 月に對 せば 心悠悠 ，
故人は 見えず 我をして愁 へ使 む。
古今 共に傳 ふ今夕 を惜 しむを，
況 んや松江 の亭の上頭 に在るをや。
憐 む可 し 節物の 人の意 を會 するを，
十日 の陰雨此 の夜 收 まる。
惟 に人間 の此 の月を重んずるのみならず，
天も亦 た中秋 に意 有るなり。
長空 瑕 無く表裏 を露 はし，
拂拂 として漸 く上 り寒光 流る。
江 は平 かに萬頃 正 に碧色 なり，
上下 淸澈 にして雙璧 浮ぶ。
自 ら視 れば直 ちに筋脈 の見 れんと欲 し，
逃遁 する所 無く魚龍 憂ふ。
身世 の 地上に在るを疑はざるも，
祗 だ恐る槎 して去 かば斗牛 に觸 るるを。
景 は淸く境 は勝 るも返 って足 らずして，
嘆息 す此 の際交游 の無きを。
心魂 は冷烈 曉 に寢 ねられず，
勉 めて爲 し此 を筆 して中州 に傳へん。
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◎ 私感訳註：
※蘇舜欽：北宋の詩人。大中祥符元年（１００８年）～慶暦八年（１０４８年）。字は子美。梓州銅山（現・四川省中江）の人。河北省）。若くして蔭補により、任官。仁宗の景祐元年（１０３４年）の進士。後に、范仲淹に認められたが、反対派により弾劾され、蘇州に移住し、滄浪亭を造り、読書と作詩に没頭した。その詩は、雄志を述べる道をふさがれた感慨を述べ、悲憤慷慨のものとなっている。
※中秋夜呉江亭上対月懐前宰張子野及寄君謨蔡大：中秋の名月（＝陰暦八月十五日の満月）の夜に呉江の（畔の）亭（あずまや）で月に向かい、前の知県（≒知事）である張子野（＝張先）を思い偲び、および、君謨蔡大（＝蔡君謨）に（この詩を）送る。 ・中秋：中秋節のこと。陰暦八月十五日の節句。家族全員が揃って祝う佳節。日本では中秋の名月（明月）のお月見で有名。（蛇足になるが、似て非なる「仲秋」は「秋三ヶ月（陰暦七月、八月、九月）の第二番目の月」である陰暦八月のこと。なお、「仲」とは、「孟」（はじめ（の月））「仲（（まんなか）、なか（の月））」「季（すえ）（の月）」の「仲（なか）（まんなか）」。） ・呉江亭：蘇州を流れる呉江の畔に建つあずまや。呉江とは、蘇州の南２０キロメートルのところにある太湖に近い都市の名。『中国歴史地図集』第六冊 宋・遼・金時期（中国地図出版社）「」（５９－６０ページ）にある。また、昔の松江のことで、現在の呉淞江。『中国歴史地図集』第五冊（隋・唐・五代十国時期）「唐 江南東道」（５５－５６ページ）、第六冊 宋・遼・金時期「北宋 淮南東路 淮南西路」（２２－２３ページ）（中国地図出版社）に拠ると、太湖から呉江、呉県、蘇州を通って現・上海市へ東流する川。現在の呉松江に一致する。 ・対月：月に向きあう。 ・懐：思いしのぶ。懐（なつ）かしむ。 ・宰：つかさ。官吏。地方行政区の長官。張先（＝張子野）は安陸県の知県（≒知事）に任じられていたので、ここでは、知県（≒知事）のことになる。 ・張子野：〔ちゃうしや；Zhang1 Zi3ye3〕張先〔ちゃうせん〕のこと。子野は字。淳化元年（９９０年）～元豊元年（１０７８年）。烏程（現・浙江省湖州呉興）の人。北宋の詞人で、安陸県の知県に任じられたため、「張安陸」と呼ばれた。天聖八年の進士で、尚書都官郎中にまだ至った。慢詞（＝長篇の詞
