★　ある囚人が脱走したいばかりに

15年前タンギー・ギュッツというドイツ人風の名前の役を演じていた、ドイツ人風の名前を持つ俳優がいました。エリック・ベルガーと言います。

彼がこのシリーズで演じる、ドイツ人風の名を持つトビアス・ローズ医師の起こす事件のオトシマイがつく回です。トマがプライベートな事で巻き込まれた事件です。

★　フレッド

前回の記事で

　・　女性が半ダースほど誘拐され、昏睡状態のまま犯人の隠れ家に留め置かれ、点滴で生かされる、
　・　新入りの昏睡人質女性が入ったため用が無くなった女性1人は生きたまま棺に入れて埋葬され、
　・　本来その棺で埋葬されるはずの女性は実はまだ死んでおらず、拉致され、新入りとして他の昏睡状態の女性たちのように留め置かれる

という事件が起きていることを書きました。刑事のフレッドもそうやってイポリットとの結婚の直後に殺されたことにされ、さらわれてしまいました。

フレッドは確かに誰かに刺され、大量に出血したまま入院。死んだと言われてもおかしくない状況ではありましたが、どっこい、そう簡単に死ぬ人ではありませんでした。

★　重要な容疑者　−　2人の看護婦

2人の不良看護婦が共犯で、その2人を操っていたのがトビアス・ローズ医師。2人の看護婦はローズに洗脳され、狂信的な宗教に入信したような状態で、署で取調べをしてもほとんどまともな話ができません。妙な祈りの言葉をつぶやくだけ。

★　主犯と目されるローズ

第5シーズンの最終回ではローズの人となりが紹介されます。彼は高校の頃学校で変な詩を発表する変な子供でした。普通の人が「まさか本気ではないだろう」と罰の悪い笑いを見せるような妙な話を、ローズは真顔で語ります。

★　犠牲者の循環に支障が

話は現在に戻ります。半ダースほどの人質は麻酔で眠らされたまま点滴などで栄養剤を与えられ、生かされています。2人の看護婦がその世話をしていました。病院で新しい拉致候補者が見つかると、この看護婦たちが患者の死を装います。死亡診断書を誰が書いているのかはよく分かりませんが、彼女たちが仮死状態の犠牲者を前回のエピソードで自殺した葬儀屋に回します。

葬儀屋は葬儀終了後、死体を土中に埋葬する前、仮死状態の犠牲者を、これまた仮死状態で以前誘拐されて隠れ家に留め置かれていた1人の女性と差し替えます。新しい人が1人加わると、隠れ家の誰かが用無しになるという算数です。用無しになった女性は生きたまま棺に入れられます。

ところが葬儀屋は自殺、看護婦たちは逮捕。なので隠れ家の女性たちの世話をする人がおらず、ローズは服役中のため、人質の1人が死んでしまいます。

★　必死で事件を分析するトマとクロエ

かなりひどい事件なので必死で事件の分析を試みる2人ですが、トマはローズに脅されている最中、クロエは精神分裂症の症状と戦いながらの仕事なので、2人にとってはかなりの負担。

看護婦の1人、マリールーを分析しているうちにクロエには彼女とローザの関係が見えて来ます。マリールーはお世辞にも魅力的な女性とは言えないのですが、ローザは彼女と精神的に密な関係を作り、腕輪をプレゼント。彼女に取ってはローザが人生の全てと化しています。

そこに目をつけたクロエは、自分もローザから同じ腕輪をプレゼントされたふりをしてそっくりな腕輪をつけて取調室に現われ、マリールーを挑発します。作戦は成功し、彼女は怒りのあまり「トビアスに会わせてくれなければ人質は死ぬ」と口走ります。

警察が調べた限りではマリールーとローザが直接連絡をした形跡が無かったため、誰かが仲介しているのではないかという疑問が生じます。

★　腎臓が起こしたブーメラン効果

ちょっと前の話になりますが、ローザは腎臓を患っているトマの妹のために腎臓のドナーを、頼まれもしないのに提供。刑務所内の囚人を殺害するという方法で新鮮な死体を作り出し、その腎臓が妹へ。妹は事情を知らないままこの腎臓で手術を受けてしまいます。トマはローザから強引に借りを作られてしまった形です。

「交換条件として自分の脱獄に必要な道具を揃えろ」との脅しがかかります。そのため前回トマはゴレゴワに辞表を出したわけです。

自分が外に出るために緻密な計画をじわじわと実行していた頭のいいローザですが、そんな事をしたため刑務所内で他の囚人から強く恨まれており、トマが面会するにも特別に警戒を要するほど緊張した事態になっています。

