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 当然、人間とは根本的に違う存在である。

「で、一体我らに何のようだ??」

「もちろんこんな話をするためにお前達を呼んだわけではない。お前達に頼みがあるのだ。」

「我らに頼み事か??野暮な用事ならば遠慮願いたいが?」

「だから、何でそういう風に私を勘違いする!?頼みごとというのは、私の娘の……。」

「重樹(しげき)、あたしに内緒で結婚してたの!?あたしとの事は遊びだったのね!?」

 緑が基調の服を身にまとう長髪の女……「風」のシルフィード……が叫んだ。

重樹(しげき)は、困ったように眉をひそめる。

「シルフィード……重樹(しげき)様が困っていますよ……。」

「ああ、思いっきり困ってるぞ………。」

「そんな!!あたしの愛を無視するっていうの!?」

 重樹(しげき)は一言も言わずにかぶりを振った。

「だいたい、あなたと私のどこに愛があったっていうんですか!?全く、誤解を招くようなことは

言わないでください。」

「誤解……なんですか……?」

「ノーム!あなたはどっちの味方なんですか!?」

 ここで、まさに燃えるようなという表現がぴったりくる見事な赤髪を持った女

……「火」のサラマンダー……が会話を遮った。

「そんなことはどうでもいいだろう。我らは、そなたの漫才につきあうために

召喚されたのではあるまい??早く用件を30字以上50時未満で簡潔に述べよ。」

「やけに条件が細かいな。」

「もっと細かくしてやろうか??」

「いや、全力で遠慮しておく。で、頼みというのは、私の娘のことだ。あのおてんば娘が、

何を思ったのか、旅に出るなどと言い出しおってな。あいつ1人で行かせるのも

正直言って不安なので、おまえたちに一緒に行ってもらいたいのだ。」

「字数オーバーだな。」

「だから、そんなことはどうでもいいと言っているだろうが!」

「うーん、重樹(しげき)のお願いだから、聞かないわけにはいかないけど、

その娘が、あたしたちを従えるに相応しい力を持っていなくちゃ、駄目よね。」

 精霊達は、確かに性格もあり、人の好き嫌いもあるのだが、そういった好みをとは

無関係に「力」を持つ者には従わねばならない、という制約を持っている。

 逆に言えば、いくら精霊達が気に入った人間でも、「力」を持たない人間の言うことには

従わなくてもよい……いや、この場合は「従えない」と言ったほうがいいか……のだ。

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