）に秀でた。 ・及：および（接続詞）。「A及B」と謂う場合は、Aが主要な成分。ここでは、張子野（＝張先）が主要な成分で、君謨蔡大（蔡君謨）が次ぐ成分となる。 ・寄：よせる。（詩歌を）郵送する。 ・君謨蔡大：〔くんぼさいだい；Jun1mo2 Cai4da4〕蔡君謨〔さいくんぼCai4 Jun1mo2〕のこと。「君謨」は字。「蔡大」の「大」は排行で、「蔡大」とは（大家族制の）「蔡家の長男」の意。「君謨蔡大」は「君謨＋蔡＋大」で、「字＋姓＋排行」の順に並ぶ。北宋の政治家、書家。興化軍仙遊(現・福建省)/莆田の人。蔡端明、蔡莆陽などとも呼ばれる。天聖八年の進士で、翰林学士、三司使となったが、英宗に誤解をうけ、知杭州軍事に転出した。
※独坐対月心悠悠：独りだけで（静かに）坐って月に向かいあっていると、心は、遥かに憂え悲しんで。 ・独坐：独りぼっちで坐る。一人だけで（静かに）坐っている。盛唐・王維の『竹里館』「獨坐幽篁裏，彈琴復長嘯。深林人不知，明月來相照。」や、盛唐・李白の『獨坐敬亭山』「衆鳥高飛盡，孤雲獨去閒。相看兩不厭，只有敬亭山。」
とあり、『詩經』・周南』の『關雎』に「關關雎鳩，在河之洲。窈窕淑女，君子好逑。 參差荇菜，左右流之。窈窕淑女，寤寐求之。求之不得，寤寐思服。悠哉悠哉，輾轉反側。 參差荇菜，左右采之。窈窕淑女，琴瑟友之。參差荇菜，左右芼之。窈窕淑女，鐘鼓樂之。」
とあり、盛唐・高適の『宋中』に「梁王昔全盛，賓客復多才。悠悠一千年，陳迹惟高臺。寂寞向秋草，悲風千里來。」
※故人不見使我愁：古くからの友人の見えないのが、わたしを悲しくさせる。 ・故人：昔の友人。古くからの友だち。古いなじみ。旧知。旧友。また、亡くなった人。ここでは、当時、開封にいた張先を指す。中唐・張謂の『同王徴君湘中有懷』に「八月洞庭秋，瀟湘水北流。還家萬里夢，爲客五更愁。不用開書帙，偏宜上酒樓。故人京洛滿，何日復同遊。」
※古今共伝惜今夕：昔も今もどちらもが、今宵（こよい）（＝中秋節）を愛惜するということを伝えている（が）。 ・惜：おしむ。また、いたむ。かなしむ。あわれむ。残念がる。 ・今夕：今宵（こよい）。北宋・蘇軾の『水調歌頭』丙辰中秋，歡飮達旦，大醉，作此篇，兼懷子由に「明月幾時有？把酒問靑天。不知天上宮闕，今夕是何年。我欲乘風歸去，又恐瓊樓玉宇，高處不勝寒。起舞弄淸影，何似在人間！ 轉朱閣，低綺戸，照無眠。不應有恨，何事長向別時圓？人有悲歡離合，月有陰晴圓缺，此事古難全。但願人長久，千里共嬋娟。」
※況在松江亭上頭：ましてや呉江（＝松江）の畔にあるあずまやの上では、なおさらである。 ・況：まして。いわんや。 ・在…上頭：…の上に。…で。 ・松江亭：呉江（＝松江）の畔にあるあずまや。詩題にある「呉江亭」のこと。 ・上頭：〔shang4tou0〕うえ。