トマはクロエ、マリールーを連れてローザに面会に出向きます。その場でマリールーはローザに向かって「自分は自白していない」と言い張りますが、彼女が口を滑らせたことはローザに見抜かれてしまいます。

★　クロエが起こす番狂わせ

よりによってその場でクロエはまた幻覚を見ます。自分が2人、時には3人現われ1人の自分がもう1人の自分を非難し、クロエはそのまま意識を失ってしまいます。

マリールーはローザに命じられ、クロエの黄色いバッグをローザの手の届く所まで蹴ります。ローザは鞄の中を探り、クロエが精神分裂症だということを知ります。ドクターの資格を犯罪者となった今持っているかは分かりませんが、医学の知識はあるようです。

トマが看守に失神したクロエを病棟に運ぶように言った時、隙を狙ってローザはマリールーを殺害します。彼にとっては口を滑らしたマリールーは処罰されなければ行けないのです。彼女はセシリアという名前を言い残して死亡。

★　刑務所内ではご都合主義風の展開

この後はややご都合主義的な展開になります。刑務所内で囚人の反乱が起き、看守、クロエなどは所内に閉じ込められます。公式には食堂で誰かが吐き気をもよおし、病棟に運ばれる途中で死亡とされています。あり得ない話に聞こえますが、囚人たちからは看守たちが囚人を殺すために食事に毒を混ぜたという風に解釈され、暴動に発展ということになります。どうやらこの話はローザが仕掛けたものと思われます。

トマと鉄格子の後ろにいたはずのローザが暴動中に出会います。グレゴワに辞表を提出しているトマは、ローザの要求に応じておらず、脱走のための道具は提供していません。で、ここでローザは改めてトマに「脱走を手伝え」と要求します。同時にクロエのそぶりとバッグで発見した薬を足し合わせて、「クロエは精神分裂症だ」との結論に達しています（クロエとトマが協力して自分を邪魔することは無いと考えているのか）。

クロエは暴動から逃れようとする一方分裂症の症状に悩まされ、ふらふら。そこに都合良くクロエを知っているエズラというゲイの囚人が現われます。クロエは過去にエズラを分析したことがあり、エズラは彼女に感謝をしていました。恐らくはエズラに有利な報告書を作成したのでしょう。

クロエはエズラに助けられながら病棟に向かいます。エズラの態度がいかにもという風に描かれていて、急にコメディーっぽくなってしまいます。ベルリンにはゲイの人がたくさんいますが、ゲイの人はもっと普通、静かで自然な態度です。

ローザは他の囚人から狙われ、トマはローザから脅されながら2人は行動を共にします。その上トマが刑事だということが大勢の囚人にばれ、襲われます。何とかグレゴワと電話連絡がつき、イポリットがコンピューターで所内の安全な道を探し、誘導します。

エズラとクロエは病棟に大分近づきます。

★　まだ生きているフレッド

上に書いたように、結婚式の直後に刺され、病院に運ばれたフレッドは死んだことにされ葬式となっていましたが、実は生きていて、2人の看護婦に誘拐され、他の犠牲者と同じように麻酔で眠らされ、点滴を受けていました。

しかし2人の看護婦が世話に来なくなっていたため、麻酔が切れたのでしょう。目を覚ましました。あまりきつく縛られていなかったのでベッドから這い出し、家の外に脱出するのに成功しました。しかし家の中では2人目の犠牲者が死亡。

★　まだ続くご都合主義

☆　トマとローズ

通気孔から脱出。病棟方向へ。

☆　クロエとエズラ

クロエは病棟にたどり着きますが、そこにはクロエが必要としている薬はありませんでした。そして幻覚にさらに悩まされ続けます。ところが都合のいい事に看守の1人が医療訓練を受けていて、「薬を使わずに、呼吸を整えることで落ち着く」と教え、クロエにやらせてみます。するとクロエは小康状態に。この看守は水を取りに行って姿を消します。

★　暴動の発端となった毒殺事件

検死医の発見。暴動のきっかけとなった、死亡した囚人の他にさらに2人の囚人が同じ毒を盛られていました。その日、午前中に予防注射があり、どうやらその時に3人が毒を盛られたと考えられます。

