★　子供の持ち方

このシーズンは女性のテーマ全開。

クロエの望まない妊娠、流産、養子縁組の頓挫と続いていましたが、事件の方でも女性と子供のテーマが何度かありました。

今回はその典型のようで、フランスでは違法となっているのにある女性が別な女性に頼んで子供を作ってもらうことにします。ところがあと少しで出産という時にその女性が襲われ、危篤状態で入院。番組の終わり頃に母子とも何とか助かりますが、事件の動機の方にややこしい問題が絡みます。

違法であることを抜きにすると、この2組の夫婦は卵子・精子提供者と、出産請負ということで丸く収まるはずでした。出産請負の女性は夫婦円満ですでに子供が4人。ただ、夫が長期失業者で経済的に苦しく、こういうバイトに手を出しました。なので夫も妻が妊娠していることに同意。

出産を依頼した夫婦も当初は夫婦円満で両方とも出産に同意。妻は世間をごまかすために肉布団を身につけ、いかにも臨月が近づいたようなふりをしていました。ところが出産請負女性が襲われ、倒れている所を出産依頼女性が発見し通報。母子はとにかく彼女のおかげで入院できます。へたをするとそのまま死んでいたかも知れません。

なのでこの女性は犯人ではなさそう。トマとクロエが聞き込みに行くと、出産請負女性の夫も完璧なアリバイがあり、犯人ではなさそう。怪しいのは出産依頼をした女性の夫。行方不明になっていました。

この男は子供の頃養子に出されており、長年自分の素性を調べていましたが、最近実母を発見し、ご対面。謎の出所はこのあたりでした。

事件は無事解決し、責任のある人はそれぞれの罪で告訴され、それでも2組の夫婦は何とか丸く収まります。

最後のシーンでは出産依頼を引き受けた夫婦から、生まれたばかりの子供が取り上げられ、残された夫婦が悲しそうに病室に残ります。他方、出産を依頼した夫婦のうち、夫は事件に巻き込まれているので、それなりの刑が待っています。しかし妻に見捨てられるかと思ったら、妻は思い直して戻って来ます。2人の卵子と精子で生まれた子供は依頼出産自体が違法な上に、夫がややこしい事件の当事者の1人なので、当分は孤児院に引き取られてしまいます。

★　クロエもまた空振り

リリーの実父からリリーを養子にしてくれと、クロエの望み通りの依頼を受け、大喜びのクロエは2人暮らしができるアパートをせっせと探します。28番目のアパートを見に行っており、現在は29件目の物件を見るところ。

ところが番組の最後にソーシャル・ワーカーからクロエの養子縁組申し込みは却下されるだろうと言われます。クロエは現在のアパートが子供を育てるのに適していないからと考え、その問題は間もなく解決すると言うのですが、ソーシャル・ワーカーは彼女の職業と彼女の出自が問題だと言うのです。

クロエは2度目の頓挫に非常に傷つきます。喜んだ後の頓挫なので、落差が激しいです。

ドイツでは養子縁組はフランスと似て大変なのですが、その他に里親制度があり、そちらは養子よりは簡単です。なので私はクロエを見ていて、公式な養子縁組は止めて、実を取ってはと思いました。

例えばリリーの父親は犯罪者ではなく、普通の商売人なので、戸籍はそのままにしておいて、クロエを里親にし、学校には父親が病気だということと、彼女が母親代わりだということを説明して、授業参観日などに彼女が出向くとかしてはどうかと思います。もし里親も上に書いた理由で却下されたら、例えばクロエとリリーの実父が隣同士になるような所に居を構え、リリーがクロエの家に自由に出入りできるようにしてはとも思いました。クロエとリリーの実父は結婚をするような付き合い方でないので、同居は無理ですから、隣近所というのが1つの解決法ではないかと思いました。

日本では近年激減しましたが、かつては長屋風の付き合いが多く、こんな場合近所の人たちで片親の子供の面倒を見ることは自然な感じがします。

上の事件の場合も、もし出産依頼をした夫婦と、依頼を受けた夫婦が今後付き合えば丸く収まるような気がしました。依頼をした夫婦のうち夫は事件に関与したので、もしかしたら暫く刑務所に入らなければいけないかも知れません。もしその時に生まれた実子が孤児院から妻の手に戻ったとしても母子家庭。そんな時にもし子供が4人いる家庭と付き合えば、子供の育て方も教えてもらえるし、用がある時にはお互いに留守番をできるし・・・などと考えてしまいます。そこに役所が入ると色々ややこしいことになるわけです。これは全てテレビ・ドラマ、フィクションの世界の話なので絵空事、私の考えも甘いかも知れませんが、この種のドラマを見ているとよく「長屋式にすれば丸くおさまるのに」と思います。

★　ダメよ、ダメダメ

ソーシャル・ワーカーからリリーの件はダメだと言われて失意のどん底のクロエはよりによってスケラを呼び寄せてしまいます。

視聴者はスケラがある人物を射殺するシーンを見ており、その頃署内から大量の押収したアンフェタミンが消えていることを知っていました。この週はその男の腐乱死体が発見されており、スケラは地位を利用してその書類を掠め取り、燃やしてしまいます。いい役者を選んでありますが、この男はいやらしいぐらいに要領がいいです。

グレゴワとトマはスケラに対して警戒心を持っていますが、クロエはやや能天気。彼女が心中を語るのに1番適していない人物を誘ってしまいました。いずれはスケラの犯行がばれる日が来るとは思いますが、それまでは心配です。

★　フレディーとイポリット

頻繁に喧嘩をしながらも相性のいい2人は最近は同じアパートから署に出勤して来るようです。どうやらフレディーがイポリットのアパートに転がり込むことも多いようで、イポリットが出勤してしまうと鍵が無いので、フレディーは困ってしまい、カッカと起こります。イポリットはまだアパートの鍵をフレディーに渡す気になっていません。

欧米人の間ではアパートの鍵を人に渡すことには深い意味があるらしく、関係が壊れたカップルの最後の儀式が鍵を返すことだったりします。という事は鍵を渡すのが正式な関係の始まり。特にフランスには正式結婚をする人が減っているので、これが事実婚の始まりとなります。

フレディーはカッカ怒りながら鍵を要求しますが、実は正式な書類上の結婚はプランに入っていないようです。

イポリットはフレディーのためではなく、身内のために指輪を買い、まだ届けていないので家族から文句が出ていました。行き違いからその指輪が署内で婚約指輪と誤解されてしまい、フレディーが受け取ります。

とは言うものの署内ではいつの間にか知れ渡っていた2人の関係がこういう形ではっきりすることに祝福の雰囲気が漂い、イポリットとフレディーは別々の理由で戸惑いながらも、2人の関係は公認されます。知らぬはトマばかりなり。

しかし数日考えた挙句、ウェディング・ドレスに身を包み、教会でイエスと言う自分が想像できなかったフレディーは意を決してイポリットに「結婚までは考えていなかった」と言います。イポリットもここで正直に「あの指輪は祖母のために買った」と告白。その代わりにイポリットはアパートの鍵を結婚の申し込みのようにフレディーに手渡し、2人の双六は上がり。