※可憐節物会人意：心が強く揺すぶられるのは、季節の物は、人の心を理解して。 ・可憐：心が強く揺すぶられるさま。愛らしい。かわいそうな。憐れむべき。梁・無名氏の『企喩歌』「男兒可憐蟲，出門懷死憂。尸喪狹谷中，白骨無人收。」
※十日陰雨此夜収：十日もの長雨を、今夜（＝中秋節）には、ひっこめてしまった。 ・陰雨：空がくもって雨が降る。長雨。 ・収：おさまる。ひっこめる。
※不惟人間重此月：ただ人の世だけがこの（中秋の）月を重んずるのではなくて。 ・不惟（…亦）：…ばかりでなく（…もまた）。ただそれだけでなく（…もまた）。ただに…のみならず。 ・人間：〔じんかん；ren2jian1○○〕人の世。世の中。人生。盛唐・李白の『山中問答』に「問余何意棲碧山，笑而不答心自閑。桃花流水杳然去，別有天地非人間。」
※天亦有意於中秋：天もまた、中秋節に（対して）関心ががある。 *中唐・李賀に「天若有情」（『金銅仙人辭漢歌』「茂陵劉郞秋風客，夜聞馬嘶曉無跡。畫欄桂樹懸秋香，三十六宮土花碧。魏官牽車指千里，東關酸風射眸子。空將漢月出宮門，憶君清涙如鉛水。衰蘭送客咸陽道，天若有情天亦老。攜盤獨出月荒涼，渭城已遠波聲小。」）がある。蛇足になるが、後世、毛沢東もこの句を使って『人民解放軍領南京』「鍾山風雨起蒼黄，百萬雄師過大江。虎踞龍盤今勝昔，天翻地覆慨而慷。宜將剩勇追窮寇，不可沽名學覇王。天若有情天亦老，人間正道是滄桑。」
※長空無瑕露表裏：大空を完全無缺（の満月）が全てをあらわして。 ・長空：大空。清・顧炎武の『海上』に「海上雪深時，長空無一雁。平生李少卿，持酒來相勸。」
※払払漸上寒光流：風がそよそよと上がってきて、冴え冴えとした月光が流れる。 ・払払：〔ふつふつ；fu2fu2●●〕風がそよそよと吹くさま。また、ほこりの舞い上がるさま。ここは、前者の意。 ・寒光：月光。寒々とした光。また、寒々としたけしき。冬の景色。冬の太陽の光。（刀剣などの）冷たさや恐ろしさを感じさせる光。ここは、前者の意。
※江平万頃正碧色：川の水は（波が無くて）平（たいら）で、広い水面は、ちょうど青緑色であり。 ・江平：川の水が（波が無くて）平（たいら）である意。 ・万頃：水または地面が広いこと。 ・正：ちょうど。まさに。 ・碧色：青緑色。わずかに緑がかった青色。花浅葱(あさぎ)色。また、青色。緑色。
※上下清澈双璧浮：上の方（の大空）と下の方（の水面）は清く透き通って、二つの玉（＝大空の月影と水面の月影or二つの瞳）が浮かんでいる。 ・上下：ここでは、大空と水面を謂う。 ・清澈：〔せいてつ；qing1che4○●〕水が清く透き通っている。澄みきっている。 ・双璧：一対の玉。二つの玉。両方並んで立派なものの喩え。天上の月影と水面の月影のことか。ここでの「双」の意が分かりづらい。前出・「表裏」（漢方の皮膚・皮下組織（表）と内臓（裏））や後出・「筋脈」（漢方での五体の中の人体のすじや血管）と同様に考えれば、「双璧」は「左右の瞳」の意ではなかろうか…？？ ・璧：〔へき；bi4●〕たま。環状の平たい大玉。我が国の硬貨の五円玉のような感じになろうか。