その犯人と目される看護師が特定されます。それがちょうどクロエに呼吸法を教え、助けている看守でした。エズラとクロエの話を耳にしていたその看守は実はローズの部下。2人を助けるふりをしながら別の部屋に2人を誘導し、水を飲ませます。そしてエズラをクロエから引き離して殺そうとします。クロエも襲われ、殺されそうになります。まだきちんと死んでいなかったエズラは必死でクロエを助けます。

ちょうどその場に都合良くというか、都合悪くというか、トマとローズがやって来ます。

そこへまた都合良く特殊部隊の ERIS が入って来ますが、ローズは看護師のふり。

エズラは何とか助かり、後で別な病院に収容されます。

★　まだまだ生きているフレッド

昏睡状態の人質は1人、また1人と点滴が切れたところで昇天。しかしフレッドは隠れ家からの脱出に成功し、できるだけ家から離れようと歩き続けます。

★　刑務所は鎮圧

特殊部隊も投入され、刑務所内はようやく秩序を取り戻します。しかしローズの姿はありません。

★　トマとクロエ、率直な話

トマは他の人には話していませんが、クロエとは分裂症について話し始めていました。ここに至り、2人はもう1度話し合い。トマは治療を薦めるのですが、クロエは断わろうとします。彼女はどこかに閉じ込められることを恐れていました。アデルと似ています。トマは友情に厚く、この話をまだグレゴワには言っていません。

★　セシリアとは誰か

看護婦のマリールーはローザに殺された時、セシリアという言葉を言い残しています。セシリアは現在40歳で、ローザの妹でした。

セシリアの15歳の頃の写真が残っていました。彼女は15歳から18歳まで孤児院で育ち、現在はセシリア・ガルディエと名乗っています。誘拐された女性たちとほぼ同じ外見。女性たちはセシリアの代わりにされていたのです。

トマとクロエはセシリアに会いに出向きます。ローザは十数年前セシリアを妊娠させ、その子供は現在ではティーンエージャー。セシリアが14歳の時に16歳のローザに暴行された結果の妊娠でした。高校の頃変な詩を書き、変な事を考えていたローザはマジで、実行力もあったわけです。

ローザと違いまともな考え方をするセシリアはこの出来事を非常に恥じて、高校の誰か、実の兄でない誰かに妊娠させられたと言い、罰として孤児院へ送られています。

フランスは元々はカソリックの国でしたが、国教という考え方は今から十数年前でもそろそろ無くなり始めていたはずなので、ローザ一家はかなり保守的だったと想像されます。アイルランドなどでは以前不祥事を起こした少女を孤児院に預ける話があり、映画化もされていますが、フランスでもあったということなのでしょう。しかし時代的にはもう少し前の話ではないかと思われます。

不思議なことに、欧米ではなぜか暴行され、妊娠してしまった少女たちが罰せられ、犯人は野放しのケースが多いです。裁判でよく聞かれるのは（身体的にも小柄で力の弱い、年端も行かない）少女に（被害者よりは大柄で力もある、往々にして年も上の）男性が誘惑され、避けられない事態になった、悪いのは誘惑した女性だという話。それがなぜか通る不思議な社会です。

セシリア自身は不当な扱いではあっても孤児院に送られたことは良かったと考えていました。ローザに2度と会わずに済みますし、新しい人生を送ることができます。何と前向きなのでしょう。感嘆。

事情を聞きに来たトマとクロエにセシリアはローザが以前住んでいた家の場所を教えます。そこを隠れ家に使っていたものと考えられます。

ローザは実際脱獄後ここに向かっており、フレッド以外の女性たちがほとんど死んでいることを確認。最後の1人も今ちょうど死にかけています。しかしフレッドが逃亡したことに気づき、追いかけます。彼女に追いつき、殴り殺そうという時に、警察が到着。

これでフレッドは助かり、イポリットとめでたくハッピーエンドかと思ったのですが、そうは問屋が卸しません。ローザは彼女をひどく殴り、彼女は口の周りを血だらけにして、結婚式に出席した時の衣装のまま死んでしまいます。

イポリットが駆けつけ、最後にフレッドと言葉を交わす時間はありましたが、彼の腕の中でフレッドは息絶えてしまいます。ようやく彼女への愛情に目覚めたイポリットですが、挙式から1時間もしないうちに1度彼の腕の中で死に、この死が見せかけだったと分かったため希望を繋いでいたのですが、結局ここで本当に死んでしまいます。（彼を本当に理解していたフレッドの死はイポリットに深い傷を残します。それは後の話。）

