第三十番　厳金山　宝厳寺

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月も日も波間に浮かぶ竹生島
船に宝を積むここちして

船から見た宝厳寺
「Rio Grande」号 今回乗船した高速艇
	長浜港・出港 船会社の職員の人たちに見送られながらの
竹生島の船付き場
	船から下りると売店の中を通って境内へ
石段を登って本堂へ
	本堂・弁財天
三重の塔
	西国札所の観音堂（唐門）
重文「船廊下」
	都久夫須麻（つくふすま）神社

　朝起きると、私の住む播磨あたりはそこそこの天気。予報では北部へ行くほど天候は悪くなっていたが、まぁパラパラと降る程度だろうと希望的観測の元予定通り出発。第２神明、阪神高速神戸線、名神高速を走り継ぎ京都に入ったあたりでパラパラと雨が降り出し大津SAに入る頃にはしっかりと雨となってしまった。次のインターチェンジでおりて石山寺、三井寺に予定を変更しようかとも考えたが、今のところまだ、降ったり止んだりというという感じなので予定通り竹生島を目指すことにする。竹生島に渡るには今津、長浜、彦根の３カ所から船が出ていて、今回は帰りに長命寺と観音正寺を廻りたかったので湖西の今津はパス。残り２カ所の内、料金の安く便数の多い長浜港から船に乗ることとした。北陸道長浜インターチェンジで高速をおり、長浜港へ。長浜港に着いたのは１１時頃。10:45発の第３便に乗るつもりだったがタッチの差で間に合わず、12:20発の第４便に乗ろうと思ったら、今日は悪天候のため２，４，６便は欠航とのこと。１１月中は全６便が就航しているはずだったので、あまり船の時間のことを気にしていなかったので予定が大幅に狂うこととなる。結局、船に乗れたのは最終便となる13:15発。竹生島には船内放送で周辺の観光ガイドを聞きながら約25分で到着。
竹生島に到着すると数人が急いで石段を登り本堂を目指す。何となくそれにつられて石段を登りきるとその人たちは大量の納経帳を出していた。団体ツアーの添乗員だったらしい。帰りの船は１時間半後の15:15発。ゆっくりとお寺を廻っても時間が余ってしまう。桟橋に帰りの船は係留されているが時間が来るまで乗ることは出来ないので、船着き場の土産物店を冷やかして時間をつぶすが、それでもなお、時間を持て余していると雨が降っていることもあってか、早めに船に乗せて貰うことができ、また、全員が早く船にそろったので出港も５分ほど早かった。３時半過ぎに長浜港に戻ってきたが、その時間からだと長命寺と観音正寺に行くには遅すぎるのと、雨で体が冷えていたので彦根まで下道で走り、そこから名神で一気に帰ることとした。

　さて、この竹生島宝厳寺は聖武天皇の勅願により開かれたお寺で、1300年近い歴史がある。また、豊臣秀吉との繋がりも強い寺である。このように由緒ある寺ではあるが、廃寺となる危機もあった。というのも、明治の「神仏分離令」が出されたときに県より宝厳寺を廃寺として神社に改めよとの命令が下ったためです。しかし、信者の強い要望によって本堂を神社に明け渡すことで廃寺は免れることが出来ました。ただ、本堂を明け渡したために本尊である大弁財天は昭和１７年に現在の本堂が完成するまでの約７０年間、仮安置の状態が続きました。完成した本堂は、平安時代後期様式の総檜皮葺きとなっています。また、本尊の弁財天は江ノ島、宮島と並んで日本三弁財天に数えられます。
　本堂正面の石段を登ると三重塔があります。本来、この寺にあった三重の塔は江戸時代初期に焼失してしまい約350年間にわたって不在でしたが、平成１２年５月に古来の工法により再建された物です。
　三重の塔より下ると、西国札所の観音堂となります。ここの観音堂は唐門と続けて建てられているという珍しい造りになっています。この観音堂と唐門は豊臣秀吉の遺命により秀頼が京都東山の豊国廟から移築した物で重要文化財に指定されています。観音堂でお参りをすませ、奥に進むと船廊下という廊下に出ます。この廊下は秀吉の朝鮮出兵の際の御座船「日本丸」の廃材を利用して作られたためこのような名前が付いています。
　船廊下を渡りきったところが都久夫須麻神社となります。この社殿は、明治初期の神仏分離令で明け渡すまでは宝厳寺の本堂であった建物です。この建物は伏見城内の「日暮御殿」を移築した物です。もともとは、秀吉が天皇をお迎えするためにその時代の粋を集めて建てた物で、桃山文化の代表的な国宝建築物です。