※自視直欲見筋脈：じっと見つめていると、（透き通って見えて）（人体の）すじや血管が見えてくるようであり。 ・見：みる/みえる。また、あらわれる/あらわす。 *この語、「みる/みえる」の意で中国語で読む場合は〔jian4〕で、「あらわれる/あらわす」意で読む場合は〔xian4〕と、使い分ける。 ・筋脈：（人体の）すじや血管。漢方での五体の中の二で、五体とは：筋・（血）脈・（肌）肉・骨・（毛）皮。
※無所逃遁魚龍憂：魚や龍などのうろこのある動物は、身を隠す所がないのを憂えている（ことだろう）。＝「魚龍憂無所逃避」。 ・無所-：何でも…。やらないことはない。…ところなし。 ・逃遁：逃げる。逃げ隠れる。逃亡する。 ・魚龍：魚や龍。うろこのある動物。漢代、西域の魔術の一種。前出・張若虚の『春江花月夜』に「雁長飛光不度，魚龍潛躍水成文。昨夜閒潭夢落花，可憐春半不還家。江水流春去欲盡，江潭落月復西斜。斜月沈沈藏海霧，碣石瀟湘無限路。不知乘月幾人歸，落月搖情滿江樹。」
※不疑身世在地上：肉体は、地上（の人の世）にあることに疑問はないが。 ・身世：〔しんせい；shen1shi4○●〕身の上。自分の一生。人生で経てきたことを総（すべ）て含めて謂う。わが身の境遇。 ・地上：人の世。この世。現世。『墨子・兼愛下』に「人之生乎地上之無幾何也，譬之猶駟馳而過隙也。」とある。
※祗恐槎去触斗牛：ただ、いかだに乗っていけば（天上の）、斗宿と牛宿（といった星宿）に触れてしまわないかと気にかかる。六朝・張華の『博物誌』（卷之十・雜説下）に「舊説云天河與海通。近世有人居海渚者，年年八月有浮槎去來，不失期，人有奇志，立飛閣於查上，多賫糧，乘槎而去。十餘日中，猶觀星月日辰，自後茫茫忽忽，亦不覺晝夜。去十餘日，奄至一處，有城郭状，屋舍甚嚴。遙望宮中多織婦，見天丈夫牽牛渚次飲之。牽牛人乃驚問曰：『何由至此？』此人具説來意，並問此是何處，答曰：『君還至蜀郡訪嚴君平則知之。』竟不上岸，因還如期。後至蜀，問君平，曰：『某年月日有客星犯牽牛宿。』計年月，正是此人到天河時也。」とあるのに因る。（七夕の祖型か。） ・祗：ただ。まさに。＝只。 ・祗恐：ただおそらく。ただ…だけが気がかりだ。 ・槎：〔さ；cha2○〕いかだ。樹木を組んで水に浮かべるもの。ここは名詞か動詞か。 ・去：さる。行く。 ・触：さわる。ふれる。 ・斗牛：斗宿と牛宿の間で、東北。また、斗宿と牛宿。また、北斗と牽牛星との間。北宋・蘇軾の『前赤壁賦』に「壬戌之秋，七月既望，蘇子與客泛舟遊於赤壁之下。清風徐來，水波不興。擧酒屬客，誦『明月』之詩，歌『窈窕』之章。少焉，月出於東山之上，徘徊於斗牛之間。白露橫江，水光接天。縱一葦之所如，凌萬頃之茫然。浩浩乎如馮虚御風，而不知其所止；飄飄乎如遺世獨立，羽化而登仙。於是飮酒樂甚，扣舷而歌之。歌曰：「桂櫂兮蘭槳，撃空明兮泝流光。渺渺兮予懷，望美人兮天一方。」客有吹洞簫者，倚歌而和之。其聲鳴鳴然，如怨如慕，如泣如訴；餘音嫋嫋，不絶如縷，舞幽壑之潛蛟，泣孤舟之嫠婦。蘇子愀然，正襟危坐而問客曰：「何爲其然也？」客曰：「『月明星稀，烏鵲南飛，』此非曹孟德之詩乎？西望夏口，東望武昌，山川相繆，鬱乎蒼蒼，此非孟德之困於周郞者乎？