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  重苦しい沈黙、しばし。と、突然狂ったようにシルフィードが笑い出した。

「あ、あは、あははは!!まあ、誰にだって間違いはあるわよね。」

「間違い過ぎなんじゃあ!!とにかく、さっさと火を消さんか!」

  既に派手に破壊された寺の境内のあちこちから火の手があがり始めている。

「ははっ。」

  サラマンダーが重樹(しげき)の命令に短く答え、腕を一振りすると、

あちらこちらからあがり始めていた火の手がまるで嘘の様に一瞬で消え失せた。

  火の力の監視者である彼女にかかれば、火を一瞬で消しとめることなどなんでもない。

火の勢いを強めることも弱めることも自由自在なのだ。

「見る度に思うんだが、本当に便利なものだな。サラマンダー。」

「お褒めに預かり光栄です。マスター。」

  重樹(しげき)とサラマンダーがのんびりと話をしているのをノームは少し複雑な気持ちで見つめていた。

  と、ノームは自分の首筋に冷たい物が押し付けられるのを感じた。

「ひっ!?」

「何者!?」

「だ、誰っ!?」

  ノームの悲鳴に即座に反応したシルフィードとサラマンダーが背後を振り返ると、

そこには颯樹(さき)の姿があった。

  重樹(しげき)は一呼吸遅れて振り返ると、その顔に驚きの表情を浮かべた。

「さ、颯樹(さき)!?こんな所で何をしている!?」

  颯樹(さき)はその構えた剣をおろす事もなく、

「パパっ!?私が知らない間に、こんないっぱいの女の人と付き合うだなんて、そんな……。」

  颯樹の目は怒りの業火で熱く熱く燃えている。

その炎は、ちょっとやそっとの事では鎮火しそうになかった。

「はっ!?い、いや、これは、違うんだ、颯樹(さき)!!頼むからその剣を引いてくれっ!!」

「この変態ハゲがああっ!!」

  颯樹(さき)の剣は重樹(しげき)の頭の上に振り下ろされる事になった。

「のおおおおっ!?危ないだろ!!」

「ママが死んだ後なかなか再婚しないと思ってたら、こんなにいっぱい女の人を作って、

女遊びをしてただなんてっ!!許せん!!」

  颯樹(さき)は猛然と重樹(しげき)に向かって剣を振るい続ける。

「重樹(しげき)様!!」

  サラマンダーが重樹(しげき)より一瞬遅く反応した。

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