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「可愛かったわよ?。颯樹(さき)ちゃんの小さかった時って。

 重樹(しげき)に似なくてよかったわねー。」

「あえて反論はしないが、何か嫌だぞ、その言い方……。」

「そんな風にすぐに怒らないの。そんなんだから女の子にもてないのよ?」

「知るか!!」

  一見すると重樹(しげき)は頭から湯気を立てて怒っているように見えるが、

颯樹(さき)には重樹(しげき)がそんなに怒り狂っているとは思えなかった。

むしろ、冗談を言い合う友達同士……あるいは恋人同士……のように見えた。

「ねえ、パパ、本当にその人『風』の精霊『シルフィード』なの?

  なんか、私のイメージと全然違うんだけど……。」

  サラマンダーが本物の精霊である事は恐らく疑いようがない、

という事は颯樹(さき)にも分かる。だが、颯樹(さき)には、目の前にいる

どこにでもいそうな女性が本物の精霊だとはにわかには信じられなかった。

「えー?まだ疑ってるのぉ?」

「だって、あの風の精霊『シルフィード』がなんでこんなに頭悪そうなの?」

  シルフィードは、自分が、人間達の崇拝する「風の精霊シルフィード様」の

イメージとは全然違う性格だ、とは自覚していた。だが、さすがに正面きって自分の事を

「頭悪そう」などと評してきた人間は颯樹(さき)が初めてだった。

「えー??人の事そういうふうに言っちゃいけないって教わんなかったの??」

「だって……ねえ??」

「あの……颯樹様……私に同意を求められても……。」

  颯樹に同意を求められ困った顔をしているノームの隣で激しく同意しているのか、

全身全霊の力を込めて首を縦に振っている重樹(しげき)とサラマンダーがいたりする。

「もう、しょうがないわね。じゃあ、あたしが本物の精霊だって

 ところを颯樹(さき)ちゃんに見せてあ・げ・る♪」

  シルフィードの無駄に色っぽいしぐさに女の颯樹(さき)すらも少し目眩がした。

「颯樹(さき)様……気をつけてください……シルフィードは女の人も大好きです……。」

  颯樹(さき)の耳元でノームがこっそり呟く。

「女性も大好きって……!?」

「はい……。」

  颯樹(さき)は何となく嫌な予感を感じつつシルフィードの前で再び剣を構えた。

「じゃあ、あなたが本物の精霊だってところを見せてもらおうかしら!?」

「いつでもいいわよ♪早く来て♪」

  颯樹(さき)は何だか脱力しそうになる自分を奮い立たせ、剣を手にシルフィードに突っ込む!!

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