こういう普段優柔不断な性格の人が何かのきっかけで本当に怒ると怖いです。普段は暴力とは縁の無いイポリットがピストルでローザに狙いをつけ、一発で倒します。近づいてみるとまだ生きていて、笑いながら嫌味を言います。するとイポリットは今度は警官としてではなく、復讐をする男と化し、止めを刺します。このシーンでイポリットを責める人はいないでしょう。エリック・ベルガーは気合を入れて憎まれ役を演じています。（この行動も影を落とします。それも後の話。）

★　助け出されたクロエが助けた人を・・・

クロエはトマに助けられ、抱えられて現場を離れているのですが、分裂症で錯乱中。彼女はローザに誘拐されていると思い込んでしまいます。手に持っていた鋏でローザを刺したつもりだったのですが、ふと気づくとトマ。それに驚いて絶叫するクロエ。

フレッドが死に、イポリットは正確に言えば殺人者、トマは重症を負い、クロエは誤解とは言え傷害犯。ティームはめちゃくちゃになります。まるで今の世界を象徴するような混乱ぶりですが、このエピソードが公開されたのはフランスでは2014年のクリスマス・シーズン。パリ・テロの1年弱前、撮影はさらにその前だったはずなので、世界の混乱を予想しての演出ではなかったでしょう。

★　ローザの犯行動機

似たような容姿の若い女性を数人誘拐し、こん睡状態で家に飼っていたローザ。フレッドが狙われたのは2つの要素を1人で持っていたためと思われます。彼女の容姿がローザの妹に似ていた上、人間関係がうまく行っている職場でトマに近い人間だったことが不運の理由。

ローザは妹が孤児院に送られ、手に入らなくなってしまったため、代替として彼女と似たタイプの女性をさらったわけです。ではなぜ同年代のクラスメートと付き合わず、身内に目を向けたのでしょうか。そこまでは解明されませんでした。

★　降りてしまった

マシューが第2シーズンでクロエの妹を語るルイーズに殺されてて退場。その3シーズン後にフレッドが退場。クロエの女優が役を降りたがっていたのではないかと思ったのですが、フレッドの方が先に降りてしまいました。トマもクロエに刺されてしまったので先行きが心配ですが、第6シーズンの第10話に出演しているので、この怪我からは回復するのでしょう。

クロエも第6シーズンを続けることになっていますので、トマを刺しても罪には問われなかったのでしょうが、警察の捜査顧問としては失格するでしょう。それに何人かの人にはばれているので、精神分裂症の治療もしなければなりません。クロエが病気を隠したがったのは父親のように入院監禁されることを恐れたからです。そのあたりどういう風に辻褄を合わせるのでしょうねえ。

★　タンギー、よく化けた

ローザを演じている俳優はかつてタンギーを演じた人だと書きましたが、タンギーはアメリカでリメイクされています。恋するレシピ　理想のオトコの作り方というタイトルで、タンギーの職業などは少し変えてあります。

あの頃図々しい善人を演じたエリック・ベルガーは体は15年前同様細身で、顔だけ少し太りました。

今回の役はいくつものエピソードに登場する極悪人。上手に化けました。ローザの役では誰もが彼に「死んじまえ」と言いたくなるでしょう。

★　第5シーズンまでに戦死者2名、まずくなった人間関係多数

☆　トマと妹と息子

妹の健康状態に思いやりを持つトマですが、ローザがそれを利用したため、警察勤務の自分が犯罪に手を染める一歩手前まで行ってしまいます。ルカという小学生か中学生ぐらいの息子を1人で育てている父親としては困った常態。ローザが死んでも、警察署内での手続きなどが残ります。ローザが勝手に調達した妹用の腎臓も利益供与と見なされてしまう危険があります。自分から望んだのではないとは言え、一応調査は行われるかも知れません。下手をすると息子の将来も危うくなります。

☆　トマの妹と夫

以前の事件で発覚しましたが、病気の妻の横で、彼女の夫はベビーシッターと不倫。どうにか夫婦関係は続いているようですが、子は鎹とすれば子供がいなくなったら崩れかねない関係です。

☆　クロエとリリー

クロエは第5シーズンの後半精神分裂症の症状に悩まされますが、きちんとした治療を受けていません。最後のエピソードでは病気が公になるので、第6シーズンは治療から始まるのでしょう。

独身の女性なので暫く入院治療をすれば済むことではありますが、問題が2つ。1つはこの病気とプロファイリングの仕事が両立するかです。実際に両立しても、警察の上層部がそれを認めて許可するかは分かりません。警察も役所ですからね。それに彼女は密売人から薬を買っていました。