方其破荊州，下江陵，順流而東也，舳艫千里，旌旗蔽空，釃酒臨江，橫槊賦詩，固一世之雄也，而今安在哉？況吾與子漁樵於江渚之上，侶魚蝦而友麋鹿，駕一葉之輕舟，擧匏樽以相属；寄蜉蝣於天地，渺滄海之一粟。哀吾生之須臾，羨長江之無窮。挾飛仙以遨遊，抱明月而長終。知不可乎驟得，託遺響於悲風。」蘇子曰：「客亦知夫水與月乎？逝者如斯，而未嘗往也；盈虚者如彼，而卒莫消長也。蓋將自其變者而觀之，則天地曾不能以一瞬；自其不變者而觀之，則物與我皆無盡也。而又何羨乎！且夫天地之間，物各有主，苟非吾之所有，雖一毫而莫取。惟江上之淸風與山間之明月，耳得之而爲聲，目遇之而成色。取之無禁，用之不竭，是造物者之無盡藏也，而吾與子之所共適。」客喜而笑，洗盞更酌。肴核既盡，杯盤狼藉。相與枕藉乎舟中，不知東方之既白。」
※景清境勝反不足：光景は清らかで、場所はすぐれているが、反対に不十分な気持ちで（、ため息をつくのは）。 ・景清：光景は清らかである意。 ・境勝：場所はすぐれている意。 ・返：かえって。反対に。＝反。 ・不足：足らない。不十分である。不足する。
※嘆息此際無交游：ため息をつくのは、この時（ここに）ともだちがいないからだ。 ・此際：この時。 ・交游：ともだち。つきあい。交際。
※心魂冷烈暁不寝：心の働きが（心が）冷静になったり、興奮したりで、明け方になっても寝付けないでいる。 ・心魂：心。魂。心の働き。意識。 ・冷烈：ひややかであるとはげしいと。（心が）冷静であるのと興奮するのと、の意。 ・暁不寝：明け方になっても寝付けないでいる。不可能の表現。≒「不得曉寝」。ここの「曉」は「曉に…する」意の動詞的用法。 *この「…曉不寝」の句は「心魂＋冷・烈 ＋ 曉・（不）寝」ではない。「心・魂＋冷・烈 ＋ 曉不寝」と見て、「曉不寝」を一つの動詞句「明け方になっても眠れない」とするのが妥当。東晉・陶潛の『雜詩十二首』其二に「白日淪西阿，素月出東嶺。遙遙萬里暉，蕩蕩空中景。風來入房戸，夜中枕席冷。氣變悟時易，不眠知夕永。欲言無予和，揮杯勸孤影。日月擲人去，有志不獲騁。念此懷悲悽，終曉不能靜。」
※勉為此筆伝中州：頑張ってこのことを記録して、都に伝えよう。 ・勉為-：…を勉めて（/無理して/がまんして）やる。努力して…に当たる。「為」は〔ゐ；wei2○〕なす、の意。 ・此筆：このことを筆録する。ここに筆す。これを筆す。 ・中州：帝都。中原。漢民族の故地を指す。国内の中心地。内国。中国（なかつくに）。豫州（現・河南省）にあり、豫州は九州（中華）の中央に位置していたので中州ともいう。現代もこのあたりの地名として残る。ここでは、北宋の首都の開封のことになる。前漢・蘇子卿（＝蘇武）詩四首其四「燭燭晨明月，馥馥秋蘭芳。芳馨良夜發，隨風聞我堂。征夫懷遠路，遊子戀故鄕。寒冬十二月，晨起踐嚴霜。俯觀江漢流，仰視浮雲翔。良友遠別離，各在天一方。山海隔中州，相去悠且長。嘉會難再遇，歡樂殊未央。願君崇令德，隨時愛景光。」
◎ 構成について
| ２０１４．７．２６ ７．２７ ７．２８ ７．２９ ７．３０ ７．３１ ８． １ ８． ２ ８． ３ ８． ４ ８． ５完 ２０１７．８． ３補 |