もう1つは児童相談所がクロエを母親として認めるかです。以前も彼女の職業が子供に危険を及ぼさないかが議論されました。他殺死体などが日常的に出て来る職業ですし、捜査中に警察関係者が狙われる可能性もあります。

そこへさらに彼女の病気の話が飛び出すと、なかなか難しくなります。暫くクロエの母親をサポートにつけることにしてはと思いますが、彼女も過去におかしな事件に巻き込まれ、囚われの身だったことがあり、普通の女性ではありません。そのあたりを児童相談所がどう取るかはまだ分かりません。

☆　1人じゃないイポリット

長い間合コンでもしないとガールフレンドができないイポリットでしたが、フレッドと男女の役割逆転でウマが合うことに気づきます。クロエやリリーですら気づいているのに、そのうえ当のフレッドすら熟慮の末イポリットを夫にするのがベストだという結論に達したのに、本人が気づいたのは1番後。

そこに至るまでに彼を混乱させたのがフレッドの妹ジェシカ。好き放題、やり放題の無責任女性でこれまで数々のトラブルを起こしてフレッドを困らせていた人。しかしジェシカ自身は最後に自分はやっぱり悪漢のテディー・ベア（あだ名）と一緒になるのが1番だと思い、イポリットを捨てて彼の元に戻って行きます。

しかしイポリットの間にできた息子はしっかりイポリットに預けます。フランスは婚姻制度がかなり崩れているので、正式な式を挙げて役所に登録していない男女でも子供はちゃんと国から認められ、戸籍のような物も作れますし、学校にも通わせることができます。しかしよそ者の私から見ると、それでも責任は子供を作った2人で取るべきではないかと思います。しかしジェシカはどうやら子供をイポリットに渡しっぱなしにするような気配。

イポリットが最近成長し、子供の責任をちゃんと取る気になっていたのは幸い。彼は大金持ちのエリートの家の息子ですが、家とは疎遠になっているので、目の前のお金は警察で稼ぐしかありませんが、これまでの描写を見ていると独身貴族風。なので、子供を育てることは可能かも知れません。しかも彼は内勤なので、危険な現場に出動ということはありません。フレッドの考え通り2人が結婚して子供を育てるなら、ダブル・インカム・ワン・キッドですが、それは今では無理。それでもフランスは子供手当てが手厚いので、何とかなるでしょう。

フレッドが死んだ後、身内として残ったのはですから、ジェシカとイポリットと息子。

☆　フィッシャー一家

頭数は3。クロエがティーンエージャーで、幸せだった頃と同じ数です。母親が父親に殺されて父親は刑務所の病院にほぼ永久入院という状態でその後の20年弱を過ごしたクロエは、大学教授になり、警察のプロファイリング顧問になるまでに成長していました。その間の20年弱は躾なども含めてグレゴワのおかげ。

グレゴワは母親が死んだことにされる時首までどっぷり巻き込まれていましたが、母親が死なずに済むように逃がしたと言えます。彼女はクロエに発見された時も事件に巻き込まれていて、のんびりした人生ではありません。現在はそれも解決し、クロエとすぐ連絡が取れる距離に暮らしています。

母親が生きていたので殺人犯でなくなった父親は精神分裂症だけが問題。なので入院は続けていますが、刑務所ではなくなりました。その上、クロエが偽妹の事件に巻き込まれた時には精神病院からマシューとグレゴワに付き添われて、クロエに「お前には妹はいない」と伝えに来たぐらいクロエを気遣っています。

クロエは皆に好かれているのになぜか決まったボーイフレンドがおらず、30を過ぎても独身。事実婚のパートナーもいません。フランスではそれでも養子を取れるらしく、紆余曲折の末、事件に巻き込まれたことのある少女リリーを養子にしています。

なので現在ではフィッシャー一家は4人です。クロエに気のあるヴァンサンはクロエに無理やり協力させられ、全財産を失ったまま退場。

☆　グレゴワ

女好きのグレゴワが浮気をすることはどうやら奥方は承知している様子。グレゴワ自身が殺人の容疑をかけられる事件が起き、夫人の他にクロエも非常に失望。加えて、彼は怪我をして入院もし、現在は杖をついて出勤して来ます。

第5シーズンでは彼はやや後ろに引っ込み、ティームの責任者として事務所で二言三言発言する程度の日が多いです。

★　第6シーズンまで暫く休憩

こういった人間関係のまま第5シーズンが終了します。第6シーズンが放映されるまでに暫く時間があるようで、その間、第1シーズンの頭から再放送されるようです。